材料選択の性能指数とは

ざいりょうせんたくのせいのうしすう

材料選択で最大にすべき材料の性質の組み合わせ。剛性で決まるタイは E/ρ、梁は √E/ρ、板は ∛E/ρ、強さで決まるタイは σf/ρ になる。

「材料選択の性能指数」は、1分野の6問の練習問題に出てきます(材料選択と設計など)。

この用語の分野: 材料選択と設計

性能指数の導き方

性能指数は、目的(例えば質量)を表す式から、制約(決められた剛性や強さ)を使って自由変数(断面の寸法など)を消去すると現れます。剛性が決まったタイでは、伸びの条件から断面積が A ∝ 1/E と決まり、質量は m = ρAL ∝ ρ/E です。したがって E/ρ が大きい材料ほど軽くつくれます。このように、性能は「荷重や長さなどの機能の要求」「断面の形の係数」「材料の性質」の3つの積に分けられ、材料の部分だけを取り出したものが性能指数です。形や寸法を最適化したあとでも、材料の順位はこの指数で決まります。

荷重のかかり方による違い

断面の寸法を自由に変えられる正方形断面の梁では、曲げ剛性が寸法の4乗に比例するので、質量は ρ/√E に比例し、性能指数は √E/ρ になります。幅が決まり厚さだけを変えられる板では、剛性が厚さの3乗に比例するので ∛E/ρ です。強さが制約になると、タイは σf/ρ、梁は ∛(σf²)/ρ、板は √σf/ρ になります。指数の根が深くなるほど密度の影響が相対的に大きくなるので、曲げを受ける梁や板では、木材、マグネシウム合金、CFRP、発泡体のような低密度の材料が有利になります。

コストや環境負荷への拡張

目的を質量の代わりに材料費にするときは、密度に1 kgあたりの価格Cmを掛けた ρCm を使い、剛性で決まるタイなら E/(ρCm) を最大にします。製造時のエネルギーやCO₂排出量を目的にするときも、同じように1 kgあたりの値を掛けます。熱の設計では、熱伝導率や熱拡散率を組み合わせた指数が使われます。ただし、性能指数は形状を相似に保つなどの前提で導いたものなので、断面の形が材料によって大きく違う場合や、寸法に下限があるときは、そのまま比べられないことがあります。

材料選択の性能指数の練習問題に挑戦

長さLが決まっていて、引張荷重Fを降伏せずに支えるタイ(引張材)を、断面積を自由に選べるとして最も軽くつくりたい。材料の降伏強さをσf、密度をρとすると、最大にすべき性能指数はどれか。

  1. Aσf/ρ
  2. BE/ρ
  3. C∛(σf²)/ρ
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正解:A. σf/ρ

降伏しない条件は F/A ≤ σf なので、必要な断面積は A = F/σf です。タイの質量は m = ρAL = FL(ρ/σf) となり、F と L は決まっているので、質量を最小にするには σf/ρ(比強度)が最大の材料を選べばよいことになります。E/ρ(比弾性率)は、強さではなく伸びの量、つまり剛性が制約になるタイで最大にする指数です。∛(σf²)/ρ は、曲げを受ける梁で断面の大きさを変えて降伏しないようにするときの指数で、断面の大きさを変えると曲げ応力が寸法の3乗に反比例して変わることから来ています。同じ「軽くて強い」でも、荷重のかかり方で指数が変わる点が要点です。

長さと曲げ剛性が決まっている正方形断面の梁を、断面の大きさを自由に変えて最も軽くつくりたい。ヤング率をE、密度をρとすると、最大にすべき性能指数はどれか。

  1. AE/ρ
  2. B√E/ρ
  3. C∛E/ρ
答えと解説を見る

正解:B. √E/ρ

梁のたわみは曲げ剛性 EI に反比例し、正方形断面(一辺b)の断面二次モーメントは I = b⁴/12 です。決められた剛性を満たすには Eb⁴ が一定でなければならないので、b² ∝ 1/√E となります。梁の質量は m = ρb²L ∝ ρ/√E なので、質量を最小にするには √E/ρ が最大の材料を選びます。E/ρ は引張のタイの剛性で決まる場合の指数で、断面積がそのまま効くときに使います。∛E/ρ は、幅が決まっていて厚さだけを変える板(パネル)の曲げ剛性の場合で、剛性が厚さの3乗に比例することから来ます。曲げでは断面の大きさを変えると剛性が急に増えるので、密度の小さい材料ほど有利になり、木材やCFRPが梁で強みをもつ理由になります。

よくある質問

比剛性 E/ρ が同じなら、梁としても同じ性能ですか?

いいえ。梁の性能指数は √E/ρ なので、E/ρ が同じでも密度の小さい材料のほうが梁としては有利です。鋼とアルミニウム合金は E/ρ がほぼ同じですが、梁ではアルミニウム合金のほうが軽くなります。

性能指数に単位はありますか?

あります。例えば √E/ρ の単位は √GPa/(Mg/m³) のようになります。単位が同じ指数どうしなら大小を比べられますが、指数の値そのものに物理的な意味があるわけではありません。

制約が2つ以上あるときはどうしますか?

それぞれの制約から必要な寸法と質量を計算し、制約ごとに大きいほうの質量(より厳しい制約)をその材料の値として比べます。どの制約が効くかは材料によって変わります。

解説の中の「材料選択の性能指数」

「材料選択の性能指数」が出てくる問題(6問)

  1. 長さLが決まっていて、引張荷重Fを降伏せずに支えるタイ(引張材)を、断面積を自由に選べるとして最も軽くつくりたい。材料の降伏強さをσf、密度をρとすると、最大にすべき性能指数はどれか。
  2. 長さと曲げ剛性が決まっている正方形断面の梁を、断面の大きさを自由に変えて最も軽くつくりたい。ヤング率をE、密度をρとすると、最大にすべき性能指数はどれか。
  3. 縦軸にヤング率E、横軸に密度ρをとった両対数の材料選択図(アシュビーの図)で、軽くて剛い梁の性能指数 √E/ρ が一定になる線(ガイドライン)の傾きはどれか。
  4. アシュビーの方法で材料を選ぶとき、設計の条件を「機能・制約・目的・自由変数」に整理する。自転車のフレームの材料選びで「目的」にあたるものはどれか。
  5. 長さと引張剛性が決まったタイを、鋼(E = 210 GPa、ρ = 7.8 g/cm³、1 kgあたりの価格を1とする)と、疑似等方積層のCFRP(E = 70 GPa、ρ = 1.6 g/cm³、1 kgあたりの価格は鋼の20倍とする)でつくる。断面積は自由に変えられるとき、CFRPのタイの材料費は鋼のタイの約何倍か。
  6. 降伏応力 σy の応力で使う部材で、降伏より先に脆性破壊が起こらないためのき裂の大きさの上限は a = (1/π)(K_IC/σy)² で見積もれる(形状係数 Y = 1)。鋼(σy = 800 MPa、K_IC = 120 MPa·√m)では、この限界のき裂長さはどれに最も近いか。

関連する用語

ヤング率 CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 材料選択図(アシュビーの図) 疑似等方積層 トランプエレメント 破壊前降伏 パレート最適 比剛性 ライフサイクルアセスメント

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