組成的過冷とは
そせいてきかれい
凝固界面の前方に溶質がたまって液相線温度が変わり、実際の温度がその液相線温度より低くなる状態。平らな界面がくずれ、セルやデンドライトになる原因になる。
「組成的過冷」は、1分野の4問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織など)。
この用語の分野: 凝固と鋳造組織
そせいてきかれい
凝固界面の前方に溶質がたまって液相線温度が変わり、実際の温度がその液相線温度より低くなる状態。平らな界面がくずれ、セルやデンドライトになる原因になる。
「組成的過冷」は、1分野の4問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織など)。
この用語の分野: 凝固と鋳造組織
k < 1 の合金が凝固すると、界面で吐き出された溶質が界面の前方の液相にたまり、拡散で遠くへ運ばれる釣り合いで、界面から指数関数的に薄くなる濃度の層ができます。液相線温度は濃度で決まるので、界面では低く、離れるほど元の組成の液相線温度まで上がります。実際の温度が界面から直線的に上がる勾配Gが、この液相線温度の勾配より小さいと、界面の前方に、液相線温度より低いのに液体のままの層が生まれます。温度ではなく組成の分布によって生じる過冷却なので、組成的過冷と呼ばれます。
平らな界面が安定である条件は、界面での液相線温度の勾配が実際の温度勾配を超えないことで、G/V ≥ ΔT₀/D_L と書けます。Vは成長速度、D_Lは液相中の溶質の拡散係数、ΔT₀ = mC₀(1 − k)/k は凝固温度範囲です。溶質が多いほど、kが1から離れるほど、成長が速いほど、温度勾配が小さいほど、組成的過冷が起こりやすくなります。実際の合金では右辺がとても大きいので、ふつうの鋳造の条件では平らな界面はほとんど保てず、セルやデンドライトで凝固します。より厳密には、界面エネルギーの安定化も考えたマリンズとセケルカの理論で扱います。
組成的過冷が小さいうちは、界面の突起が少しだけ伸びて六角形に並んだセルになり、過冷却が大きくなると、枝をもつ柱状のデンドライトに変わります。さらに大きくなると、界面のずっと前方の液相で結晶が生まれて育ち、等軸のデンドライトになります。そのため、溶質の多い合金や温度勾配の小さい鋳物の中心部では等軸晶ができやすくなります。単結晶の育成や一方向凝固の翼では、温度勾配を大きく、成長速度を小さく保って、望ましい界面の形を維持します。
正解:A. 吐き出された溶質で界面の液相線温度が下がり、離れるほど液相線温度が高くなるため、実際の温度勾配が小さいと前方の液相が液相線温度より低くなる
k < 1 では、界面で吐き出された溶質が界面の前方にたまり、界面の液相は濃く、液相線温度が低くなります。界面から離れると濃度は元の C₀ に戻るので、液相線温度は離れるほど高くなります。実際の温度勾配Gがこの液相線温度の勾配より小さいと、界面の前方に液相線温度より低い、つまり過冷却された液相の層ができます。これが組成的過冷で、界面の小さな突起が過冷却の大きい側へ伸びるので、平らな界面がくずれます。前方の液相は薄くなるのではなく濃くなり、温度勾配が大きいほど組成的過冷は起こりにくくなります。負の温度勾配による熱的な過冷却は、溶質によらず純金属でも起こる別の現象です。
正解:B. 約1.1×10⁵ K/m
凝固温度範囲は ΔT₀ = 3.4 × 2.0 × (1 − 0.17)/0.17 ≈ 33.2 K です。必要な温度勾配は G = ΔT₀V/D_L = 33.2 × 1.0×10⁻⁵/(3.0×10⁻⁹) ≈ 1.1×10⁵ K/m、つまり約110 K/mm です。約1.9×10⁴ K/m は ΔT₀ を mC₀(1 − k) として k で割り忘れた値、約1.1×10² K/m は110 K/mm の数字を K/m と取り違えた値です。ふつうの鋳造の温度勾配は10³〜10⁴ K/m 程度なので、合金では平らな界面はまず保てず、セルやデンドライトで凝固します。平らな界面での一方向凝固は、温度勾配を大きくし成長速度を極めて小さくした実験や結晶の育成で使われます。
溶質がなければ起こりません。ただし、液相の側へ温度が下がる負の温度勾配があると、熱的な過冷却で純金属でもデンドライトが成長します。過冷却した液体の中で自由に育つ結晶がその例です。
溶融池の端では温度勾配が大きく成長速度が小さいので平らな界面やセルに近く、中心に向かうと温度勾配が下がり成長速度が上がってデンドライトになります。溶接金属の中で組織が場所によって変わるのはこのためです。
はい。C₀ が小さいほど凝固温度範囲 ΔT₀ が狭くなり、平らな界面を保つための G/V が小さくて済みます。高純度の材料の単結晶の育成がしやすいのはこのためです。
これが組成的過冷で、界面の小さな突起が過冷却の大きい側へ伸びるので、平らな界面がくずれます。
合金の一方向凝固で、平らだった固液界面が凹凸のある界面に変わる原因となる組成的過冷についての説明として正しいものはどれ…組成的過冷の条件からわかるように、界面の形は主に G/V で決まり、G/V が大きいほど平らな界面が安定です。
合金の凝固で、温度勾配Gと成長速度Vを変えたときの固液界面の形と組織の細かさについての説明として正しいものはどれか。溶質を減らして凝固温度範囲を狭くすると組成的過冷が小さくなり、やはり柱状晶が伸びやすくなります。
鋳塊の柱状晶の領域を減らし、中心部の等軸晶の領域を広げて結晶粒を細かくする方法の組み合わせとして正しいものはどれか。デンドライト 拡散係数 柱状晶 改良処理 シャイルの式 チボリノフの法則 デンドライトアーム間隔 平衡分配係数 マクロ偏析