複合則とは
ふくごうそく
複合材料の性質を構成材料の性質と体積分率から見積もる式。繊維方向は等ひずみの E = VfEf + VmEm、垂直方向は等応力の式で近似する。
「複合則」は、2分野の4問の練習問題に出てきます(複合材料, 高分子・複合材料など)。
この用語の分野: 高分子・複合材料
ふくごうそく
複合材料の性質を構成材料の性質と体積分率から見積もる式。繊維方向は等ひずみの E = VfEf + VmEm、垂直方向は等応力の式で近似する。
「複合則」は、2分野の4問の練習問題に出てきます(複合材料, 高分子・複合材料など)。
この用語の分野: 高分子・複合材料
一方向に繊維をそろえた材料を繊維の方向に引っ張ると、繊維と母材は同じだけ伸びるので、それぞれが受け持つ力は体積分率とヤング率の積に比例します。力を足し合わせると E = VfEf + VmEm(等ひずみ、フォークトの式)になります。繊維に垂直に引っ張ると、両者は直列に並んで同じ応力を受けるので、ひずみを足し合わせて 1/E = Vf/Ef + Vm/Em(等応力、ロイスの式)になります。どちらも、各相がどう力を受け持つかという仮定から導かれた式です。
繊維方向の引張強さも、繊維が破断するひずみに達したときの母材の応力をσm′として、σc ≈ Vfσf + Vmσm′ で見積もれます。ただし繊維が少なすぎると、繊維が切れたあとの荷重を母材が支えられるので、強度はかえって母材だけのときより下がることがあります。繊維で強化の効果が出るには、ある最小の体積分率と、母材の強度を上回るための臨界の体積分率を超える必要があります。繊維が短い場合は、臨界繊維長より長いことも条件になります。
密度は質量を足し合わせるだけなので、ρc = Vfρf + Vmρm が正確に成り立ちます。熱伝導率や電気伝導率も、平行と直列の配置で同じ形の式になります。一方、熱膨張係数は、ヤング率の大きい相が変形を拘束するので、体積分率だけでなくヤング率で重みをつけた式が必要です。粒子で強化した材料のヤング率は、等ひずみと等応力の式の間に入るので、両者は上限と下限の目安になり、より狭い範囲を与えるハシン・シュトリクマンの限界も使われます。
短繊維や向きのばらついた繊維では、配向の効率の係数をかけて見積もります。クレンケルの係数では、一方向は1、面内でランダムな配向は3/8、3次元でランダムな配向は1/5です。例えばガラス繊維(72 GPa)を体積分率20%で面内ランダムに入れた樹脂(3 GPa)では、E ≈ 3/8 × 0.2 × 72 + 0.8 × 3 ≈ 7.8 GPaとなり、一方向の上限16.8 GPaの半分以下です。実際の成形品では、繊維長の効果やボイドでさらに下がることがあります。
正解:C. 約139 GPa
繊維方向に荷重をかけると、繊維と樹脂は同じだけひずむ(等ひずみ)ので、ヤング率は体積分率で重みをつけた平均 E = VfEf + VmEm = 0.6 × 230 + 0.4 × 3.5 = 138 + 1.4 ≈ 139 GPa になります。約94 GPa は繊維と樹脂の体積分率を入れ替えた誤りです。約8.6 GPa は等応力の式 1/E = Vf/Ef + Vm/Em で求めた値で、繊維に垂直な方向のヤング率の目安にあたります。このように一方向材は方向によって剛性が10倍以上違うので、実際の部品では繊維の向きを変えた層を積み重ねて使います。
正解:A. 繊維に平行に引っ張るときは等ひずみの式、垂直に引っ張るときは等応力の式で近似する
繊維に平行に引っ張ると、繊維と母材は並列につながったばねのように同じだけ伸びるので、等ひずみの式 E₁ = VfEf + VmEm が成り立ちます。繊維に垂直に引っ張ると、繊維と母材は直列のばねのように同じ応力を受けるので、等応力の式 1/E₂ = Vf/Ef + Vm/Em で近似します。同じ体積分率で比べると、等ひずみの式はヤング率の上限、等応力の式は下限を与えます(フォークトとロイスの限界)。平行に等応力、垂直に等ひずみの式を当てる選択肢は、平行と垂直を逆にした誤りです。一方向材のヤング率は繊維方向と垂直方向で大きく違い、方向によらないという説明も誤りです。実際の垂直方向のヤング率は、等応力の式より少し大きくなることが多く、ハルピン・ツァイの式などで補正します。
体積分率を使います。荷重を受け持つ断面積の割合が体積分率に対応するからです。製造時に質量分率で配合した場合は、各成分の密度で割って体積分率に換算してから使います。
繊維と母材の界面がはがれている場合、繊維が短すぎる場合、ボイドが多い場合、応力の大きな非線形域などでは誤差が大きくなります。破壊のように局所の欠陥で決まる性質も、単純な足し合わせでは表せません。
全体が同じだけひずむという条件は、実際より硬い相に多くの荷重を受け持たせる仮定だからです。逆に等応力の式は軟らかい相の変形を最大に見積もるので下限になり、実際の値は両者の間に入ります。
約70% は質量分率をそのまま体積分率とした誤りで、複合則の計算には体積分率を使う必要があります。
炭素繊維とエポキシ樹脂からなる複合材料で、炭素繊維の質量分率が70%である。炭素繊維の密度を1.80 g/cm³、エポ…