平衡分配係数とは
へいこうぶんぱいけいすう
凝固する固液界面での、固相と液相の溶質濃度の比 k = Cs/CL。状態図の固相線と液相線の組成の比で、k < 1 の溶質は液相に吐き出されて偏析をつくる。
「平衡分配係数」は、1分野の3問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織など)。
この用語の分野: 凝固と鋳造組織
へいこうぶんぱいけいすう
凝固する固液界面での、固相と液相の溶質濃度の比 k = Cs/CL。状態図の固相線と液相線の組成の比で、k < 1 の溶質は液相に吐き出されて偏析をつくる。
「平衡分配係数」は、1分野の3問の練習問題に出てきます(凝固と鋳造組織など)。
この用語の分野: 凝固と鋳造組織
平衡分配係数kは、ある温度で固相線と液相線が示す組成の比 Cs/CL です。液相線と固相線がどちらも溶質の多い側へ下がる系では、固相線のほうが溶質の少ない側にあるので k < 1 になり、Al-Cu系では約0.17、Fe-C系のδ鉄では約0.2です。逆に、溶質を加えると融点が上がる系では k > 1 になります。状態図の線を直線で近似すると k は温度によらずほぼ一定とみなせ、凝固温度範囲は ΔT₀ = mC₀(1 − k)/k のように k を使って表せます。kが1から離れるほど、固相と液相の組成の差が大きく、凝固温度範囲も広くなります。
k < 1 の合金では、最初に凝固する固相の濃度は kC₀ と合金の平均より低く、余った溶質は界面から液相へ吐き出されます。固相の中では拡散が遅いので、デンドライトの芯は薄いまま残り、濃くなった液相から凝固する外側ほど濃度が高くなります。こうして、デンドライトの芯と樹間の間に濃度のむら(ミクロ偏析)ができ、最後に凝固する部分には低融点の共晶や化合物が集まります。界面の前方にたまった溶質は、組成的過冷を起こして界面の形を変える原因にもなります。
kの値の違いは、物質を純粋にする方法にも使われます。棒状の材料の一部だけを溶かし、溶けた帯をゆっくり一方向に動かすと、k < 1 の不純物は液相の側へ追い出されて帯と一緒に運ばれ、棒の端に集まります。これを繰り返す帯溶融精製(ゾーンメルティング)は、半導体用のゲルマニウムやシリコンの高純度化に使われてきました。不純物ごとにkが違うので、kが1に近い不純物ほど除きにくくなります。単結晶の引き上げで結晶の長さ方向にドーパントの濃度が変わるのも、同じ分配の結果です。
正解:B. 固相は液相の約0.17倍の溶質しか取り込めないので、溶質は界面の前方の液相へ吐き出され、最後に凝固する部分ほど溶質に富む
k は状態図の同じ温度での固相線と液相線の組成の比で、液相線と固相線がともに溶質の多い側へ下がる系では k < 1 になります。Al-4%Cu合金で最初にできる固相は約0.17 × 4 = 0.68%Cuしか含まず、余った溶質は液相へ吐き出されて液相がしだいに濃くなるので、デンドライトの芯は薄く、最後に凝固する樹間や粒界は濃くなります。先に凝固した部分ほど溶質に富むのは k > 1 の場合です。k は拡散係数の比ではなく、固相内の拡散は遅いので、濃度の差は凝固後も自然には消えず、均質化には熱処理が必要です。k が1から離れるほど偏析は大きくなり、帯溶融精製はこの性質を使います。
正解:C. 約7.8%
残った液相の分率を fL = 1 − fs とすると、33.2 = 4.0 × fL^(−0.83) なので、fL = (33.2/4.0)^(−1/0.83) = 8.3^(−1.20) ≈ 0.078、約7.8%です。平衡凝固なら、4.0 wt%Cuはα相の固溶限5.65 wt%より小さいので、凝固が終わるとα相だけになり、共晶はできません。0%はこの平衡の考え方を、固相内の拡散が遅い実際の凝固に当てはめた誤りです。約12%は、合金の中の銅がすべて共晶組成の液に集まると考えて 4.0/33.2 とした値で、固相にも銅が残ることを無視しています。実際の鋳物でも、固溶限内の組成なのに樹間にAl₂Cuを含む共晶が見られるので、溶体化処理の温度はこの共晶の融点より低く選びます。
平衡分配係数は界面で平衡が成り立つときの比 Cs/CL です。実際の凝固では界面の前方に溶質の濃い層ができるので、遠くの液相の濃度に対する固相の濃度の比(実効分配係数)は、成長速度が大きいほど1に近づきます。
固相が液相より溶質を多く取り込み、先に凝固した部分ほど溶質に富みます。液相の濃度は凝固とともに下がり、デンドライトの芯が濃く、樹間が薄い逆向きの偏析になります。
固相線と液相線が直線でない系では温度とともに変わります。ただし、凝固の範囲が狭い場合や見積もりでは、一定の値として扱うことが多く、シャイルの式もkを一定として導きます。
シャイルの式は、いったん凝固した固相の中では溶質がまったく拡散せず、液相は対流などで完全に混ざって均一になり、固液界面では常に平衡分配係数kの比で溶質が分かれる、と仮定して導きます。
凝固中の固相の組成を表すシャイルの式 Cs = kC₀(1 − fs)^(k−1)(fsは固相の分率)の前提として正し…シャイルの式 デンドライト 拡散係数 てこの規則 改良処理 組成的過冷 チボリノフの法則 デンドライトアーム間隔 マクロ偏析