シャイルの式とは

しゃいるのしき

固相内の拡散がなく液相が完全に混ざると仮定して、凝固中の固相の組成を Cs = kC₀(1 − fs)^(k−1) で表す式。非平衡凝固の偏析の見積もりに使う。

「シャイルの式」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織など)。

この用語の分野: 凝固と鋳造組織

シャイルの式の練習問題に挑戦

凝固中の固相の組成を表すシャイルの式 Cs = kC₀(1 − fs)^(k−1)(fsは固相の分率)の前提として正しいものはどれか。

  1. A固相の中でも液相の中でも拡散が十分に速く、各温度で固相も液相も均一な組成になる
  2. B固相の中の拡散は無視でき、液相は完全に混ざって均一で、界面では平衡の分配が成り立つ
  3. C液相の中は拡散だけで溶質が運ばれて混ざらず、界面の前方に濃度の高い層ができる
答えと解説を見る

正解:B. 固相の中の拡散は無視でき、液相は完全に混ざって均一で、界面では平衡の分配が成り立つ

シャイルの式は、いったん凝固した固相の中では溶質がまったく拡散せず、液相は対流などで完全に混ざって均一になり、固液界面では常に平衡分配係数kの比で溶質が分かれる、と仮定して導きます。そのため、k < 1 では残った液相が凝固の進行とともに濃くなり続け、最後の液相はやがて共晶組成に達します。固相も液相も均一になるとするのは、平衡凝固でてこの規則が成り立つ場合の前提です。液相が拡散だけで混ざらない場合は、界面の前方に濃度の層ができて、やがて C₀ の組成の固相が凝固する定常状態になり、別の式で表されます。実際の凝固は、固相内の拡散が少しある分だけ、平衡とシャイルの式の間になります。

Al-4.0 wt%Cu合金を凝固させる。シャイルの式に従い(平衡分配係数 k = 0.17 で一定)、残った液相の濃度は CL = C₀(1 − fs)^(k−1) で上がるとする。液相が共晶組成の33.2 wt%Cuに達したときに残っている液相の分率(これが非平衡の共晶組織になる)はどれに最も近いか。なお平衡状態図では、この組成はα相の最大固溶限(5.65 wt%)の範囲にある。

  1. A0%
  2. B約12%
  3. C約7.8%
答えと解説を見る

正解:C. 約7.8%

残った液相の分率を fL = 1 − fs とすると、33.2 = 4.0 × fL^(−0.83) なので、fL = (33.2/4.0)^(−1/0.83) = 8.3^(−1.20) ≈ 0.078、約7.8%です。平衡凝固なら、4.0 wt%Cuはα相の固溶限5.65 wt%より小さいので、凝固が終わるとα相だけになり、共晶はできません。0%はこの平衡の考え方を、固相内の拡散が遅い実際の凝固に当てはめた誤りです。約12%は、合金の中の銅がすべて共晶組成の液に集まると考えて 4.0/33.2 とした値で、固相にも銅が残ることを無視しています。実際の鋳物でも、固溶限内の組成なのに樹間にAl₂Cuを含む共晶が見られるので、溶体化処理の温度はこの共晶の融点より低く選びます。

解説の中の「シャイルの式」

「シャイルの式」が出てくる問題(2問)

  1. 凝固中の固相の組成を表すシャイルの式 Cs = kC₀(1 − fs)^(k−1)(fsは固相の分率)の前提として正しいものはどれか。
  2. Al-4.0 wt%Cu合金を凝固させる。シャイルの式に従い(平衡分配係数 k = 0.17 で一定)、残った液相の濃度は CL = C₀(1 − fs)^(k−1) で上がるとする。液相が共晶組成の33.2 wt%Cuに達したときに残っている液相の分率(これが非平衡の共晶組織になる)はどれに最も近いか。なお平衡状態図では、この組成はα相の最大固溶限(5.65 wt%)の範囲にある。

関連する用語

平衡分配係数 てこの規則 改良処理 組成的過冷 チボリノフの法則 デンドライト デンドライトアーム間隔 マクロ偏析

用語集の一覧へ