凝固と鋳造組織

組成的過冷が起こらず平らな界面で凝固する条件は G/V ≥ ΔT₀/D_L で表される(Gは界面の液相側の温度勾配、Vは成長速度、D_Lは液相中の溶質の拡散係数、ΔT₀ = mC₀(1 − k)/k は凝固温度範囲)。Al-2.0 wt%Cu合金(液相線の傾きの大きさ m = 3.4 K/wt%、k = 0.17、D_L = 3.0×10⁻⁹ m²/s)を V = 1.0×10⁻⁵ m/s で成長させるとき、平らな界面を保つのに必要な最小の温度勾配はどれに最も近いか。

  1. A約1.9×10⁴ K/m
  2. B約1.1×10⁵ K/m
  3. C約1.1×10² K/m
答えと解説を見る

正解:B. 約1.1×10⁵ K/m

凝固温度範囲は ΔT₀ = 3.4 × 2.0 × (1 − 0.17)/0.17 ≈ 33.2 K です。必要な温度勾配は G = ΔT₀V/D_L = 33.2 × 1.0×10⁻⁵/(3.0×10⁻⁹) ≈ 1.1×10⁵ K/m、つまり約110 K/mm です。約1.9×10⁴ K/m は ΔT₀ を mC₀(1 − k) として k で割り忘れた値、約1.1×10² K/m は110 K/mm の数字を K/m と取り違えた値です。ふつうの鋳造の温度勾配は10³〜10⁴ K/m 程度なので、合金では平らな界面はまず保てず、セルやデンドライトで凝固します。平らな界面での一方向凝固は、温度勾配を大きくし成長速度を極めて小さくした実験や結晶の育成で使われます。

誤りを報告

この分野を解く 分野ページへ

凝固と鋳造組織のほかの問題

  1. 合金の凝固で、温度勾配Gと成長速度Vを変えたときの固液界面の形と組織の細かさについての説明として正しいものはどれか。
  2. FCCやBCCの立方晶の金属でデンドライトが成長するとき、幹と枝が伸びる結晶方位と、それが鋳物の柱状晶に与える影響についての説明として正しいものはどれか。
  3. アルミニウム合金の鋳物の二次デンドライトアーム間隔 λ₂ と冷却速度Ṫのあいだに λ₂ = A·Ṫ^(−1/3) の関係があるとする。冷却速度1.0 K/sの部分で λ₂ = 50 µm だった。冷却速度125 K/sの部分の λ₂ はどれに最も近いか。
  4. 鋳物や鋳塊の偏析には、デンドライトの枝の間の寸法で起こるミクロ偏析と、鋳塊の全体の寸法で起こるマクロ偏析がある。両者の違いとして正しいものはどれか。
  5. チボリノフの法則 t = B(V/A)²(tは凝固時間、Vは体積、Aは表面積、Bは定数)が成り立つとする。同じ鋳型の条件で、ある体積の立方体の鋳物が10分で凝固した。同じ体積の球の鋳物の凝固時間はどれに最も近いか。