公式集
材料科学の授業・試験・院試で使う公式を、分野ごとにまとめました。式ごとに、記号の意味と SI 単位、使える条件と範囲、よくある間違い、数値の例を載せ、両辺の次元はすべて機械で確かめています。計算ドリルの型と計算ツールへのリンクから、同じ式で練習・計算できます。
例の数値は、このサイトの計算ツールのデータか、教科書の例題と同じ値です(出典は式ごとに記載)。部材の設計には、規格や材料の資料の値を使ってください。
当てはまる式がありません。言葉を短くするか、分野を「すべて」にしてください。
結晶 14
dhkl = a/√(h² + k² + l²)[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| dhkl | (hkl) 面の面間隔 | m |
| a | 格子定数(立方体の辺の長さ) | m |
| h, k, l | ミラー指数(整数) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 立方晶(単純立方・BCC・FCC・ダイヤモンド構造・NaCl 型など)だけ。正方晶・六方晶などは次の「面間隔(正方晶・斜方晶・六方晶)」の式を使う。式は面の組の間隔で、消滅則で反射が消える (hkl) にも数としては成り立つ。
- よくある間違い
- √ を付け忘れる・h + k + l で割る。(100) と (200) の区別: BCC では (100) の反射は消えて、d/2 の (200) として出る。nm と Å(1 Å = 0.1 nm)の取り違え。
- 例
- Cu(FCC、a = 0.36146 nm)の (111) 面: d = 0.36146/√3 = 0.2087 nm。BCC の Fe(a = 0.28665 nm)の (110) 面なら 0.28665/√2 = 0.2027 nm。
計算ドリル 面間隔(立方晶) ピークの角度から格子定数計算ツール 結晶構造ビューア XRD 解析ワークベンチ
用語 ミラー指数 面心立方格子 体心立方格子
出典: Callister 10版 3章; Cullity 3版 2章
1/d² = h²/a² + k²/b² + l²/c²正方・斜方[m⁻²]
1/d² = 4(h² + hk + k²)/(3a²) + l²/c²六方[m⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| d | 面間隔 | m |
| a, b, c | 格子定数(斜方は a ≠ b ≠ c、正方は a = b) | m |
| h, k, l | ミラー指数(六方は4指数 (hkil) の h・k・l、i = −(h + k)) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 3軸が直交する格子(立方・正方・斜方)は上の式、六方晶(a 軸が 120°、c 軸が垂直)は下の式。単斜晶・三斜晶は軸の角度を含む一般の式(逆格子の計量)が要る。六方の式の h・k・l は4指数 (hkil) の i を除いた3つ。
- よくある間違い
- 六方晶の4指数 (10−11) の i を式に入れてしまう(i は h・k から決まる)。六方の式を 1/d² = (h² + k² + l²)/a² の形に当てはめる。正方晶で a と c を入れ替える。
- 例
- 正方晶の β-Sn(a = 0.58318 nm、c = 0.31818 nm)の (101): 1/d² = 1/a² + 1/c² から d = 0.2793 nm。六方晶の Mg(a = 0.32094 nm、c = 0.52107 nm)の (101)(4指数で (10−11)): 1/d² = 4/(3a²) + 1/c² から d = 0.2452 nm。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ 結晶構造ビューア
用語 六方最密構造 ミラー指数
出典: Cullity 3版 2章; Callister 10版 3章
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| n | 反射の次数(ふつう n = 1 とし、n 次は d/n の面の1次とみる) | 1 |
| λ | X線の波長 | m |
| d | 面間隔 | m |
| θ | ブラッグ角(入射線と面のなす角。測るのは 2θ) | rad |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 結晶の面で散乱した波が強め合う条件(運動学的回折)。λ ≤ 2d でなければ反射は出ない。ピークの位置だけを決める式で、強さは構造因子と LP 因子で決まる。
- よくある間違い
- θ と 2θ の取り違え(装置は 2θ を出す)。度とラジアン。Kα1 と Kα の平均の波長の混同。消滅則で出ない (hkl) にピークを当てる。
- 例
- Cu Kα1(λ = 0.15406 nm)で Cu の (111)(d = 0.2087 nm): sinθ = λ/(2d) = 0.3691、θ = 21.66°、ピークの位置 2θ = 43.32°。
計算ドリル 回折角 2θ(ブラッグの法則) ピークの角度から格子定数計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 ブラッグの法則 XRD(X線回折) 消滅則
出典: Cullity 3版 3章; Callister 10版 3章
ρ = nM/(NA Vc)[kg·m⁻³]
Vc = a³立方晶[m³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ρ | 理論密度 | kg/m³ |
| n | 単位格子の中の原子の数(SC 1、BCC 2、FCC 4、ダイヤモンド 8、HCP の六角柱 6) | 1 |
| M | モル質量(原子量 × 10⁻³ kg/mol) | kg/mol |
| NA | アボガドロ定数 | mol⁻¹ |
| Vc | 単位格子の体積 | m³ |
| a | 格子定数 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 欠陥のない結晶の密度。実際の材料は空孔・気孔・不純物で少し違う。化合物では n を化学式の単位の数、M を化学式量にする(NaCl 型: 4 組の Na⁺ と Cl⁻)。
- よくある間違い
- a を nm のまま3乗する(nm → cm は × 10⁻⁷、g/cm³ で出すとき)。M を g/mol のまま m³ と組む(kg/m³ にするなら M は kg/mol)。BCC と FCC の n の取り違え。
- 例
- BCC の Fe(n = 2、M = 55.845 g/mol、a = 0.28665 nm = 0.28665×10⁻⁷ cm): Vc = a³ = 2.355 × 10⁻²³ cm³、ρ = 2 × 55.845/(6.02214 × 10²³ × 2.355 × 10⁻²³) = 7.874 g/cm³(表の値 7.87 g/cm³)。
計算ドリル 理論密度(立方晶の金属)計算ツール 材料のための周期表 結晶構造ビューア
用語 体心立方格子 面心立方格子
出典: Callister 10版 3章
a = 2rSC[m]
√3a = 4rBCC[m]
√2a = 4rFCC[m]
a = 2rHCP[m]
c/a = √(8/3) ≈ 1.633HCP の理想[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| a | 格子定数 | m |
| r | 原子の半径(剛体球) | m |
| c | HCP の c 軸の長さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: c/a
- 使える条件と範囲
- 剛体球が接する向き: SC は稜、BCC は体対角線、FCC は面対角線、HCP は底面の中。結合の性質で「半径」は変わる(金属結合半径は配位数 12 の値)。
- よくある間違い
- 半径と直径の取り違え(√3a = 4r の 4r は直径の2倍)。BCC と FCC の式の入れ替え。
- 例
- BCC の Fe(a = 0.28665 nm): r = √3a/4 = 0.1241 nm。FCC の Cu(a = 0.36146 nm): r = √2a/4 = 0.1278 nm。
計算ドリル 格子定数と原子半径計算ツール 結晶構造ビューア
用語 原子充填率 体心立方格子 面心立方格子 六方最密構造
出典: Callister 10版 3章
APF = Σ ni (4/3)πri³/Vc[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| APF | 原子充填率 | 1 |
| ni | 単位格子の中の、半径 ri の原子(イオン)の数 | 1 |
| ri | 原子(イオン)の半径 | m |
| Vc | 単位格子の体積 | m³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 剛体球のモデル。金属: SC 0.524、BCC 0.680、FCC・HCP 0.740、ダイヤモンド 0.340。イオン結晶では、陽イオンと陰イオンが接する向き(NaCl 型は稜、CsCl 型は体対角線)から a を決める。
- よくある間違い
- イオン結晶で陰イオンどうしが接するとして a を決める(半径比が小さいときだけ正しい)。NaCl 型の n を 1 組と数える(4 組)。
- 例
- BCC: 2 × (4/3)π(√3a/4)³/a³ = √3π/8 = 0.6802、FCC: π/(3√2) = 0.7405。NaCl 型(Na⁺ 0.102 nm、Cl⁻ 0.181 nm、陽イオンと陰イオンが辺の上で接する): a = 2(r₊ + r₋) = 0.5660 nm、充填率 = 4 × (4/3)π(r₊³ + r₋³)/a³ = 0.646。
計算ドリル イオン結晶の充填率計算ツール 結晶構造ビューア
用語 原子充填率
出典: Callister 10版 3章; Callister 10版 12章
PD = Np/A[m⁻²]
LD = Nl/L[m⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| PD | 面密度 | m⁻² |
| LD | 線密度 | m⁻¹ |
| Np, Nl | 面・線に中心がある原子の数(切り口に入る割合で数える) | 1 |
| A | 面の面積 | m² |
| L | 線の長さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 中心が面(線)の上にある原子だけを数える。単位格子の切り口で数えるときは、角・辺の原子を切り口に入る割合で足す。すべり面は面密度の最も大きい面、すべり方向は線密度の最も大きい方向(FCC: {111}⟨110⟩、BCC: {110}⟨111⟩)。
- よくある間違い
- 面を少しでも横切る原子まで数える。単位格子の面の面積 a² をどの面にも使う((110) は √2a²、(111) の三角形は (√3/2)a²)。
- 例
- FCC の Al(a = 0.40496 nm)の (111): 単位格子の切り口は1辺 √2a の正三角形(面積 (√3/2)a² = 0.1420 nm²)で、原子は 3 × 1/6 + 3 × 1/2 = 2 個。PD = 14.08 nm⁻²。[110] の線密度は 2/(√2a) = 3.492 nm⁻¹。
計算ドリル 面密度(BCC・FCC)計算ツール 結晶構造ビューア
用語 ミラー指数 原子充填率
出典: Callister 10版 3章
Vc = (3√3/2)a²c[m³]
n = 6六角柱[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Vc | 六角柱の体積 | m³ |
| a, c | 格子定数 | m |
| n | 六角柱の中の原子の数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 六角柱(基本の単位胞の3倍)で数える: 角 12 × 1/6、上下の面 2 × 1/2、中 3 で 6 個。基本の単位胞(平行六面体、(√3/2)a²c)なら 2 個。理論密度の式にそのまま入る。理想の c/a は √(8/3) = 1.633(Mg 1.624、Zn 1.856、Ti 1.587)。
- よくある間違い
- 六角柱の体積に原子 2 個、または平行六面体に 6 個を組み合わせる(どちらも密度が3倍ずれる)。
- 例
- Mg(a = 0.32094 nm、c = 0.52107 nm): c/a = 1.624(理想の 1.633 に近い)。六角柱の体積 (3√3/2)a²c = 1.394 × 10⁻²² cm³ に原子 6 個、M = 24.305 g/mol から ρ = 1.737 g/cm³(表の値 1.74 g/cm³)。
計算ツール 結晶構造ビューア 材料のための周期表
用語 六方最密構造
出典: Callister 10版 3章
r/R = √2 − 1 ≈ 0.414八面体のすき間[1]
r/R = √(3/2) − 1 ≈ 0.225四面体のすき間[1]
r/R = √3 − 1 ≈ 0.732立方体のすき間[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| r | すき間に入る球の半径 | m |
| R | まわりの原子(陰イオン)の半径 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: r/R, r/R, r/R
- 使える条件と範囲
- 最密充填(FCC・HCP)の八面体・四面体のすき間と、単純立方の中心のすき間。イオン結晶では、陽イオンが陰イオンに接したまま入る下限の半径比で、配位数の目安になる(0.225〜0.414 で4配位、0.414〜0.732 で6配位、0.732 以上で8配位)。BCC のすき間は形がゆがんでいて、八面体 0.155、四面体 0.291。
- よくある間違い
- BCC の八面体のすき間に FCC の 0.414 を使う。半径比の規則は目安で、共有結合性の強い化合物では外れる。
- 例
- γ-Fe(FCC、a ≈ 0.3647 nm): R = √2a/4 = 0.1289 nm、八面体のすき間に入る球は r = (√2 − 1)R = 0.0534 nm。炭素原子(半径 約 0.071 nm)はこれより大きいので、まわりの格子を押し広げて入る。
計算ツール 結晶構造ビューア
用語 面心立方格子
出典: Callister 10版 12章; Askeland 7版 3章
Fhkl = Σj fj exp[2πi(hxj + kyj + lzj)][1]
I ∝ p|F|² × (1 + cos²2θ)/(sin²θ cosθ)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Fhkl | 構造因子(電子1個の散乱を 1 とする) | 1 |
| fj | 原子 j の原子散乱因子(sinθ/λ で下がる) | 1 |
| h, k, l | ミラー指数 | 1 |
| xj, yj, zj | 原子 j の位置(格子定数を 1 とする分数座標) | 1 |
| I | 積分強度(相対値) | 1 |
| p | 多重度(同じ d の面の数) | 1 |
| θ | ブラッグ角 | rad |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 粉末(無配向)・十分に厚い試料のブラッグ–ブレンターノ配置で、吸収・消衰を考えない運動学的な強さ。LP 因子 (1 + cos²2θ)/(sin²θ cosθ) は偏光とローレンツ因子(モノクロメーターがあるときは形が変わる)。温度因子 exp(−2B sin²θ/λ²) をかけると高角が弱まる。消滅則: BCC は h + k + l が奇数、FCC は h・k・l の偶奇が混ざると F = 0。
- よくある間違い
- |F|² でなく F で強さを比べる。多重度を入れない。同じ d の反射(BCC の (411) と (330) など)を別々に数える。
- 例
- FCC の (hkl) がすべて偶数かすべて奇数なら F = 4f、混ざれば 0。Al を Cu Kα1 で: (111) は 2θ = 38.47°、f = 8.96、F = 35.8、LP = 15.7、多重度 8。(200) は 2θ = 44.72°、f = 8.51、F = 34.0、LP = 11.2、多重度 6。強さの比 I(200)/I(111) = 0.48(温度因子と異常分散を入れないときの値)。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 消滅則 XRD(X線回折)
出典: Cullity 3版 4章
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| D | 結晶子の大きさ(回折面に垂直な向きの平均) | m |
| K | 形の係数(0.89〜0.94、ふつう 0.9) | 1 |
| λ | X線の波長 | m |
| β | 大きさによる幅(半値全幅、装置の幅を引いたもの) | rad |
| θ | ブラッグ角 | rad |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 幅の広がりが結晶子の大きさだけによるとき(ひずみの寄与は Williamson–Hall で分ける)。目安は 100 nm くらいまで(それより大きいと装置の幅に埋もれる)。装置の幅 βi は、ガウス型なら β² = βm² − βi²、ローレンツ型なら β = βm − βi で引く。
- よくある間違い
- β を度のまま入れる(ラジアンに)。2θ の値を θ として cos に入れる。装置の幅を引かない。得られるのは結晶子(コヒーレントな領域)の大きさで、粒の大きさとは限らない。
- 例
- Cu Kα1、2θ = 44.5°、測った半値幅 0.55°、装置の幅 0.08°(ガウス型として β = √(0.55² − 0.08²) = 0.5442° = 0.009497 rad)、K = 0.9: D = 0.9 × 0.15406/(0.009497 × cos 22.25°) = 15.8 nm。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 シェラーの式 XRD(X線回折)
出典: Cullity 3版 5章
β cosθ = Kλ/D + 4ε sinθ[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| β | 幅(半値全幅、装置の幅を引いたもの) | rad |
| θ | ブラッグ角 | rad |
| K | 形の係数 | 1 |
| λ | 波長 | m |
| D | 結晶子の大きさ | m |
| ε | 不均一なひずみ(微小ひずみ) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 大きさの広がり(1/cosθ)とひずみの広がり(tanθ)がどちらもローレンツ型で単純に足し合わさると仮定した形。β cosθ を 4 sinθ に対して描き、切片から D、傾きから ε。弾性異方性の強い材料では点がばらつく(修正 W–H 法を使う)。
- よくある間違い
- 横軸を sinθ にして傾きを 4 で割り忘れる(4ε と ε)。切片が負や 0 に近いとき D を出してしまう(大きさの広がりが測れていない)。
- 例
- XRD 解析ワークベンチの例の Ni の5本(2θ = 44.5°〜98.4°、装置の幅 0.08° をガウス型で引く)で、縦軸 β cosθ、横軸 4 sinθ の直線を最小二乗で引くと、切片 6.924 × 10⁻³ rad、傾き ε = 1.50 × 10⁻³(= 0.150 %)。D = Kλ/切片 = 0.9 × 0.15406/6.924 × 10⁻³ = 20.0 nm。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 シェラーの式
出典: Williamson & Hall 1953; Cullity 3版 5章
Δ(2θ) ≈ −2 tanθ · Δd/d[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Δ(2θ) | ピークの位置の変化 | rad |
| θ | もとのブラッグ角 | rad |
| Δd/d | 面間隔の相対変化(格子ひずみ) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- ブラッグの式を微分した近似で、Δd/d が小さいとき。均一なひずみ(残留応力・固溶・熱膨張)は位置を、不均一なひずみは幅を変える。同じ Δd/d なら高角ほど大きく動くので、精密な格子定数は高角のピークで測る。
- よくある間違い
- 符号: 格子が伸びると 2θ は小さくなる。結果はラジアンなので度に直す(× 180/π)。θ に 2θ を入れる。試料の高さのずれ(零点)もピークを動かす。
- 例
- Cu の (111)(2θ = 43.32°、θ = 21.66°)で格子が 0.1 % 伸びると(Δd/d = 1.0 × 10⁻³): Δ(2θ) ≈ −2 × 1.0 × 10⁻³ × tan 21.66° = −7.94 × 10⁻⁴ rad = −0.0455°(低角へ動く)。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 ブラッグの法則
出典: Cullity 3版 3章
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| a | 固溶体の格子定数 | m |
| x | B のモル分率(原子の割合) | 1 |
| aA, aB | 純物質 A・B の格子定数(同じ構造) | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 同じ結晶構造の連続固溶体の経験則。多くの合金でずれ(上や下に曲がる)があり、組成の精密な決定には系ごとの実測の関係を使う。x は wt% ではなくモル分率。
- よくある間違い
- x に wt% を使う。構造の違う相の格子定数を使う。
- 例
- Si(a = 0.54306 nm)と Ge(a = 0.56574 nm)の固溶体で a = 0.5500 nm を測った: xGe = (0.5500 − 0.54306)/(0.56574 − 0.54306) = 0.306。Si–Ge はベガード則からわずかに下へずれるので、精密な組成には補正の式を使う。
計算ツール XRD 解析ワークベンチ
用語 固溶強化
出典: Cullity 3版 13章
状態図 9
F = C − P + 2[1]
F = C − P + 1圧力一定(凝縮系)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| F | 自由度(平衡のまま独立に変えられる示強性の変数の数) | 1 |
| C | 成分の数 | 1 |
| P | 共存する相の数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 平衡状態だけ。金属・セラミックスの状態図はふつう圧力一定なので +1 の形を使う。相の量は自由度に入らない。
- よくある間違い
- 組織(パーライトなど)を相として数える。圧力一定の図に +2 を使う。非平衡の組織(マルテンサイト)に当てはめる。
- 例
- Pb–Sn の共晶点(圧力一定、C = 2、相は α・β・液相の P = 3): F = 2 − 3 + 1 = 0 で、温度も3相の組成も決まる(183 ℃)。2相の領域では F = 1(温度を決めると両相の組成が決まる)。水の三重点(圧力も変数、C = 1、P = 3): F = 1 − 3 + 2 = 0。
計算ツール 2元系状態図ラボ
用語 ギブスの相律 共晶反応
出典: Callister 10版 9章; Porter 3版 1章
Wα = (Cβ − C₀)/(Cβ − Cα)[1]
Wβ = (C₀ − Cα)/(Cβ − Cα) = 1 − Wα[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Wα, Wβ | 相 α・β の質量分率 | 1 |
| C₀ | 合金全体の組成(wt%) | 1 |
| Cα, Cβ | タイラインの両端(その温度の各相の組成、wt%) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 2相の領域の中で、平衡のとき。wt% で入れれば質量分率、at% で入れればモル分率が出る。体積分率にするには各相の密度で割り直す。共晶組織・初析相の割合も、3相の線のすぐ上や下でのてこの規則で出す。
- よくある間違い
- 分子に「求める相の側」の長さを使う(反対側の長さを使う)。wt% と at% を混ぜる。タイラインの端でなく合金の組成を相の組成として使う。
- 例
- Cu–Ni 合金 35 wt% Ni を 1250 ℃に保つ(タイラインの両端 CL = 31.5 wt%、Cα = 42.5 wt%): WL = (42.5 − 35)/(42.5 − 31.5) = 0.682、Wα = 0.318。
計算ドリル てこの規則(相の質量分率)計算ツール 2元系状態図ラボ 鉄–炭素状態図
用語 てこの規則
出典: Callister 10版 9章
We = (C₀ − Cα)/(CE − Cα)亜共晶[1]
Wα′ = (CE − C₀)/(CE − Cα)初晶 α[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| We | 共晶組織の質量分率 | 1 |
| Wα′ | 初晶 α の質量分率 | 1 |
| C₀ | 合金の組成(wt%) | 1 |
| Cα | 共晶温度での α の最大固溶度(wt%) | 1 |
| CE | 共晶組成(wt%) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 共晶温度のすぐ下、平衡で凝固したとき。過共晶は α を β、Cα を Cβ に置き換える。共晶組織の中にも α があるので、相としての α の量は Cβ を使うてこの規則で別に出す。
- よくある間違い
- 組織の割合(初晶と共晶)と相の割合(α と β)を混同する。凝固が速い(Scheil に近い)と、平衡では出ない組成でも共晶が出る。
- 例
- Pb–40 wt% Sn(亜共晶)を 183 ℃のすぐ下へ: 共晶組織 We = (40 − 18.3)/(61.9 − 18.3) = 0.498、初晶 α は 0.502。相として数えると β = (40 − 18.3)/(97.8 − 18.3) = 0.273、α = 0.727(共晶組織の中の α も含む)。
計算ドリル 初晶と共晶組織の割合計算ツール 2元系状態図ラボ
用語 共晶反応 てこの規則
出典: Callister 10版 9章
WP = (C₀ − 0.022)/(0.76 − 0.022)亜共析[1]
Wα′ = (0.76 − C₀)/(0.76 − 0.022)亜共析[1]
WFe₃C′ = (C₀ − 0.76)/(6.70 − 0.76)過共析[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| WP | パーライトの質量分率 | 1 |
| Wα′, WFe₃C′ | 初析フェライト・初析セメンタイトの質量分率 | 1 |
| C₀ | 鋼の炭素量(wt%) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- Fe–Fe₃C 系を 727 ℃のすぐ下までゆっくり冷やしたとき。数値は共析点 0.76 wt% C、フェライトの固溶限 0.022 wt%、Fe₃C 6.70 wt%(サイトの状態図・問題と同じ。資料によって 0.77・6.67 も使う)。
- よくある間違い
- 初析フェライトの割合と、フェライト全体(パーライトの中も含む)の割合を混同する。亜共析と過共析で式を取り違える。焼入れなど速い冷却には使えない。
- 例
- 0.40 wt% C の鋼(亜共析)を 727 ℃のすぐ下へ: パーライト WP = (0.40 − 0.022)/(0.76 − 0.022) = 0.512、初析フェライト 0.488。相としてのフェライト(パーライトの中も含む)は (6.70 − 0.40)/(6.70 − 0.022) = 0.943。1.00 wt% C(過共析)の初析セメンタイトは (1.00 − 0.76)/(6.70 − 0.76) = 0.0404。
計算ドリル 初析フェライト・初析セメンタイトの割合計算ツール 鉄–炭素状態図読みもの 焼入れで鋼(はがね)が硬くなるのはなぜ? 炭素が逃げ遅れるしくみ
用語 共析反応 パーライト
出典: Callister 10版 9章
xB = (wB/MB)/(wA/MA + wB/MB)[1]
wB = xB MB/(xA MA + xB MB)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| xA, xB | モル分率(× 100 で at%) | 1 |
| wA, wB | 質量分率(× 100 で wt%) | 1 |
| MA, MB | モル質量(原子量) | kg/mol |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 2成分のとき。3成分以上も同じ形で分母に全成分の和を入れる。化合物の組成(Fe₃C の 6.70 wt% C = 25 at% C など)の確かめにも使える。
- よくある間違い
- A と B の原子量を入れ替える。wt% のまま原子の数の比として使う。
- 例
- Pb–Sn の共晶 61.9 wt% Sn(Pb 207.2、Sn 118.71 g/mol): xSn = (61.9/118.71)/(61.9/118.71 + 38.1/207.2) = 73.9 at%。
計算ドリル wt% と at% の換算計算ツール 2元系状態図ラボ
出典: Callister 10版 4章
Cs = kC₀(1 − fs)k−1[1]
CL = C₀ fLk−1[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Cs | 固液界面で固まる固相の組成(wt%) | 1 |
| CL | 液相の組成(wt%) | 1 |
| k | 分配係数 Cs/CL(状態図の固相線と液相線の比) | 1 |
| C₀ | 合金の組成(wt%) | 1 |
| fs, fL | 固相・液相の割合 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 固相の中では拡散しない、液相はすぐに均一になる、界面では局所平衡、k が一定(固相線と液相線が直線)のとき。鋳造の偏析、平衡では出ない共晶の量の見積もり。k < 1 では最後の液相ほど溶質が濃い。
- よくある間違い
- fs と fL を取り違える。k を液相線と固相線の比を逆にして取る。平衡のてこの規則の結果と同じになると思う(平衡は固相の中も均一)。
- 例
- Al–4 wt% Cu(状態図の直線から k = 5.65/33.2 = 0.170): 半分固まったとき(fs = 0.5)の界面の固相 Cs = 0.170 × 4 × 0.5^(−0.830) = 1.21 wt%。液相が共晶組成 33.2 wt% に届くときの液相の割合 fL = (33.2/4)^(1/(k − 1)) = 0.0781。平衡なら共晶は出ない組成でも、約 7.8 % が共晶として固まる。
計算ツール 2元系状態図ラボ
用語 共晶反応
出典: Scheil 1942; Porter 3版 4章
ΔGmix = ΩxA xB + RT(xA ln xA + xB ln xB)[kg·m²·s⁻²·mol⁻¹]
ΔSmix = −R(xA ln xA + xB ln xB)[kg·m²·s⁻²·K⁻¹·mol⁻¹]
Tc = Ω/(2R)溶解度のすき間が閉じる温度[K]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ΔGmix | 混合のギブスエネルギー(1 mol 当たり) | J/mol |
| ΔSmix | 理想の混合のエントロピー | J/(mol·K) |
| Ω | 相互作用の係数(0 で理想溶液、正で分かれやすい) | J/mol |
| xA, xB | モル分率 | 1 |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T | 温度 | K |
| Tc | 臨界温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 原子がでたらめに混ざり、混合の熱だけが ΩxA xB で表せるとき(正則溶液)。Ω > 2RT で ΔGmix に2つの谷ができ、2相に分かれる(スピノーダル分解・溶解度のすき間)。
- よくある間違い
- ln を log₁₀ にする。T を ℃で入れる。ΔSmix の負号を落とす(ΔSmix は正)。
- 例
- 理想溶液(Ω = 0)、xB = 0.5、T = 1000 K: ΔGmix = RT(0.5 ln 0.5 × 2) = −5763 J/mol、ΔSmix = 5.763 J/(mol·K)。Ω = 20 kJ/mol なら、2相に分かれ始める温度(臨界温度)は Tc = Ω/(2R) = 1203 K。
計算ツール 2元系状態図ラボ
用語 正則溶液 混合エントロピー スピノーダル分解
出典: Porter 3版 1章
ΔGv = Lv ΔT/Tm[kg·m⁻¹·s⁻²]
r* = 2γ/ΔGv = 2γTm/(Lv ΔT)[m]
ΔG* = 16πγ³/(3ΔGv²)[kg·m²·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ΔGv | 単位体積当たりの駆動力(大きさ) | J/m³ |
| Lv | 単位体積当たりの融解熱(正の値) | J/m³ |
| ΔT | 過冷度 Tm − T | K |
| Tm | 融点 | K |
| γ | 固液界面エネルギー | J/m² |
| r* | 臨界核半径 | m |
| ΔG* | 核生成の障壁(臨界核をつくる仕事) | J |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 球の核、界面エネルギーが等方、ΔT が小さい(ΔGv を融点の近くで直線とみなす)とき。不均一核生成では ΔG* に接触角の関数 S(θ) = (2 + cosθ)(1 − cosθ)²/4 がかかって小さくなる。
- よくある間違い
- 符号の約束の違い(Callister は ΔHf を負とし r* = −2γTm/(ΔHf ΔT))。1 mol 当たりの融解熱をそのまま使う(モル体積で割る)。r* と直径の取り違え。
- 例
- 純金(融解熱 Lv = 1.16 × 10⁹ J/m³、γ = 0.132 J/m²、Tm = 1337 K)を ΔT = 230 K 過冷: r* = 2 × 0.132 × 1337/(1.16 × 10⁹ × 230) = 1.32 nm、ΔG* = 9.68 × 10⁻¹⁹ J(Callister 10章の例題と同じ数値)。
用語 臨界核半径
出典: Callister 10版 10章; Porter 3版 4章
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| y | 変態した割合 | 1 |
| k | 速度の定数(温度で決まる。単位は n による) | s⁻ⁿ |
| t | 時間 | s |
| n | アブラミ指数(核生成と成長の仕方で 1〜4) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: ktⁿ
- 使える条件と範囲
- 一定温度で、核生成と成長でランダムに起こる変態(再結晶・パーライト変態など)。log(ln(1/(1 − y))) を log t に対して描くと傾きが n。変態の速さは 1/t₀.₅ で表すことが多い。
- よくある間違い
- k の単位を s⁻¹ と決めてしまう(n による)。温度の変わる冷却にそのまま使う。
- 例
- n = 3、半分変態する時間 t₀.₅ = 100 s なら k = ln 2/t₀.₅³ = 6.93 × 10⁻⁷ s⁻³。150 s では y = 1 − exp(−k × 150³) = 0.904。
用語 再結晶 パーライト
出典: Callister 10版 10章; Porter 3版 5章
拡散と欠陥 10
D = D₀ exp(−Q/(RT))[m²·s⁻¹]
ln D = ln D₀ − (Q/R)(1/T)アレニウス図(傾き −Q/R)[1]
Q = R ln(D₂/D₁)/(1/T₁ − 1/T₂)2点から[kg·m²·s⁻²·mol⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| D₀ | 前指数因子(温度によらない定数) | m²/s |
| Q | 活性化エネルギー(1 mol 当たり。1原子当たりなら R を k に) | J/mol |
| R | 気体定数 8.314 | J/(mol·K) |
| T | 絶対温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: Q/RT
- 使える条件と範囲
- 一つの機構(格子拡散など)が支配する温度の範囲。低温では粒界・転位に沿った拡散が効いてアレニウス図が折れる。強磁性の Fe や相変態をまたぐ範囲では D₀・Q が変わる。
- よくある間違い
- T を ℃で入れる。Q を kJ/mol のまま J/(mol·K) の R で割る(1000 倍)。eV/原子と kJ/mol の取り違え(1 eV/原子 = 96.49 kJ/mol)。ln と log₁₀ の傾きの違い(log₁₀ なら傾きは −Q/(2.303R))。
- 例
- γ-Fe の中の炭素(D₀ = 2.3 × 10⁻⁵ m²/s、Q = 148 kJ/mol)の 1000 ℃ = 1273.15 K: Q/RT = 13.98、D = 1.95 × 10⁻¹¹ m²/s。逆に 900 ℃の 5.92 × 10⁻¹² と 1100 ℃の 5.39 × 10⁻¹¹ m²/s から Q = R ln(D₂/D₁)/(1/T₁ − 1/T₂) = 148.0 kJ/mol に戻る。1原子当たりでは Q/NA = 1.53 eV。
計算ドリル 拡散係数(アレニウスの式)計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター 拡散・表面処理シミュレーター
用語 拡散係数
出典: Callister 10版 5章; Shewmon 2版 2章
J = −D dC/dx[kg·m⁻²·s⁻¹]
J ≈ D(C₁ − C₂)/(x₂ − x₁)濃度が直線のとき[kg·m⁻²·s⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| J | 拡散の流束(単位面積・単位時間に通る量) | kg/(m²·s) |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| C | 濃度(mol/m³ や原子/m³ でもよい。J の単位がそれに合わせて変わる) | kg/m³ |
| x | 位置 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 濃度分布が時間で変わらない定常状態(膜を通る水素の透過など)。D が濃度によらないとき。流れは濃度の高い側から低い側へ(負号)。
- よくある間違い
- mm を m に直さない。wt% のまま使う(体積当たりの濃度に直す)。非定常の問題に使う。
- 例
- 700 ℃の鋼の板で、表面から 5 mm で 1.2 kg/m³、10 mm で 0.8 kg/m³ の炭素、D = 3 × 10⁻¹¹ m²/s(定常): J = 3 × 10⁻¹¹ × (1.2 − 0.8)/(5 × 10⁻³) = 2.4 × 10⁻⁹ kg/(m²·s)(Callister 5章の例題と同じ数値)。
計算ドリル 定常拡散の流束(フィックの第1法則)
用語 フィックの法則 拡散係数
出典: Callister 10版 5章
∂C/∂t = D ∂²C/∂x²[kg·m⁻³·s⁻¹]
∂C/∂t = ∂/∂x(D ∂C/∂x)D が濃度で変わるとき[kg·m⁻³·s⁻¹]
∂C/∂t = ∇·(D∇C)3次元[kg·m⁻³·s⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| C | 濃度 | kg/m³ |
| t | 時間 | s |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| x | 位置 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 濃度が時間で変わる場合の一般の式。境界の条件ごとに解が違う: 半無限体で表面の濃度が一定なら erfc、表面に一定の量なら ガウス分布、拡散対なら erf、有限の板ならフーリエ級数か数値計算。D が濃度で変わる系(相互拡散)は2行目の形。
- よくある間違い
- D を外に出した1行目を、D が大きく変わる系に使う。解の形(erfc とガウス)を境界の条件を見ずに選ぶ。
- 例
- 濃度の山と谷の間隔(デンドライトの腕の間隔など)L = 50 µm を、D = 1 × 10⁻¹³ m²/s でならす時間の目安は L²/D = 2.5 × 10⁴ s(約 6.9 h)。式の形から、距離が2倍なら時間は4倍。
計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター
用語 フィックの法則
出典: Crank 2版 2章; Callister 10版 5章
(Cx − C₀)/(Cs − C₀) = 1 − erf(x/(2√(Dt)))表面の濃度が一定[1]
C(x, t) = (CA + CB)/2 − ((CA − CB)/2) erf(x/(2√(Dt)))拡散対(x = 0 が接合面)[kg·m⁻³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Cx | 深さ x、時間 t の濃度 | kg/m³ |
| C₀ | はじめの一様な濃度 | kg/m³ |
| Cs | 表面の濃度(一定) | kg/m³ |
| CA, CB | 拡散対の左(x < 0)と右のはじめの濃度 | kg/m³ |
| x | 表面(接合面)からの距離 | m |
| D | 拡散係数(一定) | m²/s |
| t | 時間 | s |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: x/(2√(Dt))
- 使える条件と範囲
- 半無限体(拡散の深さ √(Dt) が板の厚さよりずっと小さい)、D が一定、表面(または接合面の両側)の濃度が一定のとき。浸炭の濃度が wt% のままでも比の形なので使える。
- よくある間違い
- erf と erfc(= 1 − erf)の取り違え。2√(Dt) の 2 を落とす。時間を h のまま入れる。比の分母を Cs − Cx にする。
- 例
- 炭素 0.25 wt% の鋼を 950 ℃(D = 1.10 × 10⁻¹¹ m²/s、拡散・表面処理シミュレーターと同じデータ)で表面 1.20 wt% に浸炭し、深さ 0.5 mm を 0.80 wt% にする: (0.80 − 0.25)/(1.20 − 0.25) = 0.5789 = 1 − erf z から erf z = 0.4211、z = 0.3924、t = x²/(4z²D) = 3.69 × 10⁴ s = 10.2 h。拡散対では x = √(Dt) の位置(z = 0.5)で、C = (CA + CB)/2 − (CA − CB)/2 × erf 0.5 で、CA から CB までの差の 0.760 倍だけ CB の側に寄った値。
計算ドリル 浸炭の深さ(誤差関数) 浸炭の時間(誤差関数)計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター 拡散・表面処理シミュレーター読みもの 焼入れで鋼(はがね)が硬くなるのはなぜ? 炭素が逃げ遅れるしくみ
用語 浸炭 フィックの法則 拡散係数
出典: Callister 10版 5章; Crank 2版 2章
x ∝ √(Dt)[m]
D₁t₁ = D₂t₂同じ濃度分布になる条件[m²]
t₂ = t₁ exp[(Q/R)(1/T₂ − 1/T₁)]温度を変えたとき[s]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| x | 同じ濃度になる深さ | m |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| t | 時間 | s |
| Q | 活性化エネルギー | J/mol |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T₁, T₂ | 温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 同じ境界の条件(表面の濃度など)で、誤差関数やガウスの解のように濃度が x/√(Dt) だけで決まるとき。深さを2倍にするには時間が4倍。
- よくある間違い
- 時間と深さを比例させる(√ を落とす)。温度の換算で T₁ と T₂ を入れ替える(高温ほど短い)。
- 例
- Al の中の Cu(D₀ = 6.5 × 10⁻⁵ m²/s、Q = 136 kJ/mol): 500 ℃で D = 4.22 × 10⁻¹⁴、600 ℃で 4.75 × 10⁻¹³ m²/s。500 ℃で 10 h と同じ深さまで拡散させるには、600 ℃で t = 10 h × D₅₀₀/D₆₀₀ = 0.887 h。10 h の √(Dt) は 500 ℃で 39.0 µm。
計算ドリル 温度を変えたときの拡散の時間計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター 拡散・表面処理シミュレーター
用語 拡散係数
出典: Callister 10版 5章
C(x, t) = M/√(πDt) · exp(−x²/(4Dt))[m⁻³]
xj = √(4Dt ln(C(0, t)/CB))接合の深さ[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| C | 濃度(原子の数密度。kg/m³ でもよい) | m⁻³ |
| M | 表面に置いた単位面積当たりの量(一定) | m⁻² |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| t | 時間 | s |
| x | 表面からの深さ | m |
| xj | 基板の濃度 CB と等しくなる深さ | m |
| CB | 基板(背景)の濃度 | m⁻³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: x²/(4Dt)
- 使える条件と範囲
- はじめに表面に薄く置いた量 M が増えも減りもせず(表面は流れなし)、半無限体へ広がるとき。半導体のドライブイン、トレーサーの拡散。両側に広がる薄膜(無限体の中の層)なら M/(2√(πDt))。
- よくある間違い
- 半無限体と無限体の係数(1/√(πDt) と 1/(2√(πDt)))の取り違え。cm と m(10¹⁴ cm⁻² = 10¹⁸ m⁻²、cm²/s = 10⁻⁴ m²/s)。
- 例
- Si の中のホウ素(D₀ = 0.76 cm²/s、Ea = 3.46 eV)を 1100 ℃(D = 1.52 × 10⁻¹⁷ m²/s)で 1 h ドライブイン、量 M = 5 × 10¹⁸ m⁻²(5 × 10¹⁴ cm⁻²): 表面の濃度 M/√(πDt) = 1.21 × 10²⁵ m⁻³。基板の濃度 10²¹ m⁻³ と等しくなる深さ(接合の深さ)xj = √(4Dt ln(C(0)/CB)) = 1.43 µm。
計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター 拡散・表面処理シミュレーター
用語 フィックの法則
出典: Crank 2版 3章; Sze 3版
Cin+1 = Cin + r(Ci+1n − 2Cin + Ci−1n)[kg·m⁻³]
r = DΔt/Δx² ≤ 1/2安定の条件[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Cin | 格子点 i、時刻 n の濃度 | kg/m³ |
| r | 拡散数(格子のフーリエ数) | 1 |
| D | 拡散係数 | m²/s |
| Δt | 時間の刻み | s |
| Δx | 格子の間隔 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 1次元、D 一定の第2法則を、時間は前進差分、空間は中心差分で解く。r > 1/2 では解が振動して発散する。有限の板・表面の濃度が変わる場合など、解析解のない条件に使う。
- よくある間違い
- 格子を細かくしたのに Δt をそのままにする(Δx を半分にしたら Δt は 1/4)。
- 例
- D = 1 × 10⁻¹¹ m²/s、Δx = 10 µm: Δt ≤ Δx²/(2D) = 5.0 s。拡散・表面処理シミュレーターは余裕をみて r = 0.4(Δt = 4.0 s)で計算する。
計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター
用語 フィックの法則
出典: Crank 2版 8章
Nv = N exp(−Qv/(kT))[m⁻³]
N = NA ρ/A[m⁻³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Nv | 平衡の空孔の数密度 | m⁻³ |
| N | 原子の位置の数密度 | m⁻³ |
| Qv | 空孔の形成エネルギー(1個当たり。eV で与えることが多い) | J |
| k | ボルツマン定数(8.617 × 10⁻⁵ eV/K) | J/K |
| T | 絶対温度 | K |
| NA | アボガドロ定数 | mol⁻¹ |
| ρ | 密度 | kg/m³ |
| A | モル質量 | kg/mol |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: Qv/kT
- 使える条件と範囲
- 熱平衡の空孔。形成エントロピーの項 exp(Sv/k)(1〜10 くらい)は省いた形。急冷した試料では高温の空孔が残る。
- よくある間違い
- Qv を eV のまま J/K の k で割る(eV/K の k を使う)。T を ℃で入れる。ρ の g/cm³ を m⁻³ にするときの 10⁶。
- 例
- 1000 ℃の Cu(ρ = 8.4 g/cm³、A = 63.5 g/mol、Qv = 0.9 eV): N = NA ρ/A = 7.97 × 10²⁸ m⁻³、Qv/kT = 8.203、Nv = 2.2 × 10²⁵ m⁻³(Callister 4章の例題と同じ数値)。原子 3653 個に1つが空孔。
計算ドリル 平衡空孔濃度
用語 空孔
出典: Callister 10版 4章
|b| = (a/n)√(u² + v² + w²)b = (a/n)[uvw][m]
|b| = a/√2FCC の a/2⟨110⟩[m]
|b| = √3a/2BCC の a/2⟨111⟩[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| b | バーガースベクトルの大きさ | m |
| a | 格子定数 | m |
| n | 係数の分母(完全転位では FCC・BCC とも 2) | 1 |
| u, v, w | 方向の指数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 完全転位の b は最も近い原子どうしを結ぶ格子の並進(FCC a/2⟨110⟩、BCC a/2⟨111⟩、HCP a/3⟨11−20⟩ で |b| = a)。部分転位(FCC のショックレー a/6⟨112⟩)は |b| = a/√6。
- よくある間違い
- a/2⟨110⟩ の 1/2 を落として √2a とする。BCC と FCC の向きを取り違える。
- 例
- FCC の Cu(a = 0.36146 nm)の a/2⟨110⟩: |b| = a/√2 = 0.2556 nm(最近接原子間距離と同じ)。BCC の Fe(a = 0.28665 nm)の a/2⟨111⟩: |b| = √3a/2 = 0.2482 nm。
計算ツール 結晶構造ビューア
用語 バーガースベクトル 転位
出典: Hull & Bacon 5版 1章; Callister 10版 7章
NA = N₀ · 2G−1[m⁻²]
ℓ̄ = ℓ₀ · 2−G/2[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| NA | 実寸の単位面積当たりの粒の数 | m⁻² |
| N₀ | 15.50 mm⁻²(100 倍で 1 平方インチに 1 個に当たる) | m⁻² |
| G | ASTM の粒度番号 | 1 |
| ℓ̄ | 平均の線分長(切断法) | m |
| ℓ₀ | 0.320 mm(G = 0 の線分長) | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- ASTM E112 の換算。もとの定義は N = 2G−1(100 倍の像で 1 平方インチ当たりの粒の数)。JIS G 0551(ISO 643)は 1 mm² 当たり m = 8 × 2G で、同じ組織で番号が約 0.05 小さい。粒の大きさを直径にするときの換算(d ≈ ℓ̄ など)は約束による。
- よくある間違い
- 番号が大きいほど粒は細かい。倍率が 100 倍でない像の数をそのまま使う(実寸に直す)。
- 例
- 粒度番号 G = 6: 100 倍で 1 平方インチに 2⁵ = 32 個、実寸では NA = 15.50 × 32 = 496 mm⁻²。平均の線分長は ℓ̄ = 0.3200 × 2^(−3) = 40.0 µm。
読みもの 組織アトラス
用語 ホール・ペッチの関係
出典: ASTM E112
機械的性質 10
σ = F/A₀[kg·m⁻¹·s⁻²]
ε = Δl/l₀[1]
σ = Eε[kg·m⁻¹·s⁻²]
Δl = Fl₀/(A₀E)棒の伸び[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σ | 公称応力 | Pa |
| F | 荷重 | N |
| A₀ | もとの断面積(丸棒は πd²/4) | m² |
| ε | 公称ひずみ | 1 |
| Δl, l₀ | 伸びともとの長さ | m |
| E | ヤング率 | Pa |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 線形弾性(比例限度より下)、小さなひずみ、断面が一様な棒の一軸の引張・圧縮。降伏したあとは使えない。断面が変わる棒は、区間ごとに伸びを求めて足す。
- よくある間違い
- 直径を半径として面積を出す(πd² にすると4倍)。MPa と GPa(N/mm² と kN/mm²)の取り違え。降伏応力を超えた荷重でこの式を使う。
- 例
- Cu の棒を σ = 276 MPa で引っ張る(l₀ = 305 mm、E = 110 GPa、弾性の範囲): ε = 276/110000 = 2.51 × 10⁻³、Δl = εl₀ = 0.765 mm。直径 10 mm の棒なら F = σA = 276 × 78.54 = 21.68 kN。
計算ドリル 弾性変形の伸び
用語 ヤング率
出典: Callister 10版 6章
ν = −εx/εz[1]
Δd = −νεz d₀直径の変化[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ν | ポアソン比(金属 0.26〜0.35、ゴム 0.5 に近い) | 1 |
| εz | 荷重の向きのひずみ | 1 |
| εx | 横のひずみ | 1 |
| d₀, Δd | もとの直径と、その変化 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 等方で線形弾性の範囲。塑性変形では体積がほぼ一定なので、見かけの比は 0.5 に近づく。
- よくある間違い
- 符号(引張で直径は縮む)。直径の変化を半径の変化として扱う。
- 例
- 黄銅の丸棒(d₀ = 10 mm、ν = 0.34、E = 97 GPa)の直径が 2.5 µm 縮む荷重: εx = −2.5 × 10⁻⁴、εz = −εx/ν = 7.35 × 10⁻⁴、σ = Eεz = 71.3 MPa、F = σπd₀²/4 = 5602 N(Callister 6章の例題と同じ数値)。
計算ドリル ポアソン比と直径の変化
用語 ヤング率
出典: Callister 10版 6章
G = E/(2(1 + ν))[kg·m⁻¹·s⁻²]
K = E/(3(1 − 2ν))[kg·m⁻¹·s⁻²]
εx = [σx − ν(σy + σz)]/E一般化したフックの法則[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| E | ヤング率 | Pa |
| G | 剛性率(横弾性係数) | Pa |
| K | 体積弾性率 | Pa |
| ν | ポアソン比 | 1 |
| σx, σy, σz | 垂直応力 | Pa |
| εx | x の向きのひずみ | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 等方体だけ(独立な定数は2つ)。単結晶・繊維強化材などの異方体では成り立たない。熱ひずみがあれば αΔT を足す。ν → 0.5 で K → ∞(非圧縮)。
- よくある間違い
- 異方性の材料(Si ウェーハ、CFRP)に当てはめる。実測の表の G と E/(2(1 + ν)) が合わない材料は、集合組織や測り方の違い。
- 例
- Al(E = 69 GPa、ν = 0.33): G = 69/(2 × 1.33) = 25.9 GPa、K = 69/(3 × 0.34) = 67.6 GPa。鋼の板(E = 200 GPa、ν = 0.30)に σx = σy = 100 MPa の等二軸: εx = (100 − 0.30 × 100)/200000 = 3.5 × 10⁻⁴、εz = −0.30 × 200/200000 = −3.0 × 10⁻⁴。
計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 ヤング率
出典: Callister 10版 6章; Dowling 4版 5章
σT = F/Ai = σ(1 + ε)[kg·m⁻¹·s⁻²]
εT = ln(li/l₀) = ln(1 + ε)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σT | 真応力 | Pa |
| Ai | その時の断面積 | m² |
| F | 荷重 | N |
| σ | 公称応力 | Pa |
| ε | 公称ひずみ | 1 |
| εT | 真ひずみ | 1 |
| li, l₀ | その時の長さともとの長さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 右側の形(1 + ε)は体積一定で、くびれが始まるまで(均一な伸び)。くびれのあとは実際の最小断面 Ai で σT = F/Ai を使う(さらに三軸の補正 Bridgman がある)。
- よくある間違い
- くびれのあとも σ(1 + ε) を使う。圧縮では ε が負で σT は小さくなる。真ひずみを log₁₀ で出す。
- 例
- 公称応力 400 MPa、公称ひずみ 0.20(くびれの前): σT = 400 × 1.20 = 480 MPa、εT = ln 1.20 = 0.182。
計算ドリル 真応力と真ひずみ
用語 加工硬化
出典: Callister 10版 6章
%EL = (lf − l₀)/l₀ × 100[1]
%RA = (A₀ − Af)/A₀ × 100[1]
εT,f = ln(A₀/Af)破断の真ひずみ[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| %EL | 破断の伸び(%) | 1 |
| %RA | 絞り(断面減少率、%) | 1 |
| lf, l₀ | 破断後の標点距離ともとの標点距離 | m |
| Af, A₀ | 破断部の断面積ともとの断面積 | m² |
| εT,f | 破断の真ひずみ | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- %EL は標点距離で変わる(くびれの部分が占める割合が違う)ので、試験片の規格(JIS 14A、ASTM の 50 mm など)を添える。%RA は標点距離によらない。
- よくある間違い
- 直径の比で絞りを出す(面積は直径の2乗)。破断の真応力を最初の断面積で出す。
- 例
- 直径 12.8 mm の鋼の試験片が、公称応力 460 MPa で破断し、破断部の直径が 10.7 mm: %RA = (128.7 − 89.9)/128.7 × 100 = 30.1 %、破断の真ひずみ ln(A₀/Af) = 0.358、真破断応力 = 460 × A₀/Af = 658 MPa(Callister 6章の例題と同じ数値)。
計算ドリル 断面減少率と真破断応力
出典: Callister 10版 6章
σT = KεTⁿ[kg·m⁻¹·s⁻²]
εT = nくびれの始まり(Considère)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σT | 真応力 | Pa |
| K | 強度係数 | Pa |
| εT | (塑性の)真ひずみ | 1 |
| n | 加工硬化指数(0.1〜0.5) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 降伏からくびれまでの均一な塑性変形の範囲。両対数で直線になる範囲で n と K を決める。くびれの条件 dσT/dεT = σT から εT = n。
- よくある間違い
- 公称応力・公称ひずみで当てはめる。n を log₁₀ と ln で違うと思う(比なのでどちらでも同じ)。
- 例
- K = 1035 MPa の合金で、真ひずみ 0.10 のとき真応力 415 MPa: n = ln(415/1035)/ln 0.10 = 0.40。くびれは εT = n ≈ 0.40 で始まる。
用語 加工硬化
出典: Callister 10版 6章; Dowling 4版 15章
Ur = σy²/(2E)[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Ur | レジリエンス係数(降伏までに蓄える単位体積当たりの弾性エネルギー) | J/m³ |
| σy | 降伏強さ | Pa |
| E | ヤング率 | Pa |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 線形弾性で降伏まで。ばね材は Ur の大きい(σy が高く E が低い)材料を選ぶ。靱性(破断までの面積)とは別のもの。
- よくある間違い
- J/m³ と MPa の関係(1 J/m³ = 1 Pa)を見落とす。靱性と混同する。
- 例
- σy = 350 MPa、E = 207 GPa の鋼: Ur = (350 × 10⁶)²/(2 × 207 × 10⁹) = 2.96 × 10⁵ J/m³(= 296 kJ/m³)。
用語 0.2%耐力 ヤング率
出典: Callister 10版 6章
σy = σ₀ + ky d−1/2[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σy | 降伏強さ | Pa |
| σ₀ | 摩擦応力(粒界がないときの値) | Pa |
| ky | ホール・ペッチ係数 | Pa·√m |
| d | 平均の結晶粒径 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 粒径がおよそ 10 nm より大きい多結晶。これより細かいと逆に弱くなることがある(逆ホール・ペッチ)。焼なまし材で、析出・集合組織が同じ比較のとき。
- よくある間違い
- d に µm を入れたまま MPa·√m の ky を使う(m に)。d を直線で(1/√d でなく)とる。粒度番号を粒径と混同する。
- 例
- σ₀ = 70 MPa、ky = 0.74 MPa·√m の鋼: d = 20 µm で σy = 70 + 0.74/√(2 × 10⁻⁵) = 235.5 MPa、d = 5 µm では 400.9 MPa。粒を 1/4 にすると、ky の項が2倍になる。
計算ドリル ホール・ペッチの関係読みもの 組織アトラス
用語 ホール・ペッチの関係
出典: Callister 10版 7章; Hull & Bacon 5版 10章
τR = σ cosφ cosλ[kg·m⁻¹·s⁻²]
σy = τCRSS/(cosφ cosλ)max降伏[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| τR | 分解せん断応力 | Pa |
| σ | 引張応力 | Pa |
| φ | 引張軸とすべり面の法線のなす角 | rad |
| λ | 引張軸とすべり方向のなす角 | rad |
| τCRSS | 臨界分解せん断応力 | Pa |
| σy | 降伏応力 | Pa |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 単結晶の一軸の引張・圧縮。いくつものすべり系のうち cosφ cosλ(シュミッド因子、最大 0.5)が最大の系が最初に動く。立方晶では角度の cos を指数の内積で出す: cosφ = (軸·法線)/(|軸||法線|)。
- よくある間違い
- φ と λ を足して 90° とする(一般にはそうならない)。すべり方向がすべり面の中にない組を選ぶ。sin を使う。
- 例
- BCC の Fe の単結晶を [010] に 52 MPa で引っ張る。すべり系 (110)[−111]: cosφ = 1/√2 = 0.7071(φ = 45°)、cosλ = 1/√3 = 0.5774(λ = 54.7°)、τR = 52 × 0.7071 × 0.5774 = 21.2 MPa。臨界分解せん断応力が 30 MPa なら、降伏する引張応力は 30/(0.4082) = 73.5 MPa(Callister 7章の例題と同じ数値)。
計算ドリル 分解せん断応力(シュミッドの法則)計算ツール 結晶構造ビューア読みもの 金属はなぜ曲がるのに、ガラスや陶器は割れるの?
用語 転位
出典: Callister 10版 7章
M = E/ρ引張の棒の剛さ[m²·s⁻²]
M = E1/2/ρ曲げの梁の剛さ[kg⁻¹ᐟ²·m⁵ᐟ²·s⁻¹]
M = E1/3/ρ曲げの板の剛さ[kg⁻²ᐟ³·m⁸ᐟ³·s⁻²ᐟ³]
M = σf2/3/ρ曲げの梁の強さ[kg⁻¹ᐟ³·m⁷ᐟ³·s⁻⁴ᐟ³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| M | 性能指数(大きいほど同じ性能で軽い。単位は式ごと) | — |
| E | ヤング率 | Pa |
| σf | 破壊(降伏)強さ | Pa |
| ρ | 密度 | kg/m³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 形(断面の寸法の比)を変えてよく、重さを最小にするとき。部材の形・荷重のかけ方・何を一定にするかで指数が変わる。材料選びチャートでは、指数が一定の直線(傾き 1・2・3)より上の材料が候補。
- よくある間違い
- 梁に E/ρ を使う(梁は √E/ρ)。単位をそろえずに異なる指数を比べる。
- 例
- 軽くて曲げに強い梁(指標 √E/ρ、E は GPa、ρ は g/cm³): Al 合金 √70/2.70 = 3.10、鋼 √210/7.85 = 1.85。同じ曲げの剛さなら Al の梁の重さは鋼の 1/1.68。引張の棒(E/ρ)ではほぼ同じ(25.9 と 26.8)。
計算ツール 材料選びチャート
用語 材料選択の性能指数 比剛性 材料選択図(アシュビーの図)
出典: Ashby 5版 5章
破壊 10
σmax = σ₀(1 + 2√(a/ρt)) ≈ 2σ₀√(a/ρt)[kg·m⁻¹·s⁻²]
Kt = σmax/σ₀[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σmax | き裂(切欠き)の先端の最大応力 | Pa |
| σ₀ | 遠くの公称応力 | Pa |
| a | 表面き裂の深さ(内部き裂は長さの半分) | m |
| ρt | 先端の曲率半径 | m |
| Kt | 応力集中係数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: a/ρt
- 使える条件と範囲
- 無限板の中のだ円の穴(長軸に垂直に引張)、線形弾性。鋭いき裂では ρt → 0 で応力が発散するので、K(応力拡大係数)で扱う。実際の部品の Kt は形ごとの線図を使う。
- よくある間違い
- 内部き裂で全長を a に入れる(半分)。a と ρt の単位をそろえない(mm と µm)。
- 例
- 深さ a = 0.5 mm、先端の半径 ρt = 5 µm の表面き裂、σ₀ = 100 MPa: a/ρt = 100、Kt = 1 + 2√100 = 21.0、σmax = 2100 MPa(近似の 2σ₀√(a/ρt) では 2000 MPa)。
計算ドリル き裂の先端の応力集中読みもの 金属はなぜ曲がるのに、ガラスや陶器は割れるの?
用語 応力集中係数 グリフィスの理論
出典: Callister 10版 8章; Anderson 4版 2章
σc = √(2Eγs/(πa))平面応力[kg·m⁻¹·s⁻²]
σc = √(2Eγs/(π(1 − ν²)a))平面ひずみ[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σc | 破壊する応力 | Pa |
| E | ヤング率 | Pa |
| γs | 表面エネルギー | J/m² |
| a | 表面き裂の深さ(内部き裂は長さの半分) | m |
| ν | ポアソン比 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- ガラスのような完全に脆い材料。金属では塑性の仕事 γp が γs の何千倍もあり、2γs を Gc(破壊靱性)に置き換えた形(KIC の式)で使う。
- よくある間違い
- 金属に γs だけで計算する(破壊応力が小さく出すぎる)。2γs の 2 を落とす。
- 例
- ガラスの板(E = 69 GPa、表面エネルギー γs = 0.3 J/m²)に 40 MPa の引張: 壊れない最大の表面き裂 a = 2Eγs/(πσ²) = 8.2 µm。
読みもの 金属はなぜ曲がるのに、ガラスや陶器は割れるの?
用語 グリフィスの理論
出典: Callister 10版 8章; Anderson 4版 2章
KI = Yσ√(πa)[kg·m⁻¹ᐟ²·s⁻²]
KI = KIC破壊の条件[kg·m⁻¹ᐟ²·s⁻²]
ac = (1/π)(KIC/(Yσ))²限界のき裂[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| KI | 応力拡大係数(モード I) | Pa·√m |
| Y | 形の係数(無限板の中のき裂 1.0、表面き裂 ≈ 1.12) | 1 |
| σ | 公称応力 | Pa |
| a | 表面き裂の深さ・内部き裂の長さの半分 | m |
| KIC | 平面ひずみ破壊靱性 | Pa·√m |
| ac | 限界のき裂の大きさ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 線形破壊力学(LEFM): き裂の先の塑性域がき裂・部材の寸法に比べて小さいとき(小規模降伏)。破壊する応力が降伏強さに近いと先に降伏する(破壊前降伏)。KIC は平面ひずみの厚さ(E399)で測った値。
- よくある間違い
- 内部き裂で全長を a に入れる。a を mm のまま √ に入れる(MPa·√m には m)。Y を 1 と決めてしまう。
- 例
- KIC = 60 MPa·√m の鋼板の表面き裂(Y = 1.12): 300 MPa で壊れるき裂の深さ ac = (1/π)(60/(1.12 × 300))² = 10.2 mm。深さ 5 mm のき裂があるときの破壊応力 σc = 60/(1.12√(π × 0.005)) = 427 MPa。
計算ドリル 破壊靱性と破壊する応力 破壊が起こるき裂の大きさ読みもの 金属はなぜ曲がるのに、ガラスや陶器は割れるの?
用語 応力拡大係数 破壊靭性 破壊前降伏
出典: Callister 10版 8章; Anderson 4版 2章
G = K²/E平面応力[kg·s⁻²]
G = K²(1 − ν²)/E平面ひずみ[kg·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| G | エネルギー解放率(き裂が単位面積進むときに出るエネルギー) | J/m² |
| K | 応力拡大係数 | Pa·√m |
| E | ヤング率 | Pa |
| ν | ポアソン比 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 線形弾性、モード I。G ≥ Gc でき裂が進む(グリフィスの考え方を一般にした形)。複数のモードでは G = (KI² + KII²)(1 − ν²)/E + KIII²(1 + ν)/E。
- よくある間違い
- 平面応力と平面ひずみの取り違え。K を MPa·√m のまま入れて単位を落とす(Pa·√m に)。
- 例
- KIC = 50 MPa·√m、E = 210 GPa、ν = 0.3(平面ひずみ): GIC = K²(1 − ν²)/E = 10.8 kJ/m²。
用語 エネルギー解放率
出典: Anderson 4版 2章
rp = (1/(2π))(K/σy)²平面応力の塑性域(Irwin)[m]
B, a ≥ 2.5(KIC/σy)²平面ひずみの条件[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| rp | き裂の先の塑性域の大きさ | m |
| K, KIC | 応力拡大係数・平面ひずみ破壊靱性 | Pa·√m |
| σy | 降伏強さ | Pa |
| B, a | 試験片の厚さ・き裂の長さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- Irwin の1次の見積もり(平面ひずみでは約 1/3)。2.5(KIC/σy)² は ASTM E399 の有効性の条件で、これより薄いと平面応力に近づき、見かけの靱性が大きく出る。
- よくある間違い
- 塑性域の大きさを直径として扱う。薄板で測った値を KIC と呼ぶ。
- 例
- K = 50 MPa·√m、σy = 500 MPa: 平面応力の塑性域 rp = (1/2π)(50/500)² = 1.59 mm(平面ひずみなら約 1/3)。KIC を有効に測るには厚さ・き裂の長さが 2.5(KIC/σy)² = 25.0 mm 以上。
用語 破壊靭性 破壊前降伏
出典: Anderson 4版 2章; ASTM E399
da/dN = C(ΔK)m[m]
ΔK = YΔσ√(πa)[kg·m⁻¹ᐟ²·s⁻²]
Nf = [ac1−m/2 − a₀1−m/2]/[C(YΔσ√π)m(1 − m/2)]Y 一定、m ≠ 2[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| da/dN | 1回当たりのき裂の進み | m |
| C | 材料の定数(単位は m で決まる) | m·(Pa·√m)⁻ᵐ |
| ΔK | 応力拡大係数の幅 | Pa·√m |
| m | パリスの指数(金属で 2〜4) | 1 |
| Δσ | 応力の幅(圧縮の部分はふつう数えない) | Pa |
| Y | 形の係数 | 1 |
| a, a₀, ac | き裂の大きさ(はじめ・限界) | m |
| Nf | 寿命の回数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- き裂の進展の第 II 領域(ΔK のしきい値より上、Kmax が KIC より十分下)。平均応力(R)の影響を含まない形。Y がき裂の長さで変わるときは数値で積分する。
- よくある間違い
- C の単位(MPa·√m と m で決めたのか)を確かめずに使う。ΔK に Kmax を入れる。積分で m = 2 の場合を同じ式で計算する(対数の形になる)。
- 例
- Δσ = 100 MPa(圧縮の側は数えない)、はじめの表面き裂 2.0 mm、KIC = 25 MPa·√m、Y = 1.0、C = 1.0 × 10⁻¹²、m = 3(MPa·√m と m の単位): 最後のき裂 ac = (1/π)(25/100)² = 19.9 mm、Nf = [ac^(−1/2) − a₀^(−1/2)]/[C(Δσ√π)³(−1/2)] = 5.48 × 10⁶ 回(Callister 8章の例題と同じ条件)。
用語 パリス則 ストライエーション 応力拡大係数
出典: Paris & Erdogan 1963; Callister 10版 8章; Anderson 4版 10章
σa = σf′(2Nf)bBasquin(高サイクル)[kg·m⁻¹·s⁻²]
Δε/2 = (σf′/E)(2Nf)b + εf′(2Nf)cCoffin–Manson を足した形(低サイクル)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σa | 応力振幅 | Pa |
| σf′ | 疲労強度係数 | Pa |
| 2Nf | 破断までの反転の数(回数の2倍) | 1 |
| b | 疲労強度指数(−0.05〜−0.12) | 1 |
| Δε/2 | ひずみ振幅 | 1 |
| E | ヤング率 | Pa |
| εf′ | 疲労延性係数 | 1 |
| c | 疲労延性指数(−0.5〜−0.7) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 平均応力のない両振りの一定振幅、平滑な試験片。高サイクルでは弾性の項、低サイクル(およそ 10⁴ 回より少ない)では塑性の項が効く。平均応力は Morrow などの補正、変動する荷重はマイナー則と組み合わせる。
- よくある間違い
- 2Nf(反転の数)と Nf(回数)の取り違え。応力振幅と応力の幅(2倍)の取り違え。
- 例
- 仮の定数 σf′ = 1000 MPa、b = −0.09、εf′ = 0.6、c = −0.6、E = 200 GPa: Nf = 10⁴ 回のひずみ振幅は 弾性 2.05 × 10⁻³ + 塑性 1.58 × 10⁻³ = 3.63 × 10⁻³。弾性と塑性が等しくなる遷移の寿命 Nt = 5968 回。応力振幅 400 MPa(高サイクル)の寿命は Basquin で Nf = (400/1000)^(1/b)/2 = 1.32 × 10⁴ 回。
用語 疲労限度
出典: Dowling 4版 9章; Dowling 4版 14章
σa/σe + σm/σu = 1修正グッドマン[1]
σm = (σmax + σmin)/2平均応力[kg·m⁻¹·s⁻²]
σa = (σmax − σmin)/2応力振幅[kg·m⁻¹·s⁻²]
R = σmin/σmax応力比[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σa | 応力振幅 | Pa |
| σm | 平均応力 | Pa |
| σe | 両振りの疲労限度(または N 回の疲労強さ) | Pa |
| σu | 引張強さ | Pa |
| σmax, σmin | 最大・最小の応力 | Pa |
| R | 応力比 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: σa/σe, σm/σu
- 使える条件と範囲
- 引張の平均応力が疲労強さを下げる影響の、安全側の直線の近似。延性材料ではゲルバー(放物線、(σm/σu)²)が実測に近く、降伏で決めるならゾーダーバーグ(σu を σy に)。圧縮の平均応力にはふつう効かせない。
- よくある間違い
- 応力の幅を振幅に入れる(半分)。R = −1(両振り)と R = 0(片振り)の取り違え。
- 例
- 疲労限度 σe = 300 MPa(両振り)、引張強さ σu = 800 MPa、平均応力 200 MPa: 許される応力振幅 σa = 300(1 − 200/800) = 225 MPa。σmax = 200 + 225 = 425 MPa、σmin = −25 MPa、R = −0.059。
用語 修正グッドマン線図 疲労限度
出典: Dowling 4版 10章; Callister 10版 8章
D = Σ ni/Ni[1]
D = 1破断[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| D | 損傷の和 | 1 |
| ni | 応力 i で加えた回数 | 1 |
| Ni | 応力 i だけで壊れる回数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 順序の影響を無視した近似。高い応力から先にかけると D < 1 で壊れやすく、低い応力から先では D > 1 になることがある。設計では D を 0.3〜0.5 程度に抑えることもある。
- よくある間違い
- 疲労限度より下の応力の回数を数えない・Ni を無限大と決める(き裂が進むと下でも損傷する)。
- 例
- 寿命 10⁵ 回の応力で 2 × 10⁴ 回(0.2)、寿命 10⁶ 回の応力で 3 × 10⁵ 回(0.3): 損傷 D = 0.50。残りを寿命 10⁷ 回の応力で使うと、あと (1 − 0.50) × 10⁷ = 5.0 × 10⁶ 回。
用語 マイナー則
出典: Dowling 4版 9章
Pf = 1 − exp[−(V/V₀)(σ/σ₀)m][1]
σ₂/σ₁ = (V₁/V₂)1/m大きさの効果[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Pf | 壊れる確率 | 1 |
| V, V₀ | 応力のかかる体積と基準の体積 | m³ |
| σ | 応力 | Pa |
| σ₀ | 尺度の母数(V₀ で 63.2 % が壊れる応力) | Pa |
| m | ワイブル係数(ばらつきの小ささ、セラミックス 5〜20) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 最も弱いところから壊れる(最弱リンク)脆性材料。体積の一様な引張の形で、曲げなど応力が一様でないときは有効体積を使う。m は ln ln(1/(1 − Pf)) と ln σ の直線の傾き。
- よくある間違い
- 曲げ試験の強さを引張の部品にそのまま使う(有効体積が違う)。Pf と生き残る確率 Ps = 1 − Pf の取り違え。
- 例
- ワイブル係数 m = 10、σ₀ = 300 MPa(体積 V₀ の試験片)のセラミックスを 200 MPa で: Pf = 1 − exp[−(200/300)¹⁰] = 0.0172。体積が10倍の部品で同じ破壊の確率になる応力は (1/10)^(1/10) = 0.794 倍に下がる。
用語 ワイブル係数
出典: Weibull 1951; Callister 10版 12章
熱 12
ΔL/L₀ = αl ΔT[1]
αv ≈ 3αl体積膨張(等方)[K⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ΔL, L₀ | 長さの変化ともとの長さ | m |
| αl | 線膨張係数 | K⁻¹ |
| ΔT | 温度の変化(T₂ − T₁) | K |
| αv | 体積膨張係数 | K⁻¹ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- α がその温度の範囲で一定とみなせるとき(広い範囲では α(T) を積分)。体積の 3α は等方な材料だけ(異方な結晶・繊維強化材は向きごと)。
- よくある間違い
- 10⁻⁶ K⁻¹ の 10⁻⁶ を落とす。温度の差でなく絶対温度をかける。℃の差と K の差は同じ(ΔT はどちらで書いてもよい)。
- 例
- 黄銅の線(α = 20 × 10⁻⁶ K⁻¹)15 m を 40 ℃から −9 ℃へ: ΔL = 20 × 10⁻⁶ × 15 × (−49) = −1.47 × 10⁻² m = −14.7 mm(縮む)。体積は 3α で 0.29 % 減る。
計算ドリル 熱膨張による伸び計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 線膨張係数 インバー
出典: Callister 10版 19章
σ = −EαΔT一軸に拘束[kg·m⁻¹·s⁻²]
σ = −EαΔT/(1 − ν)等二軸に拘束(板)[kg·m⁻¹·s⁻²]
σ = −EαΔT/(1 − 2ν)三軸に拘束[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σ | 熱応力(引張が正) | Pa |
| E | ヤング率 | Pa |
| α | 線膨張係数 | K⁻¹ |
| ΔT | 応力のない状態からの温度の変化 | K |
| ν | ポアソン比 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 完全に拘束した(伸びを0にした)、線形弾性の範囲。加熱すると圧縮、冷却すると引張。部分的な拘束や、温度が場所で違う場合は熱膨張・熱応力ラボの式で。
- よくある間違い
- 符号の取り違え。板(2軸)に一軸の式を使う。降伏を超えた値をそのまま使う。
- 例
- 両端を固定した黄銅の棒(E = 100 GPa、α = 20 × 10⁻⁶ K⁻¹)を 20 ℃から加熱: 圧縮の応力を 172 MPa までにする最高の温度は ΔT = 172/(100000 × 20 × 10⁻⁶) = 86.0 K、T = 106 ℃。2軸に拘束した板(ν = 0.35)なら同じ ΔT で応力は 1/(1 − ν) = 1.54 倍。
計算ドリル 拘束した棒の熱応力計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力 線膨張係数
出典: Callister 10版 19章; Timoshenko & Goodier 3版 13章
σf = [Ef/(1 − νf)](αs − αf)ΔT[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σf | 膜の熱応力(等二軸、引張が正) | Pa |
| Ef/(1 − νf) | 膜の二軸弾性率 | Pa |
| αs, αf | 基板・膜の線膨張係数 | K⁻¹ |
| ΔT | 応力のない温度からの変化(冷却で負) | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 膜が基板よりずっと薄く(基板は変形しない)、膜の面内で等方、線形弾性。成膜した温度を応力のない温度とする(成膜中の真性応力は別に足す)。
- よくある間違い
- (αf − αs) と (αs − αf) の向き。1 − ν を落とす(一軸の式)。単結晶の基板・膜の異方性を無視する。
- 例
- Si 基板(αs = 2.6 × 10⁻⁶ K⁻¹)の上の Al 膜(Ef = 70 GPa、νf = 0.33、αf = 23.1 × 10⁻⁶ K⁻¹)を 400 ℃で応力なしとして 25 ℃へ冷やす: σf = (70000/0.67) × (2.6 − 23.1) × 10⁻⁶ × (−375) = 803 MPa(引張)。実際は Al が降伏するので、この弾性の値まで上がらない。
計算ドリル 薄膜の熱応力(等二軸)計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力
出典: Timoshenko & Goodier 3版 13章
σf = Es ts² κ/[6(1 − νs) tf][kg·m⁻¹·s⁻²]
κ = 1/R曲率[m⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σf | 膜の平均の応力 | Pa |
| Es/(1 − νs) | 基板の二軸弾性率 | Pa |
| ts, tf | 基板・膜の厚さ | m |
| κ | 曲率(成膜の前後の差) | m⁻¹ |
| R | 曲率半径 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- tf ≪ ts、たわみが基板の厚さより小さい、基板は等方(Si(100) は二軸弾性率 180 GPa を使う)。膜の弾性定数は要らない。
- よくある間違い
- ts と tf の入れ替え(ts は2乗)。成膜前の曲率を引かない。直径と半径の取り違え(曲率半径)。
- 例
- (100) Si ウェーハ(二軸弾性率 Es/(1 − νs) = 180 GPa、厚さ 0.525 mm)に 1 µm の膜をつけたら、曲率半径が 50 m になった: σf = 180 × 10⁹ × (0.525 × 10⁻³)²/(6 × 10⁻⁶ × 50) = 165 MPa。
計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力
出典: Stoney 1909
σ₁A₁ + σ₂A₂ = 0力のつり合い[kg·m·s⁻²]
α₁ΔT + σ₁/E₁ = α₂ΔT + σ₂/E₂伸びが等しい[1]
σ₁ = −(α₁ − α₂)ΔT/[1/E₁ + A₁/(A₂E₂)]解[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σ₁, σ₂ | 各棒の応力 | Pa |
| A₁, A₂ | 断面積 | m² |
| α₁, α₂ | 線膨張係数 | K⁻¹ |
| E₁, E₂ | ヤング率 | Pa |
| ΔT | 温度の変化 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 両端で結んだ並列の2本の棒(外からの力なし)、一様な温度、線形弾性、曲げなし。外から荷重もかかるときは、力のつり合いの右辺をその荷重にする。
- よくある間違い
- どちらか一方を完全に拘束した値(EαΔT)で済ませる。断面積の違いを無視する。
- 例
- 同じ断面(100 mm²)の鋼(E = 200 GPa、α = 12 × 10⁻⁶)と Al(70 GPa、23 × 10⁻⁶)の棒を両端で結び、100 K 加熱: 鋼の応力 σ₁ = −(12 − 23) × 10⁻⁶ × 100/(1/200000 + 1/70000) = 57.0 MPa(引張)、Al の応力 σ₂ = −57.0 MPa(圧縮)。
計算ドリル 組棒(バイメタル)の熱応力計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力 線膨張係数
出典: Timoshenko & Goodier 3版 13章; Callister 10版 19章
κ = 6Δε(1 + m)²/{h[3(1 + m)² + (1 + mn)(m² + 1/(mn))]}[m⁻¹]
κ = 3Δε/(2h)t₁ = t₂、E₁ = E₂[m⁻¹]
m = t₁/t₂, n = E₁/E₂記号[1]
h = t₁ + t₂全体の厚さ[m]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| κ | 曲率 | m⁻¹ |
| Δε | 熱ひずみの差 (α₂ − α₁)ΔT | 1 |
| t₁, t₂, h | 各層の厚さと全体の厚さ | m |
| m, n | 厚さの比・ヤング率の比 | 1 |
| E₁, E₂ | 各層のヤング率 | Pa |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 2層の梁、幅方向の拘束なし(平面応力の梁)、線形弾性、一様な温度。板として幅も広いときは E を E/(1 − ν) にする。
- よくある間違い
- 膨張の大きい層の側が凸になる向きを取り違える。h を一方の層の厚さにする。
- 例
- 厚さ 0.5 mm ずつ、ヤング率の等しい2層で、膨張係数の差 18 × 10⁻⁶ K⁻¹、50 K 加熱(Δε = 9.0 × 10⁻⁴): m = n = 1 で κ = 3Δε/(2h) = 1.35 m⁻¹(曲率半径 0.741 m)。
計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力
出典: Timoshenko 1925
R = σf(1 − ν)/(Eα)熱衝撃抵抗(急冷)[K]
R′ = κR熱流が一定のとき[kg·m·s⁻³]
β = ah/κビオ数[1]
ΔTc = R(1.5 + 3.25/β − 0.5e−16/β)Manson の式[K]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| R | 急冷で割れる温度差(β → ∞) | K |
| σf | 破壊強さ | Pa |
| ν | ポアソン比 | 1 |
| E | ヤング率 | Pa |
| α | 線膨張係数 | K⁻¹ |
| κ | 熱伝導率 | W/(m·K) |
| R′ | 第2の熱衝撃抵抗 | W/m |
| β | ビオ数 | 1 |
| a | 板の厚さの半分 | m |
| h | 熱伝達係数 | W/(m²·K) |
| ΔTc | 割れる温度差 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 脆い材料の板を表面から急に冷やす(または加熱する)とき、割れ始めの条件。β が大きい(急冷・厚い・熱伝導が低い)ほど R に近づく。強さのばらつき・き裂の進み方(R‴ など)は別に考える。
- よくある間違い
- a に板の厚さ全体を入れる(半分)。α の 10⁻⁶ を落とす。加熱と冷却で表面の応力の向きが逆になることを忘れる。
- 例
- アルミナ(熱膨張・熱応力ラボのデータ: σf = 310 MPa、ν = 0.23、E = 360 GPa、α = 7.2 × 10⁻⁶ K⁻¹、κ = 29 W/(m·K)): R = 92.1 K、R′ = κR = 2671 W/m。厚さ 10 mm の板(a = 5 mm)を水で冷やす(h ≈ 10⁴ W/(m²·K)): β = ah/κ = 1.72、割れる温度差 ΔTc ≈ R × (1.5 + 3.25/β − 0.5e^(−16/β)) = 312 K。
計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 熱応力
出典: Kingery 2版 16章; Manson 1966
q = −κ dT/dx[kg·s⁻³]
q = κΔT/L平らな板(定常)[kg·s⁻³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| q | 熱流束 | W/m² |
| κ | 熱伝導率 | W/(m·K) |
| T, ΔT | 温度・板の両面の温度差 | K |
| x, L | 位置・板の厚さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 定常で κ が温度によらないとき。重ねた板は熱抵抗 L/κ を足す。面の熱伝達(対流)があれば 1/h も足す。
- よくある間違い
- 厚さを mm のまま入れる。熱伝導率と熱拡散率の取り違え。
- 例
- 鋼の板(κ = 50 W/(m·K))、厚さ 10 mm、両面の温度差 100 K(定常): q = 50 × 100/0.010 = 5.0 × 10⁵ W/m²。
計算ドリル 板を通る熱流束
用語 フォノン
出典: Callister 10版 19章
a = κ/(ρcp)[m²·s⁻¹]
∂T/∂t = a ∂²T/∂x²非定常の熱伝導[s⁻¹·K]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| a | 熱拡散率 | m²/s |
| κ | 熱伝導率 | W/(m·K) |
| ρ | 密度 | kg/m³ |
| cp | 比熱(定圧) | J/(kg·K) |
| T | 温度 | K |
| t | 時間 | s |
| x | 位置 | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 非定常の熱伝導の速さを決める量で、拡散の D と同じ形の式になる(erfc の解などがそのまま使える)。レーザーフラッシュ法で a を測り、κ = aρcp で熱伝導率を出す。
- よくある間違い
- cp を J/(mol·K) のまま使う(質量当たりに)。ρ を g/cm³ のまま使う。
- 例
- Cu(κ = 398 W/(m·K)、ρ = 8960 kg/m³、cp = 385 J/(kg·K)): a = 1.15 × 10⁻⁴ m²/s。1 s で熱が届く目安の距離 √(at) = 10.7 mm。
用語 熱拡散率
出典: Callister 10版 19章
Cv = 3RT ≫ θD(デュロン・プティ)[kg·m²·s⁻²·K⁻¹·mol⁻¹]
Cv = (12π⁴/5)R(T/θD)³T ≪ θD(デバイの T³ 則)[kg·m²·s⁻²·K⁻¹·mol⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Cv | 定積モル比熱(格子の分) | J/(mol·K) |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T | 温度 | K |
| θD | デバイ温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 単体の固体の1 mol(原子)当たり。化合物は化学式の原子の数をかける。金属は低温で電子の比熱(T に比例)が加わる。固体では Cp と Cv の差は小さい。
- よくある間違い
- モル当たりと質量当たりの取り違え。化合物で原子の数をかけ忘れる。
- 例
- Al(デバイ温度 θD = 428 K): 20 K で Cv = (12π⁴/5)R(20/428)³ = 0.198 J/(mol·K)。室温付近の上限 3R = 24.94 J/(mol·K)、質量当たり 3R/M = 924 J/(kg·K)(実測の cp は 897 J/(kg·K))。
用語 デュロン・プティの法則 デバイ温度 フォノン
出典: Kittel 8版 5章; Callister 10版 19章
κe/(σT) = L₀[kg²·m⁴·s⁻⁶·K⁻²·A⁻²]
L₀ = (π²/3)(k/e)² = 2.44 × 10⁻⁸ W·Ω/K²ローレンツ数[kg²·m⁴·s⁻⁶·K⁻²·A⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| κe | 電子による熱伝導率 | W/(m·K) |
| σ | 電気伝導率 | S/m |
| T | 温度 | K |
| L₀ | ローレンツ数 | W·Ω/K² |
| k | ボルツマン定数 | J/K |
| e | 電気素量 | C |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 金属の電子の伝導で、室温以上と極低温でよく合う(中間の温度では非弾性散乱で小さくなる)。格子(フォノン)の熱伝導は含まないので、合金・半導体では κ = κe + κph。
- よくある間違い
- 抵抗率 ρ と伝導率 σ の取り違え。絶縁体・セラミックスに当てはめる。
- 例
- Cu(σ = 5.96 × 10⁷ S/m、293 K): κe = L₀σT = 2.443 × 10⁻⁸ × 5.96 × 10⁷ × 293 = 427 W/(m·K)(実測 401 W/(m·K))。
用語 ヴィーデマン・フランツの法則
出典: Kittel 8版 6章
p = δ/{d[(1/Eo)((D² + d²)/(D² − d²) + νo) + (1/Ei)((d² + di²)/(d² − di²) − νi)]}[kg·m⁻¹·s⁻²]
σθ = p(D² + d²)/(D² − d²)輪の内面の周方向の応力[kg·m⁻¹·s⁻²]
ΔT = (δ + c)/(αd)組み立てに必要な加熱[K]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| p | はめあい面の圧力 | Pa |
| δ | 直径のしめしろ | m |
| d | はめあいの直径 | m |
| D | 外側の部材(輪)の外径 | m |
| di | 内側の部材の穴の径(中実は 0) | m |
| Eo, Ei | 外側・内側の部材のヤング率 | Pa |
| νo, νi | 外側・内側の部材のポアソン比 | 1 |
| σθ | 周方向の応力 | Pa |
| c | 組み立てのすき間 | m |
| α | 外側の部材の線膨張係数 | K⁻¹ |
| ΔT | 加熱する温度差 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 厚肉円筒、平面応力、線形弾性、はめあいの長さ全体で圧力が一様。降伏すると圧力は下がる。輪の内面の周方向の応力が最も大きい。
- よくある間違い
- 半径のしめしろを直径の式に入れる(2倍の違い)。内側の部材の項の ν の符号(− νi)。
- 例
- 鋼の輪(外径 100 mm)を、直径 50 mm の鋼の軸に、直径のしめしろ 0.05 mm で焼きばめ(E = 200 GPa、ν = 0.3): p = 75.0 MPa、輪の内面の周方向の応力 p(D² + d²)/(D² − d²) = 125 MPa(引張)。0.02 mm のすき間を見込んで入れるには、輪を ΔT = (0.05 + 0.02)/(12 × 10⁻⁶ × 50) = 117 K 加熱する。
計算ツール 熱膨張・熱応力ラボ
用語 線膨張係数
出典: Timoshenko & Goodier 3版 4章
複合材料 9
Ecl = Vf Ef + Vm Em繊維の向き(等ひずみ、Voigt)[kg·m⁻¹·s⁻²]
Ff/Fm = Vf Ef/(Vm Em)荷重の分け方[1]
Vf + Vm = 1空隙なし[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Ecl | 複合材料の繊維の向きのヤング率 | Pa |
| Ef, Em | 繊維・母材のヤング率 | Pa |
| Vf, Vm | 繊維・母材の体積率 | 1 |
| Ff, Fm | 繊維・母材が持つ力 | N |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 連続した繊維がそろっていて、繊維と母材が同じひずみになる(よく接着している)とき。弾性率の上限(Voigt)。体積率で入れる(質量率は先に体積率に直す)。空隙は剛性0の相として V に数える。
- よくある間違い
- 質量率をそのまま入れる。繊維に直角の向きにも使う(下の逆複合則)。荷重の比と荷重の割合(Ff/(Ff + Fm))の取り違え。
- 例
- ガラス繊維 40 vol%(Ef = 69 GPa)とポリエステル(Em = 3.4 GPa)の一方向材(Callister 16章の例題と同じ数値): Ecl = 0.40 × 69 + 0.60 × 3.4 = 29.6 GPa。荷重の分け方 Ff/Fm = (0.40 × 69)/(0.60 × 3.4) = 13.5(繊維が全体の 93.1 % を持つ)。
計算ドリル 複合則(繊維方向のヤング率) 繊維と母材の荷重の分担計算ツール 複合材料デザイナー
用語 複合則 GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)
出典: Callister 10版 16章; Hull & Clyne 2版 3章
1/Ect = Vf/Ef + Vm/Em繊維に直角(等応力、Reuss)[kg⁻¹·m·s²]
Ect = Ef Em/(Vf Em + Vm Ef)[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Ect | 繊維に直角の向きのヤング率 | Pa |
| Ef, Em | 繊維・母材のヤング率 | Pa |
| Vf, Vm | 体積率 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 繊維と母材が同じ応力を受けるとみなす弾性率の下限(Reuss)。実際の横の弾性率はこれより少し大きく、Halpin–Tsai の式のほうが合う。炭素繊維は径方向の弾性率が繊維の向きよりずっと小さい(T300 で約 15 GPa)ので、Ef には径方向の値を使う。
- よくある間違い
- 逆数をとるのを忘れる(Vf/Ef + Vm/Em のまま)。炭素繊維の Ef に繊維の向きの値を入れる。
- 例
- 同じガラス 40 vol%/ポリエステルの、繊維に直角の向き: 1/Ect = 0.40/69 + 0.60/3.4 → Ect = 5.49 GPa(繊維の向きの 19 %)。
計算ドリル 逆複合則(繊維に垂直な方向)計算ツール 複合材料デザイナー
用語 複合則
出典: Callister 10版 16章; Hull & Clyne 2版 3章
P/Pm = (1 + ξηVf)/(1 − ηVf)[1]
η = (Pf/Pm − 1)/(Pf/Pm + ξ)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| P | 複合材料の弾性率(E₂ または G₁₂) | Pa |
| Pf, Pm | 繊維・母材の同じ種類の弾性率 | Pa |
| ξ | 形の係数(円い繊維の E₂ で 2、G₁₂ で 1) | 1 |
| η | 補助の量 | 1 |
| Vf | 繊維の体積率 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 一方向材の横の弾性率 E₂ と面内のせん断弾性率 G₁₂ の実用の近似。ξ = 0 で逆複合則、ξ → ∞ で複合則になる。Vf が 0.6 を超えると実測より小さめに出ることがある。
- よくある間違い
- ξ を性質ごとに変えない(E₂ と G₁₂ で違う)。G₁₂ の Pm に Em を入れる(Gm = Em/[2(1 + νm)])。
- 例
- 同じガラス 40 vol%/ポリエステルの横の弾性率を ξ = 2 で: η = (69/3.4 − 1)/(69/3.4 + 2) = 0.8654、E₂ = 3.4 × (1 + 2 × 0.8654 × 0.40)/(1 − 0.8654 × 0.40) = 8.80 GPa(逆複合則の 5.49 GPa より大きい)。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 複合則
出典: Halpin & Kardos 1976; Jones 2版 3章
Vf = (wf/ρf)/(wf/ρf + wm/ρm)質量率から体積率[1]
wf = Vf ρf/ρc体積率から質量率[1]
ρc = Vf ρf + Vm ρm密度(複合則)[kg·m⁻³]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Vf, Vm | 繊維・母材の体積率 | 1 |
| wf, wm | 繊維・母材の質量率 | 1 |
| ρf, ρm, ρc | 繊維・母材・複合材料の密度 | kg/m³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 空隙がないとき。空隙の体積率 Vv があれば Vf + Vm + Vv = 1 で、実測の密度と燃焼法などの質量率から Vv を求める。密度の単位は比をとるので g/cm³ のままでよい。
- よくある間違い
- 質量率を体積率として複合則に入れる。wm = 1 − wf の代わりに 1 − Vf を使う。
- 例
- 炭素繊維(ρf = 1.76 g/cm³)65 wt% のエポキシ(ρm = 1.20 g/cm³): Vf = (0.65/1.76)/(0.65/1.76 + 0.35/1.20) = 0.3693/(0.3693 + 0.2917) = 0.559。ρc = 0.559 × 1.76 + 0.441 × 1.20 = 1.51 g/cm³。
計算ドリル 複合則(繊維方向のヤング率)計算ツール 複合材料デザイナー
用語 CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 複合則
出典: Hull & Clyne 2版 1章; Callister 10版 16章
σcl* = Vf σf* + Vm σm′繊維が先に切れる(εf* < εm*)[kg·m⁻¹·s⁻²]
σm′ = Em εf*繊維が切れるときの母材の応力[kg·m⁻¹·s⁻²]
Vmin = (σm* − σm′)/(σf* + σm* − σm′)繊維が強さを決める最小の体積率[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σcl* | 繊維の向きの引張強さ | Pa |
| σf*, σm* | 繊維・母材の引張強さ | Pa |
| σm′ | 繊維が切れるひずみでの母材の応力 | Pa |
| εf* | 繊維の破断ひずみ σf*/Ef | 1 |
| Em | 母材のヤング率 | Pa |
| Vf, Vm | 体積率 | 1 |
| Vmin | 最小の体積率 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 連続した繊維で、繊維の破断ひずみが母材より小さい(炭素・ガラス/エポキシ)とき。繊維の強さのばらつき(ワイブル)や繊維の向きの乱れで実測は 7〜9 割になることが多い。母材が先に割れる組み合わせ(セラミックス基)では別の式。
- よくある間違い
- σm′ に母材の引張強さ σm* を入れる。繊維に直角の強さにも使う(直角は母材と界面が決める)。
- 例
- T300 炭素繊維(σf* = 3530 MPa、Ef = 230 GPa)と 8552 エポキシ(Em = 4.67 GPa、σm* = 121 MPa、破断ひずみ 1.7 %)、Vf = 0.60(複合材料デザイナーの値): 繊維の破断ひずみ 3530/230000 = 1.53 % が母材より小さいので繊維が先に切れる。σm′ = 4670 × 0.0153 = 71.7 MPa、σcl* = 0.60 × 3530 + 0.40 × 71.7 = 2147 MPa。Vmin = 1.4 × 10⁻² なので、ふつうの体積率では繊維が強さを決める。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 複合則
出典: Callister 10版 16章; Hull & Clyne 2版 8章
lc = σf* d/(2τc)臨界繊維長[m]
σcd* = Vf σf*(1 − lc/(2l)) + Vm σm′l > lc[kg·m⁻¹·s⁻²]
σcd* = Vf τc l/d + Vm σm′l < lc[kg·m⁻¹·s⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| lc | 臨界繊維長 | m |
| l | 繊維の長さ | m |
| σf* | 繊維の引張強さ | Pa |
| d | 繊維の直径 | m |
| τc | 界面のせん断強さ(または母材のせん断降伏応力) | Pa |
| σcd* | そろった短繊維の複合材料の強さ | Pa |
| Vf, Vm | 体積率 | 1 |
| σm′ | 母材の応力 | Pa |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 繊維が荷重の向きにそろい、界面のせん断応力が繊維の端から一定(剛塑性)とみなすとき。繊維がばらばらの向きなら配向の効率(Krenchel、2次元ランダムで 3/8)をかける。l が lc の 15 倍ほどあれば連続繊維に近い。
- よくある間違い
- d に半径を入れる(2 倍の違い)。µm と mm をまぜる。l < lc なのに上の式を使う。
- 例
- 炭素繊維(σf* = 3500 MPa、d = 7 µm)、界面のせん断強さ τc = 40 MPa: lc = 3500 × 0.007/(2 × 40) = 0.306 mm。長さ 3 mm の繊維を 30 vol% そろえ、σm′ = 50 MPa なら σcd* = 0.30 × 3500 × (1 − 0.306/6) + 0.70 × 50 = 1031 MPa。長さ 0.2 mm(l < lc)なら 0.30 × 40 × 0.2/0.007 + 35 = 378 MPa。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 臨界繊維長
出典: Kelly & Tyson 1965; Callister 10版 16章; Hull & Clyne 2版 7章
α₁ = (Ef αf Vf + Em αm Vm)/(Ef Vf + Em Vm)繊維の向き[K⁻¹]
α₂ = (1 + νf)αf Vf + (1 + νm)αm Vm − α₁ν₁₂繊維に直角[K⁻¹]
ν₁₂ = Vf νf + Vm νm主ポアソン比[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| α₁, α₂ | 一方向材の線膨張係数(繊維の向き・直角) | K⁻¹ |
| αf, αm | 繊維・母材の線膨張係数 | K⁻¹ |
| Ef, Em | 繊維・母材のヤング率 | Pa |
| νf, νm, ν₁₂ | ポアソン比 | 1 |
| Vf, Vm | 体積率 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 等方な繊維と母材(ガラス・玄武岩)。炭素・アラミドの繊維は径方向と軸方向で α が違うので、α₂ の (1 + νf)αf を αf2 + νf αf1 にする(複合材料デザイナーはこの形)。α₁ は剛い繊維にひっぱられて、体積率の単純な平均よりずっと小さい。
- よくある間違い
- α₁ を体積率の単純な平均にする。炭素繊維の α が負(軸方向)であることを忘れる。
- 例
- E ガラス(Ef = 72.3 GPa、αf = 5.4 × 10⁻⁶ K⁻¹、νf = 0.2)とエポキシ(2.73 GPa、83.4 × 10⁻⁶ K⁻¹、νm = 0.35)、Vf = 0.60(複合材料デザイナーの値): α₁ = (72.3 × 5.4 × 0.6 + 2.73 × 83.4 × 0.4)/(72.3 × 0.6 + 2.73 × 0.4) = 7.32 × 10⁻⁶ K⁻¹(単純な平均なら 36.6 × 10⁻⁶)。ν₁₂ = 0.260、α₂ = 47.0 × 10⁻⁶ K⁻¹。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 線膨張係数 複合則
出典: Schapery 1968; Jones 2版 3章
1/Ex = cos⁴θ/E₁ + (1/G₁₂ − 2ν₁₂/E₁) sin²θ cos²θ + sin⁴θ/E₂[kg⁻¹·m·s²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Ex | 繊維から θ の向きのヤング率 | Pa |
| E₁, E₂ | 単層の繊維の向き・直角のヤング率 | Pa |
| G₁₂ | 面内のせん断弾性率 | Pa |
| ν₁₂ | 主ポアソン比 | 1 |
| θ | 荷重と繊維のなす角 | rad |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 一方向材の1枚の層(平面応力、直交異方性)を、繊維から θ の向きに一軸で引くとき。積層板の剛性は層を重ねた古典積層理論(A 行列)で求める。G₁₂ の項のために、G₁₂ がおよそ E₂/2 より小さい材料では、45° と 90° の間で E₂ より小さくなる(例の材料では、どの角度でも E₂ 以上)。
- よくある間違い
- E を cos²θ で回す(4乗と、せん断の項が要る)。1/Ex の逆数をとり忘れる。度とラジアンの取り違え。
- 例
- T300/5208 の単層(E₁ = 181 GPa、E₂ = 10.3 GPa、G₁₂ = 7.17 GPa、ν₁₂ = 0.28、複合材料デザイナーの値): θ = 30° で Ex = 28.8 GPa、45° で 16.7 GPa。30° ずれただけで繊維の向きの 1/6.3 になる。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 疑似等方積層 CFRP(炭素繊維強化プラスチック)
出典: Jones 2版 2章; Hull & Clyne 2版 5章
(σ₁/X)² − σ₁σ₂/X² + (σ₂/Y)² + (τ₁₂/S)² = 1破壊の条件[1]
R = 1/√ITH強度比(比例の荷重、ITH は左辺の値)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σ₁, σ₂, τ₁₂ | 層の主軸の向きの応力 | Pa |
| X, Y | 繊維の向き・直角の強さ(引張か圧縮を応力の符号で選ぶ) | Pa |
| S | 面内のせん断強さ | Pa |
| ITH | 左辺の値(破壊の指数) | 1 |
| R | 強度比(何倍の荷重で壊れるか) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 一方向材の層の面内の応力(平面応力)。引張と圧縮で強さの違う材料では、応力の符号ごとに X・Y を選ぶ。応力の比を変えずに荷重を大きくしたときの強度比 R は左辺の平方根の逆数。
- よくある間違い
- 全体の座標の応力(σx)のまま入れる(層の主軸に回す)。強度比を左辺の逆数にする(平方根が要る)。
- 例
- T300/5208(X = 1500、Y = 40、S = 68 MPa)を繊維から 30° の向きに 100 MPa で引張: σ₁ = 75.0、σ₂ = 25.0、τ₁₂ = −43.3 MPa。左辺 = 0.798 で 1 を超えないので壊れない。強度比 R = 1/√0.798 = 1.12(30° の向きの強さ 112 MPa)。
計算ツール 複合材料デザイナー
用語 CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 層間はく離
出典: Jones 2版 2章; Hull & Clyne 2版 8章
電気・腐食・高温 11
R = ρL/A導線の抵抗[kg·m²·s⁻³·A⁻²]
ρ(T) = ρ₂₀[1 + αR(T − T₂₀)]温度による変化[kg·m³·s⁻³·A⁻²]
σ = 1/ρ電気伝導率[kg⁻¹·m⁻³·s³·A²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| R | 電気抵抗 | Ω |
| ρ, ρ₂₀ | 抵抗率・20 ℃の抵抗率 | Ω·m |
| L | 長さ | m |
| A | 断面積 πd²/4 | m² |
| αR | 抵抗率の温度係数(20 ℃が基準) | K⁻¹ |
| T, T₂₀ | 温度・基準の温度 20 ℃ | K |
| σ | 電気伝導率 | S/m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 金属の室温付近(およそ −50〜150 ℃)で、抵抗率が温度に比例して変わるとき。αR は基準の温度ごとに値が違う(0 ℃基準と 20 ℃基準)。
- よくある間違い
- 直径を半径として断面積を πd² にする。温度の補正を忘れる。抵抗率と抵抗の取り違え。
- 例
- 焼なまし銅(IEC 60028: ρ₂₀ = 1.7241 × 10⁻⁸ Ω·m、αR = 0.00393 K⁻¹)の直径 1 mm、長さ 100 m の線を 75 ℃で: ρ = 1.7241 × 10⁻⁸ × (1 + 0.00393 × 55) = 2.097 × 10⁻⁸ Ω·m、A = π(0.001)²/4 = 7.854 × 10⁻⁷ m²、R = 2.67 Ω(20 ℃では 2.20 Ω)。
計算ドリル 導線の電気抵抗と温度
用語 マティーセンの規則
出典: IEC 60028; Callister 10版 18章
ρ = ρt + ρi + ρdマティーセンの規則[kg·m³·s⁻³·A⁻²]
ρi = A ci(1 − ci)固溶の分(ノルドハイム)[kg·m³·s⁻³·A⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ρ | 全体の抵抗率 | Ω·m |
| ρt, ρi, ρd | 熱振動・不純物・欠陥(加工)による分 | Ω·m |
| A | 溶質と溶媒の組み合わせで決まる定数 | Ω·m |
| ci | 溶質の原子分率 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 散乱の原因どうしが独立とみなせる金属。ρt だけが温度で変わり、ρi・ρd は温度によらない(低温で残る残留抵抗)。ノルドハイムの式は全率固溶の合金の希薄から中くらいの濃度で使う。
- よくある間違い
- 伝導率(σ)を足す(足すのは抵抗率)。濃度を at% のまま入れる(分率に)。
- 例
- Cu に Ni を 3 at% 固溶させる(室温の Cu の ρt = 1.72 × 10⁻⁸ Ω·m、Cu–Ni の A は Callister の図から読んだ目安で 1.2 × 10⁻⁶ Ω·m): ρi = 1.2 × 10⁻⁶ × 0.03 × 0.97 = 3.49 × 10⁻⁸ Ω·m、ρ ≈ 5.21 × 10⁻⁸ Ω·m(純銅の 3.03 倍)。
用語 マティーセンの規則 固溶強化
出典: Callister 10版 18章
σ = n e μe + p e μh[kg⁻¹·m⁻³·s³·A²]
σ ≈ ND e μen 型(ドナーがすべてイオン化)[kg⁻¹·m⁻³·s³·A²]
ρ = 1/σ抵抗率[kg·m³·s⁻³·A⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| σ | 電気伝導率 | S/m |
| n, p | 電子・正孔の濃度 | m⁻³ |
| ND | ドナー濃度 | m⁻³ |
| e | 電気素量 | C |
| μe, μh | 電子・正孔の移動度 | m²/(V·s) |
| ρ | 抵抗率 | Ω·m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 室温付近で、ドナー・アクセプタがすべてイオン化している(外因性の領域)とき。移動度は不純物の濃度で下がるので、濃度に合った値を使う(実験式で数 % 違う。このサイトの計算ドリルは Caughey–Thomas の形、拡散・表面処理シミュレーターは Arora の式で、n 型 Si の電子では 10¹⁷〜10¹⁸ cm⁻³ で最大 8 % ほど違う)。
- よくある間違い
- cm⁻³ と cm²/(V·s) を SI に直さない(または片方だけ直す)。導電率と抵抗率の取り違え。
- 例
- ドナー濃度 10¹⁶ cm⁻³(= 10²² m⁻³)の n 型 Si、電子の移動度 1200 cm²/(V·s) = 0.12 m²/(V·s): σ = 10²² × 1.602 × 10⁻¹⁹ × 0.12 = 192 S/m、ρ = 1/σ = 5.20 × 10⁻³ Ω·m = 0.520 Ω·cm。
計算ドリル n 型シリコンの抵抗率計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター
用語 間接遷移型半導体
出典: Sze 3版 1章; Callister 10版 18章
ni = √(Nc Nv) exp(−Eg/(2kT))[m⁻³]
ni ∝ T3/2 exp(−Eg/(2kT))温度による変化[m⁻³]
np = ni²質量作用の法則[m⁻⁶]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ni | 真性キャリア濃度 | m⁻³ |
| Nc, Nv | 伝導帯・価電子帯の有効状態密度 | m⁻³ |
| Eg | バンドギャップ(eV なら k を eV/K で) | J |
| k | ボルツマン定数 | J/K |
| T | 温度 | K |
| n, p | 電子・正孔の濃度 | m⁻³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: Eg/2kT
- 使える条件と範囲
- 非縮退の半導体(フェルミ準位が帯の端から数 kT 以上離れている)。Nc・Nv は T3/2 に比例する。Eg も温度で少し変わる(Si で 300 K のとき 1.12 eV)。
- よくある間違い
- 指数の 2 を落とす(Eg/kT にする)。eV と J の取り違え。
- 例
- Si(Eg = 1.12 eV、温度による Eg の変化は無視)を 300 K から 350 K に: ni(350)/ni(300) = (350/300)^(1.5) × exp[−1.12/(2 × 8.617 × 10⁻⁵) × (1/350 − 1/300)] = 27.8 倍。300 K の ni は約 10¹⁰ cm⁻³(Sze)。
用語 間接遷移型半導体
出典: Sze 3版 1章; Kittel 8版 8章
Rs = ρ/xjシート抵抗[kg·m²·s⁻³·A⁻²]
Rs = 1/(q∫₀xj μ(N) N(x) dx)濃度の分布があるとき[kg·m²·s⁻³·A⁻²]
Rs ≈ 1/(qμN xj)一様な層[kg·m²·s⁻³·A⁻²]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| Rs | シート抵抗(Ω/□) | Ω |
| ρ | 層の抵抗率 | Ω·m |
| xj | 接合の深さ(層の厚さ) | m |
| q | 電気素量 | C |
| μ | キャリアの移動度(濃度による) | m²/(V·s) |
| N | 正味の不純物の濃度 | m⁻³ |
| x | 深さ | m |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 層が薄く、電流が面に平行に流れるとき。四探針法で測る Rs = 4.53 V/I は、試料が探針の間隔より十分に広く薄いとき。基板の不純物とは逆の型の層で、N は正味の濃度(N − NB)。
- よくある間違い
- 濃度に関係なく一つの移動度を使う(濃いほど小さい)。xj を µm のまま入れる。
- 例
- 深さ 0.5 µm まで一様に 10¹⁹ cm⁻³(= 10²⁵ m⁻³)のドナーを入れた n 型の層(電子の移動度は Arora の式で 114 cm²/(V·s)、拡散・表面処理シミュレーターと同じ): Rs = 1/(qμNxj) = 1/(1.602 × 10⁻¹⁹ × 0.0114 × 10²⁵ × 0.5 × 10⁻⁶) = 109 Ω/□。
計算ツール 拡散・表面処理シミュレーター
用語 拡散係数
出典: Sze 3版 1章
m = ItM/(nF)溶けた質量[kg]
v = iM/(nFρ)表面が後退する速さ[m·s⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| m | 溶けた金属の質量 | kg |
| I | 電流 | A |
| t | 時間 | s |
| M | モル質量(原子量) | kg/mol |
| n | イオンの価数(1 個の原子が出す電子の数) | 1 |
| F | ファラデー定数 | C/mol |
| v | 腐食の速さ(厚さ) | m/s |
| i | 腐食の電流密度 | A/m² |
| ρ | 金属の密度 | kg/m³ |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 流れた電気がすべて金属の溶解に使われ(電流効率 100 %)、全面が一様に溶けるとき。孔食のような局部の腐食では、平均の速さより深い穴ができる。
- よくある間違い
- 価数 n を落とす。µA/cm² と A/m² の換算(1 µA/cm² = 10⁻² A/m²)。g/cm³ のまま cm と µm をまぜる。
- 例
- 鉄(M = 55.845 g/mol、ρ = 7.87 g/cm³)が Fe²⁺ として一様に溶け、腐食の電流密度が 1 µA/cm²: 1 cm² から1秒に 10⁻⁶ × 55.845/(2 × 96485) = 2.89 × 10⁻¹⁰ g、密度で割って 3.68 × 10⁻¹¹ cm/s、1年(365日)で 11.6 µm。0.5 A が 30 日流れたら m = 0.5 × 2.592 × 10⁶ × 55.845/(2 × 96485) = 375 g。
計算ドリル 腐食の量(ファラデーの法則)読みもの 鉄はなぜ錆びる? ステンレスやトタンが錆びにくいわけ
用語 ファラデーの法則 局部電池
出典: Callister 10版 17章
E = E° − (RT/(nF)) ln Q[kg·m²·s⁻³·A⁻¹]
E = E° − (0.0592/n) log₁₀Q25 ℃(V)[kg·m²·s⁻³·A⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| E, E° | 電池の起電力・標準の起電力 | V |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T | 温度 | K |
| n | 反応でやりとりする電子の数 | 1 |
| F | ファラデー定数 | C/mol |
| Q | 反応商(生成物の活量の積/反応物の活量の積) | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 平衡の(電流が流れていない)電極の電位。希薄な溶液では活量を濃度(mol/L)で近づける。0.0592 は 25 ℃での (RT/F) ln 10。
- よくある間違い
- 反応の向きと Q の分子・分母を逆にする。log₁₀ と ln の取り違え。n を落とす。
- 例
- Ni の極(Ni²⁺ 10⁻³ M)と Cd の極(Cd²⁺ 0.5 M)の電池、25 ℃(Callister 17章の例題と同じ数値): 反応 Ni²⁺ + Cd → Ni + Cd²⁺ の E° = −0.250 − (−0.403) = 0.153 V。E = 0.153 − (RT/2F) ln(0.5/10⁻³) = 0.153 − 0.01285 × 6.215 = 0.073 V。正なので、標準の状態と同じ向き(Cd が溶ける)。
読みもの 鉄はなぜ錆びる? ステンレスやトタンが錆びにくいわけ
用語 標準電極電位 ガルバニック腐食
出典: Callister 10版 17章
PBR = Mox ρm/(n Mm ρox)[1]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| PBR | ピリング・ベドワース比(酸化物と金属の体積比) | 1 |
| Mox, Mm | 酸化物の式量・金属の原子量 | kg/mol |
| ρox, ρm | 酸化物・金属の密度 | kg/m³ |
| n | 酸化物の化学式 1 つ当たりの金属の原子の数 | 1 |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 高温酸化で皮膜が保護的かの目安。1 未満は皮膜に穴(多孔質)、1〜2 は保護的になりやすく、2 を大きく超えると圧縮の応力ではがれやすい。例外も多く(皮膜の密着、拡散の速さ)、目安にとどめる。
- よくある間違い
- n(Al₂O₃ なら 2)を落とす。式量と原子量の入れ替え。
- 例
- Al₂O₃(M = 101.96 g/mol、ρ = 3.95 g/cm³)と Al(26.982、2.70): PBR = 101.96 × 2.70/(2 × 26.982 × 3.95) = 1.29(1〜2 なので保護的)。MgO(40.304、3.58)と Mg(24.305、1.74): 0.81(1 より小さいので皮膜に穴があき、保護的でない)。
用語 ピリング・ベドワース比 不動態
出典: Pilling & Bedworth 1923; Callister 10版 17章
x² = kp t放物線則(拡散が律速)[m²]
x = kl t直線則(保護的でない皮膜)[m]
kp = k₀ exp(−Q/(RT))温度による変化[m²·s⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| x | 皮膜の厚さ(または単位面積当たりの質量の増加) | m |
| t | 時間 | s |
| kp | 放物線の速度定数 | m²/s |
| kl | 直線の速度定数 | m/s |
| k₀ | 頻度の係数 | m²/s |
| Q | 活性化エネルギー | J/mol |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T | 温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 放物線則は、緻密な皮膜の中をイオンが拡散して進む高温酸化。はじめの薄い時期や、皮膜が割れる・はがれるときは合わない。質量の増加で書くときは x を Δm/A にして kp の単位も変わる。
- よくある間違い
- 時間を2倍にすると厚さも2倍とする(放物線則では √2 倍)。厚さと質量の増加の kp をまぜる。
- 例
- 放物線則に従う酸化で、10 h で 2.0 µm の皮膜: kp = 2.0²/10 = 0.40 µm²/h。100 h では x = √(0.40 × 100) = 6.32 µm(時間は 10 倍でも厚さは √10 倍)。
用語 酸化の放物線則 ピリング・ベドワース比
出典: Birks ら 2版 4章; Callister 10版 17章
P = T(C + log₁₀tr)[K]
T₁(C + log₁₀t₁) = T₂(C + log₁₀t₂)同じ応力の2つの条件[K]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| P | ラーソン・ミラー・パラメータ(応力で決まる) | K |
| T | 絶対温度 | K |
| C | 材料の定数(多くの金属で約 20) | 1 |
| tr | 破断時間(時間 h で表した数を log に入れる) | h |
| t₀ | 1 h(log₁₀tr は log₁₀(tr/t₀) の意味) | h |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位)
- 使える条件と範囲
- 同じ応力のクリープ破断で、温度と時間を取り替える(短い高温の試験から長い低温の寿命を見積もる)。C は時間を h で表したときの値で、20 は目安(15〜25)。外挿は試験の時間の 10 倍ほどまでにとどめる。
- よくある間違い
- ℃のまま入れる。log₁₀ でなく ln を使う。時間を s で入れる(C = 20 は h のとき)。
- 例
- ある応力で 900 ℃・50 h で破断した合金を、同じ応力で 800 ℃で使う(C = 20): P = 1173.15 × (20 + log₁₀50) = 25456 K、tr = 10^(25456/1073.15 − 20) = 5260 h。温度を 100 K 下げると寿命は約 105 倍。
計算ドリル ラーソン・ミラー・パラメータ
用語 ラーソン・ミラー・パラメータ クリープ
出典: Larson & Miller 1952; Callister 10版 8章
ε̇s = Aσⁿ exp(−Qc/(RT))[s⁻¹]
| 記号 | 意味 | SI 単位 |
| ε̇s | 定常クリープのひずみ速度 | s⁻¹ |
| A | 材料の定数 | s⁻¹·Pa⁻ⁿ |
| σ | 応力 | Pa |
| n | 応力の指数(転位クリープで 3〜8) | 1 |
| Qc | クリープの活性化エネルギー | J/mol |
| R | 気体定数 | J/(mol·K) |
| T | 温度 | K |
次元 各行の両辺が一致([ ] は SI 基本単位) · 無次元: Qc/RT
- 使える条件と範囲
- 融点の 0.4 倍ほど以上の温度で、転位のクリープが主な範囲。応力が低く結晶粒が細かいと拡散クリープ(n ≈ 1)、応力が高いとべき乗則が崩れる。どの機構かは変形機構図で見る。
- よくある間違い
- 応力を2倍にすると速さも2倍とする(2ⁿ 倍)。Q を eV と J/mol でまぜる。
- 例
- n = 5、Q = 300 kJ/mol の材料: 応力を 1.2 倍にするとひずみ速度は 1.2⁵ = 2.49 倍。900 K から 950 K にすると exp[(300000/8.314)(1/900 − 1/950)] = 8.25 倍。
用語 べき乗則クリープ クリープ 変形機構図 拡散クリープ
出典: Callister 10版 8章; Dowling 4版 15章
使い方
上の検索欄に、式の名前・記号・用語(「ブラッグ」「KIC」「拡散距離」など)を入れると、その式だけが残ります。分野のボタンで絞ることもできます。式の見出しのリンク(#f-…)で、その式に直接飛べます。
式の右上の「選ぶ」にチェックを入れると、自分の公式シートになります。「選んだ式だけ印刷」で、選んだ式の式と記号の表を、2段組みで A4 に印刷します(10〜15 個なら1〜2ページ)。「条件と例も印刷」を入れると、使える条件・よくある間違い・例も印刷します。
「選んだ式のURLをコピー」で、選んだ式を開くURL(?f=…)を共有できます。選んだ式はこのブラウザの中(localStorage)にも残りますが、サーバーには送りません。保存できない設定のブラウザでも、URL で選び直せます。
式の選び方
拡散: 濃度の分布が時間で変わらない(膜を通り抜ける定常の流れ)ならフィックの第1法則で、流束 J は一定、濃度は厚さの中で直線になります。濃度が時間で変わる浸炭や不純物の拡散はフィックの第2法則で、表面の濃度が一定なら erfc の解、入れた総量が一定(短い時間の前置きのあとの押し込み)ならガウスの解を使います。どちらも、拡散距離 √(Dt) が試料の厚さより十分に小さい(半無限とみなせる)ときの解です。
応力とひずみ: 引張試験の公称応力 F/A₀ と公称ひずみ Δl/l₀ は、設計(降伏応力・引張強さ)に使います。加工硬化の式(ホロモン)や大きな変形の計算には、真応力 σ(1 + ε) と真ひずみ ln(1 + ε) を使います。この換算は体積が一定で変形が一様な範囲、つまりくびれ(最大荷重)までで、くびれたあとは断面を測ります。
複合則: 繊維の向きのヤング率は等ひずみの複合則(上限、Voigt)、繊維に直角の向きは等応力の逆複合則(下限、Reuss)でおおよそ出ます。実際の横の弾性率は下限より少し大きいので、Halpin–Tsai の式で補います。粒子の分散した材料では、実際の値は上限と下限の間にあります。
破壊: 穴や切欠きの先端の応力は応力集中係数 Kt で出しますが、鋭いき裂では Kt が大きくなりすぎて使えません。き裂には応力拡大係数 K = Yσ√(πa) を使い、破壊靱性 KIC と比べます。くり返しの荷重でき裂が伸びる速さはパリス則、き裂のない部材の疲労は S–N 曲線とマイナー則で扱います。
熱応力: 一方向だけ拘束した棒は EαΔT、面内の2方向を拘束した板や薄膜は EαΔT/(1 − ν) です。拘束が完全でないとき(2本の棒を結んだ組棒、バイメタル)は、力のつり合いと伸びの条件から解きます。
次元の確かめ方
すべての式(85 個)について、記号の表の SI 単位を基本単位(kg・m・s・K・mol・A)に直し、式の両辺の次元が等しいこと、exp・ln・erf・三角関数の中と、記号の指数が無次元であることを、プログラムで確かめました。各式の右の [ ] が、その行の両辺の次元です。
log₁₀tr(ラーソン・ミラー)、ASTM の粒度番号、パリス則の C のように、決まった単位で数を入れる約束の式は、その単位を記号の表に書いています。単位が違うと係数の値が変わるので注意してください。
単位の換算
式に入れる前に SI 単位に直すときの換算です(NIST SP 811 による)。
物理定数
CODATA 2022 の推奨値です(Mohr ら、Rev. Mod. Phys. 97, 025002 (2025)、physics.nist.gov/cuu)。「定義」は 2019 年の SI で値が決められた定数とそれから計算できる定数で、誤差がありません。かっこの数は最後の桁の標準不確かさです。例の計算はこの値を使っています(計算ドリルは R = 8.314 など丸めた値を使います)。
主な出典
- Callister 10版: W. D. Callister, Jr., D. G. Rethwisch, Materials Science and Engineering: An Introduction, 10th ed., Wiley (2018)
- Cullity 3版: B. D. Cullity, S. R. Stock, Elements of X-Ray Diffraction, 3rd ed., Prentice Hall (2001)
- Askeland 7版: D. R. Askeland, W. J. Wright, The Science and Engineering of Materials, 7th ed., Cengage (2016)
- Williamson & Hall 1953: G. K. Williamson, W. H. Hall, X-ray line broadening from filed aluminium and wolfram, Acta Metall. 1 (1953) 22
- Porter 3版: D. A. Porter, K. E. Easterling, M. Y. Sherif, Phase Transformations in Metals and Alloys, 3rd ed., CRC Press (2009)
- Scheil 1942: E. Scheil, Bemerkungen zur Schichtkristallbildung, Z. Metallkd. 34 (1942) 70
- Shewmon 2版: P. G. Shewmon, Diffusion in Solids, 2nd ed., TMS (1989)
- Crank 2版: J. Crank, The Mathematics of Diffusion, 2nd ed., Oxford University Press (1975)
- Sze 3版: S. M. Sze, K. K. Ng, Physics of Semiconductor Devices, 3rd ed., Wiley (2007)
- Hull & Bacon 5版: D. Hull, D. J. Bacon, Introduction to Dislocations, 5th ed., Butterworth-Heinemann (2011)
- ASTM E112: ASTM E112, Standard Test Methods for Determining Average Grain Size
- Dowling 4版: N. E. Dowling, Mechanical Behavior of Materials, 4th ed., Pearson (2013)
- Ashby 5版: M. F. Ashby, Materials Selection in Mechanical Design, 5th ed., Butterworth-Heinemann (2017)
- Anderson 4版: T. L. Anderson, Fracture Mechanics: Fundamentals and Applications, 4th ed., CRC Press (2017)
- ASTM E399: ASTM E399, Standard Test Method for Linear-Elastic Plane-Strain Fracture Toughness of Metallic Materials
- Paris & Erdogan 1963: P. Paris, F. Erdogan, A critical analysis of crack propagation laws, J. Basic Eng. 85 (1963) 528
- Weibull 1951: W. Weibull, A statistical distribution function of wide applicability, J. Appl. Mech. 18 (1951) 293
- Timoshenko & Goodier 3版: S. P. Timoshenko, J. N. Goodier, Theory of Elasticity, 3rd ed., McGraw-Hill (1970)
- Stoney 1909: G. G. Stoney, The tension of metallic films deposited by electrolysis, Proc. R. Soc. Lond. A 82 (1909) 172
- Timoshenko 1925: S. Timoshenko, Analysis of bi-metal thermostats, J. Opt. Soc. Am. 11 (1925) 233
- Kingery 2版: W. D. Kingery, H. K. Bowen, D. R. Uhlmann, Introduction to Ceramics, 2nd ed., Wiley (1976)
- Manson 1966: S. S. Manson, Thermal Stress and Low-Cycle Fatigue, McGraw-Hill (1966)
- Kittel 8版: C. Kittel, Introduction to Solid State Physics, 8th ed., Wiley (2005)
- Hull & Clyne 2版: D. Hull, T. W. Clyne, An Introduction to Composite Materials, 2nd ed., Cambridge University Press (1996)
- Halpin & Kardos 1976: J. C. Halpin, J. L. Kardos, The Halpin–Tsai equations: a review, Polym. Eng. Sci. 16 (1976) 344
- Jones 2版: R. M. Jones, Mechanics of Composite Materials, 2nd ed., Taylor & Francis (1999)
- Kelly & Tyson 1965: A. Kelly, W. R. Tyson, Tensile properties of fibre-reinforced metals, J. Mech. Phys. Solids 13 (1965) 329
- Schapery 1968: R. A. Schapery, Thermal expansion coefficients of composite materials based on energy principles, J. Compos. Mater. 2 (1968) 380
- IEC 60028: IEC 60028, International standard of resistance for copper
- Pilling & Bedworth 1923: N. B. Pilling, R. E. Bedworth, The oxidation of metals at high temperatures, J. Inst. Met. 29 (1923) 529
- Birks ら 2版: N. Birks, G. H. Meier, F. S. Pettit, Introduction to the High-Temperature Oxidation of Metals, 2nd ed., Cambridge University Press (2006)
- Larson & Miller 1952: F. R. Larson, J. Miller, A time-temperature relationship for rupture and creep stresses, Trans. ASME 74 (1952) 765
よくある質問
公式の右の [ ] は何ですか?
その行の式の両辺の次元を、SI の基本単位(kg・m・s・K・mol・A)で書いたものです。例えば応力は kg·m⁻¹·s⁻²(= Pa)、無次元の量は 1 です。答えの単位が合っているかの確かめに使えます。すべての式の次元は、プログラムで両辺が等しいことを確かめています。
選んだ式だけを印刷すると、何ページになりますか?
式と記号の表だけなら、2段組みの A4 で 10〜15 個がおよそ 1〜2 ページです。「条件と例も印刷」を入れると長くなります。印刷するときは、ヘッダー・広告・検索欄は出ません。ブラウザの印刷の設定で「背景のグラフィック」を切っても読めます。
例の数値が、計算ドリルや計算ツールの答えと少し違うことがあります。
定数の丸め方が違うためです。この公式集の例は CODATA 2022 の値(R = 8.314462618 J/(mol·K) など)を使い、計算ドリルの問題文は R = 8.314 のように丸めた値を使います。差は 4 桁目以下です。物性値は、計算ツールのデータと同じ値を使っています。
試験に持ち込む公式シートに使えますか?
使えます。必要な式を選んで「選んだ式だけ印刷」で印刷してください。持ち込める内容(例や説明を含めてよいか)は試験ごとに違うので、規則を確かめてください。
載っていない式はありますか?
この公式集は、計算ドリルの型と計算ツールで使う式に、教科書でよく使う式を足したものです。結晶の対称性・転位の弾性論・相変態の速度論の詳しい式などは、教科書を見てください。