デンドライトとは

でんどらいと

幹から枝が規則正しく伸びた樹木のような形の結晶。立方晶の金属では幹も枝も<100>方向に伸び、合金の鋳物の多くはこの形で凝固する。

「デンドライト」は、4分野の9問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織, 状態図とてこの規則, 材料の加工と接合など)。

この用語の分野: 凝固と鋳造組織

デンドライトの練習問題に挑戦

Cu-Ni合金を、実際の鋳造のように速く冷却して凝固させたとき、デンドライト(樹枝状晶)の中心部の組成として正しいものはどれか。

  1. A合金の平均組成よりNiに富む
  2. B合金の平均組成よりCuに富み、外側ほどNiに富む
  3. C固相内の拡散が十分に速いので、常に平均組成に等しい
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正解:A. 合金の平均組成よりNiに富む

凝固の初期に晶出する固相は、高温側のタイラインの端の組成なのでNiに富んでいます。冷却が速いと固相の中の拡散が追いつかず、あとから凝固する外側ほどCuに富む層が重なって、デンドライトの中心から外側へ組成が変わる偏析(有芯組織、コアリング)が残ります。そのため中心部は平均組成よりNiに富みます。固相内の拡散は液相よりはるかに遅いので、平衡の組成になるとは限りません。最後に凝固した部分は融点が低いため、再加熱したときに局部的に溶けるおそれがあり、均質化焼なましで偏析を減らします。

FCCやBCCの立方晶の金属でデンドライトが成長するとき、幹と枝が伸びる結晶方位と、それが鋳物の柱状晶に与える影響についての説明として正しいものはどれか。

  1. A幹と枝は直交する<100>方向に伸び、<100>が熱の流れと逆向きに近い粒がほかを追い越して残るので、柱状晶は<100>の集合組織をもつ
  2. B幹と枝は最密方向の<110>に伸び、すべり方向と同じ向きに成長するので、柱状晶は変形しやすい<110>の集合組織をもつ
  3. C幹と枝は最密面の法線の<111>に伸び、型の壁に平行な向きの結晶粒が優先して残るので、柱状晶は壁に平行な<111>の集合組織をもつ
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正解:A. 幹と枝は直交する<100>方向に伸び、<100>が熱の流れと逆向きに近い粒がほかを追い越して残るので、柱状晶は<100>の集合組織をもつ

立方晶の金属のデンドライトは、幹も枝も<100>方向に伸び、互いに直交する枝をもちます。界面エネルギーや原子の付きやすさのわずかな異方性によって、<100>が最も速く伸びる方向になるためです。型の壁にできた向きのばらばらなチル晶の中から、<100>が熱の流れと逆向き(型の壁に垂直)に近い粒が先に進み、斜めの粒の前をふさいで追い越します。この競合成長の結果、柱状晶は成長方向に<100>がそろった集合組織をもちます。<110>はFCCのすべり方向、<111>はFCCの最密面{111}の法線で、どちらもデンドライトの成長方向ではありません。HCPの金属では、成長方向は底面の中の方向などになります。

解説の中の「デンドライト」

「デンドライト」が出てくる問題(9問)

  1. Cu-Ni合金を、実際の鋳造のように速く冷却して凝固させたとき、デンドライト(樹枝状晶)の中心部の組成として正しいものはどれか。
  2. FCCやBCCの立方晶の金属でデンドライトが成長するとき、幹と枝が伸びる結晶方位と、それが鋳物の柱状晶に与える影響についての説明として正しいものはどれか。
  3. 鋳物や鋳塊の偏析には、デンドライトの枝の間の寸法で起こるミクロ偏析と、鋳塊の全体の寸法で起こるマクロ偏析がある。両者の違いとして正しいものはどれか。
  4. 同じ形状の炭素鋼の部品を、鋳造でつくった場合と熱間鍛造でつくった場合で比べると、一般に鍛造品のほうが靭性や疲労強度に優れる。その理由として正しいものはどれか。
  5. フェーズフィールド法についての説明として正しいものはどれか。
  6. 合金の凝固で、固液界面の固相と液相の溶質濃度の比 k = Cs/CL を平衡分配係数という。Al-Cu合金のように k が約0.17の場合についての説明として正しいものはどれか。
  7. 組成的過冷が起こらず平らな界面で凝固する条件は G/V ≥ ΔT₀/D_L で表される(Gは界面の液相側の温度勾配、Vは成長速度、D_Lは液相中の溶質の拡散係数、ΔT₀ = mC₀(1 − k)/k は凝固温度範囲)。Al-2.0 wt%Cu合金(液相線の傾きの大きさ m = 3.4 K/wt%、k = 0.17、D_L = 3.0×10⁻⁹ m²/s)を V = 1.0×10⁻⁵ m/s で成長させるとき、平らな界面を保つのに必要な最小の温度勾配はどれに最も近いか。
  8. 合金の凝固で、温度勾配Gと成長速度Vを変えたときの固液界面の形と組織の細かさについての説明として正しいものはどれか。
  9. 鋳塊の柱状晶の領域を減らし、中心部の等軸晶の領域を広げて結晶粒を細かくする方法の組み合わせとして正しいものはどれか。

関連する用語

柱状晶 組成的過冷 拡散係数 マクロ偏析 再結晶 引け巣 回復 加工硬化 フェーズフィールド法 分子動力学法

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