強化機構と転位

金属を強くすると、ふつうは一様伸びが小さくなる。高強度でも大きな一様伸びを示すTRIP鋼やTWIP鋼の考え方として正しいものはどれか。くびれは dσ/dε = σ で始まるとする(σ、εは真応力と真ひずみ)。

  1. A変形中にマルテンサイト変態や変形双晶が起こって、ひずみが進んでも加工硬化率 dσ/dε が高く保たれ、くびれの開始が遅れる
  2. B変形中に転位が回復して消え、加工硬化率 dσ/dε がゼロに近くなるので、流動応力が一定に保たれてくびれが起こらない
  3. C結晶粒を数十nmまで細かくして、加工硬化率を高く保ったまま降伏応力も上げ、強さと一様伸びを同時に大きくする
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正解:A. 変形中にマルテンサイト変態や変形双晶が起こって、ひずみが進んでも加工硬化率 dσ/dε が高く保たれ、くびれの開始が遅れる

コンシデールの条件では、加工硬化率 dσ/dε が流動応力σまで下がったときにくびれが始まります。強化でσを高くしても加工硬化率が同じなら、早く条件に達して一様伸びが減ります。TRIP鋼では残留オーステナイトが変形中に少しずつ硬いマルテンサイトに変わり、TWIP鋼では積層欠陥エネルギーの低い高Mnのオーステナイトに変形双晶が次々にでき、双晶の境界が転位の通り道を細かく区切ります。どちらもひずみが進んでも加工硬化率が高く保たれるので、高い強度と大きな一様伸びが両立します。回復で加工硬化率がゼロに近づくと、くびれはかえってすぐに始まります。数十nmの結晶粒では粒内に転位がたまりにくく、加工硬化率が下がって一様伸びは小さくなります。

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