試料調製・エッチングガイド

金属組織を観察する前の「観察できる試料」をつくるためのページです。切断・埋め込み・研削・研磨・エッチングの手順を材料ごとに引き、うまくいかなかったときは、見えた不具合と材料を選んで原因と直し方を確からしい順に探せます。見えた組織の見分け方は組織アトラス、どの装置で測るかは分析・評価手法ナビへ。

安全 エッチング液には、フッ化水素酸・ピクリン酸・シアン化物を出すおそれのある液など、危険の大きいものがあります。液を作る・使う前に、使う薬品の SDS と所属の安全規則を必ず確かめ、ドラフトの中で保護具を着けて扱ってください。 安全の注意を読む

研削・研磨の段と時間・力・回転は、出典(装置メーカーの手順書など)の自動研磨機での典型の値で、装置・研磨材・試料の大きさと数で変わります。初めての材料は、各段で前の傷が消えたかを見ながら加減してください。組成は出典どうしで突き合わせ、違うものは幅で書くか、違うと書いています。規格は名前と番号と対象だけを挙げています。

共通の流れ

  1. 1. 切断

    冷却液を流し続け、刃に切らせて押しつけない。熱は組織を変え(焼入れ鋼の焼戻し、溶接の熱影響部)、熱の損傷は研磨では消えない。

    砥石は、硬く脆い材料には結合の軟らかいもの(すり減って新しい砥粒が出る)、柔らかく粘い材料には結合の硬いものを選ぶ。薄い刃(0.5〜1.0 mm)ほど熱と変形が小さい。

    超硬合金・セラミックス・皮膜は精密切断機のダイヤモンドの刃でゆっくり。白鋳鉄はダイヤモンドの刃で切らない。

    見たい面と向きを決めて切る(表面の層には垂直に、溶接は中心線に印を)。

    この段で起きやすい失敗 熱で組織が変わる・焼け · 傷が残る

    出典: Struers Metalog Guide; PACE 炭素鋼; PACE 工具鋼; PACE 鋳鉄; PACE セラミックス; PACE 溶接部

  2. 2. 埋め込み

    熱間(圧縮)埋め込み: 150〜180 ℃で 5〜8 分保ち、加圧したまま室温まで冷やす(収縮が小さくなる)。縁を見るなら DAP や鉱物入りのエポキシ。

    冷間(注型)埋め込み: 室温で 4〜8 時間ほどで固まる。熱に弱いもの(析出硬化した Al、はんだ)、脆いもの、多孔質のものに。鋭敏化を調べるステンレス鋼も、余計な熱の履歴を加えないよう冷間で埋める。ゆっくり固まるエポキシは収縮が小さく、よく付く。

    多孔質の試料・皮膜は、低粘度のエポキシで真空含浸する。蛍光色素を混ぜると、樹脂の入った気孔と研磨で抜けた穴を見分けられる。

    この段で起きやすい失敗 エッジがだれる(縁が丸くなる) · 汚れ・しみ · 熱で組織が変わる・焼け

    出典: PACE 炭素鋼; Struers Metalog Guide; PACE アルミニウム; PACE ステンレス鋼; Struers 亜鉛めっき; PACE 溶射皮膜

  3. 3. 研削

    番手を順に細かくする(例: SiC 紙 P120 → P280 → P500 → P1200。米国の番手で 120 → 240 → 360 → 600 番。柔らかい材料は P1500・P2500(800・1200 番)を足す)。どの段も前の段の損傷を取り除き、自分の損傷はできるだけ少なくする。

    段ごとに試料を 90° 回し、前の向きの傷が消えたか見る。水を流し、目づまりした紙は替える。

    番手は、このページでは欧州の P 番手(FEPA)を主に書き、かっこに米国の番手(ANSI/CAMI)を書く。2 つは P220 より細かい側で番号が違い、粒の大きさで合わせる(下の換算表。表どうしで 1 段ずれることがある)。P2500 より細かい P 番手(P4000 など)は規格で決まっておらず、メーカーごとに違う。

    日本の耐水研磨紙の「#600」などの番手は JIS の番手で、米国の 600 番(≒ P1200)とは違い、それより粗い。取り違えると粗い紙を選んでしまうので、P 番手か粒の大きさ(µm)で確かめる。

    超硬合金・セラミックスは SiC ではほとんど削れないので、ダイヤモンドの円盤を使う。

    この段で起きやすい失敗 傷が残る · 砥粒が埋まる · 変形層で組織がぼける(だれ)

    番手の換算表(粒の大きさの近いもの)
    P 番手(FEPA)米国の番手(ANSI/CAMI)粒の大きさ(µm、ANSI の中央値)
    P120120116
    P18018078
    P22022066
    P28024051.8
    P36028042.3
    P40032034.3
    P50036027.3
    P60040022.1
    P100050018.2
    P120060014.5
    P150080012.2
    P200010009.2
    P250012006.5

    出典: Struers Metalog Guide; PACE 炭素鋼; PACE 不具合の手引き; PACE 超硬・サーメット; Steel Data 番手の表; Ted Pella 番手の比べ方; PACE 番手の換算

  4. 4. 研磨

    ダイヤモンド(9・6・3・1 µm)を布の上で使う。硬く弾まない布は平らさと縁を保ち、柔らかい布は傷を消しやすいが、段差・脱落・尾が出やすい。

    仕上げは 0.05 µm のアルミナかコロイダルシリカ(化学機械研磨)で変形の層を取る。コロイダルシリカは地を化学的に侵して細かい介在物を浮かせることがあるので、PACE は鋼の仕上げにアルミナを標準にしている。

    コロイダルシリカは面の上で乾かさない。最後の 10〜30 秒は布に水だけを流す。

    力の目安は 1 試料 22〜45 N(とても柔らかい Mg は 4〜9 N)。

    この段で起きやすい失敗 レリーフ(相の段差) · 彗星状の尾(コメットテール) · 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 · エッジがだれる(縁が丸くなる) · 変形層で組織がぼける(だれ)

    出典: Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12; PACE 炭素鋼; PACE セラミックス; PACE マグネシウム

  5. 5. 洗浄・乾燥

    段ごとに洗う(超音波洗浄 30〜60 秒)。粗い粒を次の段に持ち込まない。

    水で流し、エタノールで置き換え、油のない温風で乾かす。拭かない。水に弱い材料(Mg)はエタノールだけで。

    この段で起きやすい失敗 汚れ・しみ · 傷が残る

    出典: PACE 不具合の手引き; PACE 工具鋼; PACE マグネシウム

  6. 6. エッチング

    腐食の前に、研磨のままで見られるもの(黒鉛・介在物・気孔・鉛の粒)を先に見て記録する。

    出典の時間の短い側から始め(ナイタールなら 5〜10 秒)、足りなければ足す。浸漬・ふき取り・電解は液ごとに決まっている。

    腐食したらすぐ流し、エタノールで置き換えて乾かす。液を作る・使う前に、下の「安全」と SDS を読む。

    この段で起きやすい失敗 過エッチング · エッチング不足(組織が出ない) · ピッティング(腐食の穴) · 色むら(着色エッチング)

    出典: PACE 鋳鉄; PACE 銅合金; PACE 炭素鋼; PACE 不具合の手引き; Vander Voort 実験室の安全

  7. 7. 観察

    研磨のまま → 腐食後の明視野 → 必要なら偏光・微分干渉(DIC)・暗視野。Al の陽極酸化やはんだの錫の粒は偏光で見る。

    倍率でなくスケールバーを入れ、腐食液と条件を記録する(下の読み物)。

    この段で起きやすい失敗 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 · レリーフ(相の段差)

    出典: PACE アルミニウム; Buehler 鉛フリーはんだ; PACE セラミックス; 倍率の目盛りについて

失敗の表 13

見え方から不具合を選び、原因をよくある順に確かめます。材料ごとの注意は、その材料の手順にも書いています。

不具合見え方まず疑う原因起きやすい段
傷が残る一方向にそろった傷、今の研磨材より粗い傷、腐食したら出てきた傷。前の段の傷を消しきっていない(時間が短い・番手を飛ばした・力が足りない)研削
エッジがだれる(縁が丸くなる)縁が中央より低く、焦点が合わない。層の厚さ・浸炭層の深さが正しく測れない。試料と樹脂のすき間(樹脂の収縮)埋め込み
レリーフ(相の段差)硬い相・粒・皮膜が浮き出て、柔らかい地が低い。片方の相に焦点が合わない。弾む柔らかい布が、凹凸に沿って柔らかい相を削る研磨
彗星状の尾(コメットテール)介在物・気孔・硬い粒のうしろに、同じ向きにのびる涙の形の筋。試料と布の動きが一方向にかたよる(ホルダーと円盤の向き・速さがそろっていない)研磨
汚れ・しみ黄・茶・虹色のむら、水滴の輪郭、まだらな黒ずみ。水や腐食液が表面で乾いた洗浄・乾燥
過エッチング地が暗く、細部が溶けてなくなる。粒界が溝のように太い。ピットを気孔と見誤る。腐食の時間が長いエッチング
エッチング不足(組織が出ない)長く腐食しても組織がほとんど出ない、コントラストが弱い。研磨で乱れた層が残っているエッチング
ピッティング(腐食の穴)研磨のあとはきれいだった面に、腐食で穴が出る。液が強すぎる・時間が長すぎるエッチング
黒鉛・介在物・硬い粒の脱落あるはずの黒鉛・介在物・粒の所が、底のなめらかな黒い穴になる(縁の鋭い本当の穴とは違う)。短く研磨し直して同じ所を見ると、本物の気孔は残り、脱落は形が変わる。ナップの長い布研磨
変形層で組織がぼける(だれ)面は明るく光るのに組織がはっきりしない。粒界がかすれ、第二相がにじむ。機械研磨だけで終えた(乱れた層が残る)研磨
色むら(着色エッチング)一部だけ色が付く、拭いた跡、まだらな色。※ 粒ごとに色が違うのは結晶の向きによる正常な見え方。研磨の損傷が残っている(着色膜は変形に敏感)エッチング
砥粒が埋まる動かない明るい点、どうしても消えない細かい傷。EDS で Si や C が出る。柔らかい金属に SiC や細かいダイヤモンドを使った研削
熱で組織が変わる・焼け研磨面の焼け色、縁の暗い帯、焼入れ鋼で硬さがばらつく。切断の冷却不足・押しつけすぎ切断

一方向にそろった傷、今の研磨材より粗い傷、腐食したら出てきた傷。

起きやすい段 研削

原因と直し方(よくある順)

  1. 前の段の傷を消しきっていない(時間が短い・番手を飛ばした・力が足りない)

    直し方 各段で前の段の傷が全部消えるまで続ける。試料を 90° 回して、前の向きの傷が消えたか見る。新しい傷の向きにそろうまでの時間のおよそ 3 倍を目安に。番手を飛ばさない。

  2. 粗い粒を次の段に持ち込んだ(試料・ホルダー・手・布)。向きのそろわない傷

    直し方 段ごとに超音波洗浄(30〜60 秒)し、手袋を替え、布は研磨材ごとに分けて覆っておく。

  3. 研磨で隠れていた変形が、腐食で出た(腐食液のせいではない)

    直し方 最後の研磨を延ばし、力を下げる。だめなら前の研削の段からやり直す。研磨と軽い腐食をくり返すと確かめられる。

  4. 切断の損傷を最初の研削で取りきっていない(1〜2 本の深い傷)

    直し方 最初の研削を延ばすか、粗い番手に戻る。

  5. 紙・布がすり減った・目づまりした(削れなくなっている)

    直し方 紙と布を替えるか、布を目立てし、研磨液を足す。硬い材料では SiC がすぐすり減るのでダイヤモンドに。

  6. 柔らかい金属に埋まった SiC の粒が、あとの段で傷を付ける

    直し方 細かい SiC を軽い力で使うか、硬い円盤のダイヤモンドに替える。

    材料による: 柔らかい

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12

縁が中央より低く、焦点が合わない。層の厚さ・浸炭層の深さが正しく測れない。

起きやすい段 埋め込み

原因と直し方(よくある順)

  1. 試料と樹脂のすき間(樹脂の収縮)

    直し方 熱間埋め込みは加圧したまま冷やす。冷間は収縮の小さい、ゆっくり固まるエポキシにし、試料を室温にしておく。真空含浸も。

  2. 樹脂が試料より柔らかい(硬さの差)

    直し方 縁の残る樹脂(DAP・鉱物入りエポキシ・導電性フェノール)を選ぶ。

  3. ナップの長い柔らかい布、仕上げの研磨が長い

    直し方 硬めのナップの短い布にし、仕上げを短くする。

  4. 力が強すぎる・研磨が長すぎる

    直し方 力を下げ、研磨の時間を必要なだけにする。

  5. 薄い層・酸化スケールを補強していない

    直し方 無電解ニッケルめっきで縁を覆ってから埋める。

    材料による: 縁・表面の層を見る

  6. 切断・圧縮埋め込みの力と熱で、皮膜がはがれた・欠けた

    直し方 精密切断機でダイヤモンドか CBN の刃を使い、皮膜に垂直に切る(研削砥石の切断は皮膜をはがす)。注型のエポキシで真空含浸して埋め、研削の力を下げる。切ったらすぐ断面を見て、はがれていれば切り直す(あとの研磨では戻せない)。

    材料による: 縁・表面の層を見る・脆い・気孔がある

材料ごとの注意

  • 浸炭層・窒化層・脱炭層(表面の層) 縁の残る樹脂(DAP・鉱物入りエポキシ)にし、加圧したまま冷やす。薄い層は無電解ニッケルめっきで覆ってから埋める(PACE)。
  • 亜鉛めっき層・亜鉛 ゆっくり固まる冷間のエポキシ(収縮が小さく、よく付く)で埋め、すき間をなくす(Struers)。
  • 溶射皮膜・硬い皮膜 縁で皮膜がはがれる・欠けるのは、切断・埋め込みの力と熱のため。精密切断・注型の真空含浸にし、研削の力を下げる(PACE)。

出典: PACE 不具合の手引き; Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12; Struers 亜鉛めっき; PACE 溶射皮膜

硬い相・粒・皮膜が浮き出て、柔らかい地が低い。片方の相に焦点が合わない。

起きやすい段 研磨

原因と直し方(よくある順)

  1. 弾む柔らかい布が、凹凸に沿って柔らかい相を削る

    直し方 弾まない硬めの布、ナップのない布にする。

  2. 仕上げの研磨が長い

    直し方 仕上げを 1〜3 分に短くする(必要なら短いコロイダルシリカの段に)。

  3. 硬さの大きく違う相・層が並んでいる

    直し方 硬い複合材の円盤でダイヤモンドを使い、平らに保つ。力を小さく、速さを抑える。

  4. とても硬い炭化物をアルミナで研磨した

    直し方 硬い粒がある材料は、最後までダイヤモンドで研磨する。

    材料による: 硬い・硬さの違う相・層

材料ごとの注意

  • 工具鋼・高速度鋼 炭化物のまわりの段差は研磨しすぎか布が柔らかすぎるため。研磨を短くし、少し硬い布に(PACE)。それでも出るなら仕上げをアルミナでなくダイヤモンドに。
  • 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材) 硬さの違う区域が並ぶので、研磨を短くし、硬めの布で平らに保つ(PACE・Struers)。
  • はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー) 柔らかいはんだと硬い部品の段差には、研磨を短く、制御した除去で平らに保つ(PACE)。

出典: Struers Metalog Guide; PACE 不具合の手引き; Metkon 研磨の不具合 12; PACE 超硬・サーメット

介在物・気孔・硬い粒のうしろに、同じ向きにのびる涙の形の筋。

起きやすい段 研磨

原因と直し方(よくある順)

  1. 試料と布の動きが一方向にかたよる(ホルダーと円盤の向き・速さがそろっていない)

    直し方 ホルダーと円盤を同じ向き・同じ速さで回し、試料ホルダー(自動機)を使う。

  2. ナップの長い布、研磨液が多すぎる・沈んでいる

    直し方 ナップのない・短い布にし、布は湿る程度に。研磨液はよく振ってから。

  3. 力が強すぎる、柔らかい布で長く研磨した

    直し方 力を下げ(PACE の目安で直径 32 mm の試料に 13〜18 N ほど)、柔らかい布の時間を短くする。

  4. 手で持って研磨した

    直し方 試料ホルダーを使う。

出典: Struers Metalog Guide; PACE 不具合の手引き; Metkon 研磨の不具合 12

黄・茶・虹色のむら、水滴の輪郭、まだらな黒ずみ。

起きやすい段 洗浄・乾燥

原因と直し方(よくある順)

  1. 水や腐食液が表面で乾いた

    直し方 水で流したらすぐエタノールで置き換え、きれいな温風で乾かす。しみが出たら軽く研磨し直して腐食し直す。

  2. 試料と樹脂のすき間に残った液が染み出す

    直し方 すき間をなくす(加圧したまま冷やす・真空含浸・収縮の小さい樹脂)。試料はデシケーターに保管する。

  3. コロイダルシリカが乾いた・圧縮空気に油が混じった

    直し方 コロイダルシリカの段の最後の 10〜30 秒は布に水だけを流す。乾かす空気は油のないものに。

  4. 熱い湯・熱い試料や液

    直し方 熱い湯で洗わない。試料を冷ましてから腐食する。

  5. 水に弱い材料を水で研磨・洗浄した

    直し方 Mg はエタノール系の潤滑と洗浄だけにする。Zn は水の段を短くし、水を含まない潤滑液とエタノールで仕上げる。

    材料による: 水と反応する・水で傷む

材料ごとの注意

  • 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) 水を残したため。水で流したらすぐエタノールで置き換え、温風で乾かす(PACE)。
  • マグネシウム合金 白い粉のような面は水による酸化。エタノール系の潤滑で研磨し直し、器具を乾かし、湿度の低い所で。ひどければ切り直す(PACE)。
  • 亜鉛めっき層・亜鉛 水に弱いので、水の段を短くし、水を含まない潤滑液とエタノールで仕上げる。樹脂のすき間が液を残すので、収縮の小さいエポキシで埋める(Struers)。

出典: PACE 不具合の手引き; Metkon 研磨の不具合 12; Struers Metalog Guide; PACE マグネシウム; Struers 亜鉛めっき

地が暗く、細部が溶けてなくなる。粒界が溝のように太い。ピットを気孔と見誤る。

起きやすい段 エッチング

原因と直し方(よくある順)

  1. 腐食の時間が長い

    直し方 研磨し直して、短い時間から(出典の範囲の下限。ナイタールなら 5〜10 秒)。

  2. 液が濃すぎる

    直し方 出典の組成まで薄める(ナイタールは 5% を超えない)。

  3. 試料や液が温かい

    直し方 試料と液を室温にしてから腐食する。

  4. ふき取りで使う液に浸けた(HF 系・王水系)

    直し方 クロール液・グリセレジアなどは浸漬せず、ふき取りで短く。

    材料による: 不動態で腐食しにくい

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; PACE 炭素鋼; PACE 腐食液の解説

長く腐食しても組織がほとんど出ない、コントラストが弱い。

起きやすい段 エッチング

原因と直し方(よくある順)

  1. 研磨で乱れた層が残っている

    直し方 研磨し直すか、化学機械研磨(コロイダルシリカ)の段を足す。

  2. 液が古い・弱っている

    直し方 作り直す(過硫酸アンモニウムは 1〜2 日、アンモニア水と過酸化水素は数分で弱る。HF を含む液も劣化する)。

  3. その材料に合わない液

    直し方 材料に合う液に替える(ステンレス鋼にナイタールはほとんど効かない → 電解シュウ酸・グリセレジアなど)。

  4. 時間が短い・液が薄い

    直し方 少しずつ時間を延ばすか、少し濃い液に(ナイタール 2% → 3%)。

  5. 油・指紋・研磨液の残り

    直し方 エタノールで洗ってから腐食する。

  6. 研磨後に不動態皮膜・酸化膜ができた

    直し方 研磨したらすぐ腐食する。ステンレス鋼はグリセレジアで軽くふいて活性化してから電解に。

    材料による: 不動態で腐食しにくい

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; PACE 炭素鋼; PACE ステンレス鋼; PACE 銅合金; PACE チタン

研磨のあとはきれいだった面に、腐食で穴が出る。

起きやすい段 エッチング

原因と直し方(よくある順)

  1. 液が強すぎる・時間が長すぎる

    直し方 薄めるか短くする。HF を使わない穏やかな液に替える手もある。

  2. 古い液

    直し方 作りたての液を使う。

  3. 液が面にたまって乾いた

    直し方 すぐ流し、エタノールで置き換え、温風で乾かす。

  4. 金属のクリップとの間で電池ができた

    直し方 クリップを絶縁するか、ふき取りで腐食する。

  5. 電解の電圧が高い・時間が長い

    直し方 電解シュウ酸なら 6 V から 3〜4 V に下げるか、短くする。

    材料による: 不動態で腐食しにくい

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; PACE アルミニウム; PACE ステンレス鋼

あるはずの黒鉛・介在物・粒の所が、底のなめらかな黒い穴になる(縁の鋭い本当の穴とは違う)。短く研磨し直して同じ所を見ると、本物の気孔は残り、脱落は形が変わる。

起きやすい段 研磨

原因と直し方(よくある順)

  1. ナップの長い布

    直し方 ナップのない・短い布にする。段ごとに面を確かめる。

  2. 力が強すぎる

    直し方 力を下げる(鋼の介在物なら 13〜18 N ほど)。

  3. 研磨が長すぎる

    直し方 仕上げを短くする(鋼の介在物の判定なら約 2 分まで)。

  4. 鋳鉄で SiC の紙を遅い段まで使った

    直し方 早めにダイヤモンドに替え、1 µm のダイヤモンドをナップの短い布で仕上げる。

    材料による: 黒鉛を残す

  5. 多孔質・脆い試料を含浸せずに研磨した

    直し方 低粘度のエポキシで真空含浸してから、細かい番手から始める。

    材料による: 気孔がある・脆い

  6. 硬い粒と柔らかい地(結合相)の削れる速さが違う

    直し方 力を下げ、細かい段は柔らかめの布で。段差も出るなら 9・3 µm を硬い複合材の円盤に。

    材料による: 硬い・硬さの違う相・層

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12; PACE 鋳鉄; PACE 超硬・サーメット; PACE 溶射皮膜

面は明るく光るのに組織がはっきりしない。粒界がかすれ、第二相がにじむ。

起きやすい段 研磨

原因と直し方(よくある順)

  1. 機械研磨だけで終えた(乱れた層が残る)

    直し方 コロイダルシリカや細かいアルミナで、柔らかい布に軽い力で化学機械的に仕上げる。研磨と腐食をくり返す。

  2. 最後の段の力が強い

    直し方 最後の段は軽い力で(PACE の目安 9〜13 N)。

  3. 粗い研削の損傷を持ち越した

    直し方 細かい研削(P1500・P2500、米国の 800・1200 番)を足す(純 Al・Cu・低炭素鋼)。

  4. 鈍った研磨材・潤滑の不足

    直し方 新しい研磨材にし、潤滑を十分に。

  5. 切断・研削の力で機械的双晶ができた(加工の履歴ではない)

    直し方 切断と研削の力を下げ、薄い刃で精密に切り、変形層を段を追って取る。

    材料による: 機械的双晶ができやすい

材料ごとの注意

  • 炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) 柔らかい低炭素鋼は、P1500・P2500(800・1200 番)の研削を足し、研磨 → 軽いナイタール → 研磨 をくり返す(PACE)。
  • 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) 黒鉛が黒く見えるのは、黒鉛の穴に地がだれ込んだため。1 µm の段を 1〜2 分延ばし、布が目づまりしていないか見る。だめなら新しいアルミナ紙で軽く研削し直す(PACE)。
  • 銅・黄銅・青銅 力を 22〜31 N に下げ、布の硬さを研磨材の大きさに合わせる。腐食のたびに変形が出るなら、粗い研削の損傷が残っている。軽い力で SiC の段からやり直す(PACE)。
  • チタン・チタン合金 機械的双晶は切断・研削の力でできる。力を下げ、薄い刃で精密に切る(Metkon)。仕上げはコロイダルシリカ + 過酸化水素で(Witt・Nowell)。
  • EBSD 用の仕上げ(どの金属にも) EBSD では機械研磨の変形が残るとパターンが出ない。コロイダルシリカの仕上げを延ばし(数分〜数時間)、Ti には過酸化水素を混ぜる(Witt・Nowell)。

出典: PACE 不具合の手引き; Metkon 研磨の不具合 12; PACE 炭素鋼

一部だけ色が付く、拭いた跡、まだらな色。※ 粒ごとに色が違うのは結晶の向きによる正常な見え方。

起きやすい段 エッチング

原因と直し方(よくある順)

  1. 研磨の損傷が残っている(着色膜は変形に敏感)

    直し方 白黒の腐食より丁寧に仕上げ、変形のない面にしてから着色する(電解研磨でなくてもよい)。

  2. 液を均一に当てていない・面が汚れている

    直し方 浸漬して静かに動かす。腐食の前にエタノールで洗う。研磨の力をそろえる。

  3. 液が古い・にごっている

    直し方 作りたてを使う(にごったら捨てる)。Beraha の液はメタ重亜硫酸カリウムを使う直前に加える。

  4. 圧縮空気を当てて乾かした

    直し方 Klemm 液は水、次にエタノールで流し、自然に乾かす。

材料ごとの注意

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE 不具合の手引き; PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼

動かない明るい点、どうしても消えない細かい傷。EDS で Si や C が出る。

起きやすい段 研削

原因と直し方(よくある順)

  1. 柔らかい金属に SiC や細かいダイヤモンドを使った

    直し方 力を下げ、硬い円盤でダイヤモンドを使う。柔らかい材料では 3 µm 以下の細かい粒は弾む布で。最後に新しい布で 1 µm をやり直す。

  2. 古い・目づまりした紙

    直し方 紙をこまめに替え、水を十分に流す。

  3. 潤滑液が多すぎる

    直し方 潤滑液を控えめにし、機械研磨を短くする。はんだは最後に振動研磨で取る。

    材料による: 柔らかい・熱で組織が変わる

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12; Buehler 鉛フリーはんだ; PACE ステンレス鋼

研磨面の焼け色、縁の暗い帯、焼入れ鋼で硬さがばらつく。

起きやすい段 切断

原因と直し方(よくある順)

  1. 切断の冷却不足・押しつけすぎ

    直し方 冷却液を流し続け、刃に切らせて押さない。熱の損傷は研磨では消えないので、その層の下まで削るか切り直す。

  2. 砥石の結合度が材料に合わない

    直し方 硬く脆い材料には結合の軟らかい砥石、柔らかく粘い材料には結合の硬い砥石。超硬・セラミックスはダイヤモンドの刃で。

  3. 乾いたまま研削した・紙が目づまりした

    直し方 水で研削し、目づまりした紙を替える。

  4. 熱間埋め込みの熱(150〜180 ℃)

    直し方 室温で固まる注型のエポキシで埋める(析出硬化した Al、はんだなど)。

    材料による: 熱で組織が変わる

材料ごとの注意

出典: PACE 不具合の手引き; PACE 工具鋼; Struers Metalog Guide; PACE アルミニウム; PACE ステンレス鋼; Buehler 鉛フリーはんだ

材料ごとの手順 20

研削・研磨の段は、出典の自動研磨機での典型の値です。各段で前の段の傷が消えたかを見ながら加減してください。番手は欧州の P 番手で、かっこの中は米国の番手です(換算表は「共通の流れ」の研削)。

鉄鋼 8

性質 柔らかい

難しいところ

  • 低炭素の鋼(1018 で約 126 HB)は柔らかく、P1200(600 番)の研削面からいきなり 1 µm ダイヤモンドに進むと表面が引きずられてだれる。P1500・P2500(800・1200 番)の研削を足す。
  • Cr・Mo・V を含む鋼は、研磨しすぎると介在物や第二相のまわりに段差(レリーフ)が出る。
  • 腐食しすぎると出るピットを、気孔や介在物と見誤りやすい。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120(120 番)SiC 研磨紙水平らになるまで(30〜60 秒)
研削P280(240 番)SiC 研磨紙水1 分
研削P500(360 番)SiC 研磨紙水1 分
研削P1200(600 番)SiC 研磨紙水1 分
研削P1500(800 番)・P2500(1200 番)— 柔らかい低炭素鋼だけSiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—30 秒

条件 力は 1 試料あたり 22〜45 N(5〜10 lb)、回転は研削とダイヤモンド 200 rpm・仕上げ 100 rpm(出典の自動機の値)。研削の段ごとに試料を 90° 回す。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸 · Fry 液 塩酸 · Beraha の着色液(チオ硫酸ナトリウム系) 亜硫酸塩 · Klemm I 液 亜硫酸塩

  • ナイタール 2%(5〜15 秒): フェライトの粒界とパーライト。粒の大きさを測るならナイタール。
  • ピクラール 4%: パーライトの層・球状化した炭化物(フェライトの粒界は出ない)。
  • Fry 液: 冷間加工のひずみの模様。

この材料で起きやすい失敗

  • 変形層で組織がぼける(だれ) 柔らかい低炭素鋼は、P1500・P2500(800・1200 番)の研削を足し、研磨 → 軽いナイタール → 研磨 をくり返す(PACE)。
  • 過エッチング ナイタールは 2% で 5〜10 秒から始め、硬い鋼でも 5% を超えない(PACE)。

ほかの注意

  • 柔らかい鋼でだれが残るときは、仕上げ研磨 → 軽い 2% ナイタール → 仕上げ研磨 をくり返すと、だれた層が取れる。
  • ピクリン酸を使えない所では、ピクラールの代わりに着色液や別の液を使う(PACE は 10% メタ重亜硫酸塩の液を挙げる)。

規格 ASTM E3(金属組織の試料の作り方の指針) / ASTM E407(金属・合金のミクロ組織の腐食)

用語 パーライト 加工硬化

出典: PACE 炭素鋼; PACE 腐食液の解説; ブルサ工科大学 実験資料

性質 硬い 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 切断の熱で表面が焼戻され、軟らかく暗い帯ができることがある(硬さを測るときに誤る)。熱の損傷は研磨では消えない。
  • 機械的な研削・研磨の変形で、不安定な残留オーステナイトが変わることがある。X 線回折で量を測るときは、電解研磨で変形層を取った面で測る(規格 ASTM E975)。
  • ラスマルテンサイトはナイタールのコントラストが弱い。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120 → P280 → P500 → P1200(120 → 240 → 360 → 600 番)SiC 研磨紙水平らになるまで、以後各 1 分
研磨ダイヤモンド 9 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 3 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—30 秒

条件 力は 1 試料あたり 22〜45 N(5〜10 lb)、回転 200 rpm(仕上げ 100 rpm)。熱間埋め込みはフェノール樹脂を避け、エポキシか DAP で。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸 · ビレラ液 ピクリン酸 塩酸 · Beraha の着色液(チオ硫酸ナトリウム系) 亜硫酸塩 · Klemm II 液 亜硫酸塩

  • ナイタール: マルテンサイトを腐食する(ラスは弱め)。
  • ピクラール: 焼戻しの炭化物の分布。
  • ビレラ液: 旧オーステナイト粒界、焼戻しマルテンサイト。
  • Beraha・Klemm II の着色: マルテンサイトは茶〜黒、残留オーステナイトは色が付かず白く残る。

この材料で起きやすい失敗

  • 熱で組織が変わる・焼け 切断は冷却液を流し続け、ゆっくり押さずに。熱で焼戻された層は研磨で消えないので、その下まで削るか切り直す(PACE)。
  • 色むら(着色エッチング) 残留オーステナイトは着色されず白く残るのが正しい見え方。色がまだらなら、まず研磨の変形を疑う(Vander Voort)。

ほかの注意

  • 硬さの分布を測る試料は、切断面から熱の影響を受けた層を十分に削り取る。

規格 ASTM E975(X 線回折による鋼の残留オーステナイトの定量)

用語 マルテンサイト 焼戻し

出典: PACE 炭素鋼; PACE 工具鋼; Lambda Technologies 残留オーステナイト; PACE 腐食液の解説

性質 硬い 縁・表面の層を見る 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 見たいのは表面のすぐ下なので、縁がだれると層の深さを誤る。
  • 切断の熱で表面の硬い層が焼戻されることがある。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120 → P280 → P500 → P1200(120 → 240 → 360 → 600 番)SiC 研磨紙水平らになるまで、以後各 1 分
研磨ダイヤモンド 9 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 3 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—30 秒

条件 層に垂直に切り、層の縁を押し板の側に向けて埋める。縁を残すには DAP か鉱物入りのエポキシ。薄い層は無電解ニッケルめっきで縁を覆うとよい。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸

  • ナイタール 2〜4%: 浸炭層・窒化層(窒化層の第一の選択)。
  • ピクラールは焼戻しの炭化物の分布を見るのに。

この材料で起きやすい失敗

  • エッジがだれる(縁が丸くなる) 縁の残る樹脂(DAP・鉱物入りエポキシ)にし、加圧したまま冷やす。薄い層は無電解ニッケルめっきで覆ってから埋める(PACE)。

ほかの注意

  • 硬さの分布(ビッカース)で層の深さを測るときは、圧痕を縁から十分離して並べる(圧痕の間隔は規格で)。

規格 ISO 3887(鋼の脱炭層の深さの測り方)

用語 浸炭 窒化処理

出典: PACE 工具鋼; PACE 炭素鋼; PACE 不具合の手引き

性質 硬い 硬さの違う相・層 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 硬く脆い炭化物(M₆C・MC・M₂C・M₂₃C₆・M₇C₃)を残すのが要。炭化物は地と削れる速さが違い、脱落やレリーフが出やすい。
  • 切断の局所的な熱でマルテンサイトが焼戻され、軟らかい暗い帯ができる。
  • 炭化物にレリーフが出るなら、仕上げのアルミナをやめて最後までダイヤモンドで(PACE の不具合の手引き)。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削ダイヤモンド 120 µmダイヤモンドの研削円盤水平らになるまで
研磨ダイヤモンド 9 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 3 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 1 試料 22〜45 N、200 rpm(仕上げ 100 rpm)。薄い精密刃(0.5〜1.0 mm)で冷却液を流し続けて切る。埋め込みはエポキシか DAP(150〜180 ℃、5〜8 分。多くの工具鋼の焼戻しの温度より十分低い)。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ビレラ液 ピクリン酸 塩酸 · 村上試薬 フェリシアン化物 強いアルカリ · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸

  • ナイタール 2〜4%: 一般の組織(第一の選択)。
  • ビレラ液: 旧オーステナイト粒界。
  • 村上試薬(冷): D2・A2 などの Cr 炭化物、高速度鋼(M2・M42)の炭化物。
  • ピクラール 4%: 焼なましたパーライト・ベイナイト。

この材料で起きやすい失敗

  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 炭化物の脱落は力が強すぎるか布が合わないため。力を下げ、細かい段は柔らかめの布で、段ごとに面を確かめる(PACE)。
  • レリーフ(相の段差) 炭化物のまわりの段差は研磨しすぎか布が柔らかすぎるため。研磨を短くし、少し硬い布に(PACE)。それでも出るなら仕上げをアルミナでなくダイヤモンドに。

ほかの注意

  • 腐食は 10〜15 秒から始め、とても硬い材料は 20〜30 秒まで延ばす。

用語 焼入れ性 焼戻し

出典: PACE 工具鋼; PACE 不具合の手引き

性質 柔らかい 不動態で腐食しにくい

難しいところ

  • 焼入れした鋼より柔らかく、研磨中に加工硬化してだれやすい。力を軽くし、1 µm の段を長めに。
  • 耐食性が高い分、腐食しにくい(ナイタールではほとんど出ない)。
  • 熱間埋め込み(150〜180 ℃)は鋭敏化の温度域(約 500〜800 ℃)よりずっと低いが、鋭敏化やシグマ相を調べる試料は、余計な熱の履歴を加えないよう室温で固まる冷間埋め込みにする(PACE)。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P280(240 番)SiC 研磨紙水平らになるまで
研削P500 → P1200 → P1500 → P2500(360 → 600 → 800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分(傷が腐食で出るなら 3〜4 分)
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 1 試料 22〜45 N(だれるときは 22〜31 N に下げる)、200 rpm(仕上げ 100 rpm)。研削が P2500(1200 番)より粗く終わったら、9 µm・3 µm のダイヤモンドを各 3〜5 分足す。

腐食液と見えるもの

10% シュウ酸(電解) シュウ酸 電解 · グリセレジア 塩酸+硝酸 · Kalling 2 液 塩酸 · 10% 水酸化ナトリウム(電解) 強いアルカリ 電解 · マーブル液 塩酸 · Beraha I 液(ステンレス鋼用) HF 塩酸 亜硫酸塩

  • 電解 10% シュウ酸(6 V、15〜30 秒): 粒界(第一の選択)。鋭敏化の判定(ASTM A262 Practice A)にも使う。
  • グリセレジア: 粒界・双晶・炭化物・シグマ相。
  • 電解 10% 水酸化ナトリウム: シグマ相を橙〜茶に。

この材料で起きやすい失敗

  • 傷が残る 腐食すると傷が出るのは、研磨で加工硬化しただれた層のため。1 µm を 3〜4 分に延ばし、力を 22〜31 N に下げ、だめなら P2500(1200 番)からやり直す(PACE)。
  • エッチング不足(組織が出ない) 研磨でできた不動態皮膜のため。グリセレジアで軽くふいて活性化してから電解シュウ酸に、または電解の時間を延ばす(PACE)。
  • ピッティング(腐食の穴) 電解シュウ酸なら 6 V から 3〜4 V に下げるか、短くする。反応の強い液は作りたてを(PACE)。

ほかの注意

  • 研磨して時間を置くと不動態皮膜で腐食しにくくなる。研磨後すぐ腐食する。
  • 鉄の粒が別の鋼の試料から移ることがあるので、段ごとに超音波洗浄し、布をよく洗う。

規格 ASTM A262(オーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食の感受性の試験)

用語 ステンレス鋼 鋭敏化 不動態

出典: PACE ステンレス鋼; PACE 腐食液の解説

性質 不動態で腐食しにくい 硬さの違う相・層

難しいところ

  • フェライトとオーステナイトの 2 相を見分けたいが、ビレラ液や電解シュウ酸では分かれにくい。着色エッチングが向く。
  • 着色膜は研磨の損傷に敏感なので、白黒の腐食より丁寧に仕上げる。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P280(240 番)SiC 研磨紙水平らになるまで
研削P500 → P1200 → P1500 → P2500(360 → 600 → 800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 力は 1 試料あたり 22〜45 N(5〜10 lb)、回転は研削とダイヤモンド 200 rpm・仕上げ 100 rpm(出典の自動機の値)。研削の段ごとに試料を 90° 回す。

腐食液と見えるもの

Beraha I 液(ステンレス鋼用) HF 塩酸 亜硫酸塩 · Klemm I 液 亜硫酸塩 · Kalling 2 液 塩酸 · LB1 液(Lichtenegger・Bloech) HF 亜硫酸塩

  • Beraha I: 相に色を付ける(第一の選択)。
  • LB1: オーステナイトに色を付け、フェライトには付けない。
  • Kalling 2: フェライトを腐食する(30 秒〜2 分)。

この材料で起きやすい失敗

  • エッチング不足(組織が出ない) ビレラ液や電解シュウ酸ではフェライトとオーステナイトが分かれにくい。Beraha I か Klemm I の着色に替える(PACE)。
  • 色むら(着色エッチング) 着色膜は研磨の損傷に敏感なので、着色の前の仕上げを丁寧に(Vander Voort)。Beraha I は使う直前にメタ重亜硫酸カリウムを加える(PACE)。

ほかの注意

  • 着色した面で相の面積率を画像解析するなら、変形のない面に仕上げてから着色する。

用語 ステンレス鋼

出典: PACE ステンレス鋼; Vander Voort 着色エッチング; PACE 腐食液の解説

性質 硬い 不動態で腐食しにくい

難しいところ

  • 焼入れした鋼種(HRC 45 を超えるもの)は硬い。切断は遅く、硬い材料向けの砥石で。
  • 磁性のある鋼種(マルテンサイト系・析出硬化系・フェライト系)は、残った磁気で自動研磨機の動きを乱すことがある。消磁し、磁性のないホルダーを使う。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P280(240 番)SiC 研磨紙水平らになるまで
研削P500 → P1200 → P1500 → P2500(360 → 600 → 800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 力は 1 試料あたり 22〜45 N(5〜10 lb)、回転は研削とダイヤモンド 200 rpm・仕上げ 100 rpm(出典の自動機の値)。研削の段ごとに試料を 90° 回す。

腐食液と見えるもの

ビレラ液 ピクリン酸 塩酸 · Kalling 2 液 塩酸 · Adler 液 塩酸 · 村上試薬 フェリシアン化物 強いアルカリ · マーブル液 塩酸 · Beraha I 液(ステンレス鋼用) HF 塩酸 亜硫酸塩

  • ビレラ液: 旧オーステナイト粒界・焼戻しマルテンサイト・炭化物(第一の選択)。
  • 村上試薬(50〜80 ℃、3〜10 分): 炭化物・シグマ相。
  • Adler 液: フェライト系・マルテンサイト系・析出硬化系の粒界。

ほかの注意

  • ビレラ液はピクリン酸を含む。液を乾かさない。

用語 ステンレス鋼 マルテンサイト

出典: PACE ステンレス鋼; PACE 腐食液の解説

性質 黒鉛を残す 硬さの違う相・層 さびやすい

難しいところ

  • 黒鉛を残すのがいちばん大事。黒鉛は柔らかく、研削・研磨で抜けたり壊れたりする。
  • 柔らかいフェライトの地が黒鉛の上にだれて、黒鉛の本当の形を隠す。片状黒鉛より球状黒鉛のほうが残しやすく、可鍛鋳鉄の焼戻し炭素がいちばん難しい。
  • 黒鉛のある鋳鉄は水でさびやすい。切ったらすぐ洗って乾かす。
  • 白鋳鉄はダイヤモンドの切断砥石で切らない(切断の温度でダイヤモンドが鉄と反応する)。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P500(360 番)アルミナ研磨紙水平らになるまで
研削P1200(600 番)アルミナ研磨紙水1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分(段差が出たら 30〜45 秒)

条件 力は 1 試料あたり 22〜45 N(5〜10 lb)、回転は研削とダイヤモンド 200 rpm・仕上げ 100 rpm(出典の自動機の値)。研削の段ごとに試料を 90° 回す。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸 · Beraha I 液(ステンレス鋼用) HF 塩酸 亜硫酸塩 · Klemm II 液 亜硫酸塩

  • まず腐食せずに、黒鉛の形と分布を見る(×500 でよく研磨した黒鉛は黒でなく灰色に見える)。
  • ナイタール 2%(5〜15 秒)で地のフェライト・パーライト。ピクラール 4%(10〜30 秒)でパーライト・セメンタイト。
  • オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の地は、ナイタールでは分かれにくいので Beraha か Klemm II の着色で。

この材料で起きやすい失敗

  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 力を 1 試料 22 N(5 lb)に下げ、1 µm のダイヤモンドはナップの短い布で。SiC の紙を遅い段まで使わない。可鍛鋳鉄は細かい研削に硬い複合材の円盤を(PACE)。
  • 汚れ・しみ 水を残したため。水で流したらすぐエタノールで置き換え、温風で乾かす(PACE)。
  • 変形層で組織がぼける(だれ) 黒鉛が黒く見えるのは、黒鉛の穴に地がだれ込んだため。1 µm の段を 1〜2 分延ばし、布が目づまりしていないか見る。だめなら新しいアルミナ紙で軽く研削し直す(PACE)。

ほかの注意

  • 黒鉛が ×500 で黒く見えるなら、黒鉛の穴に地がだれ込んでいる。1 µm の段を 1〜2 分延ばす。

用語 パーライト

出典: PACE 鋳鉄; PACE 不具合の手引き; PACE 腐食液の解説

接合部 1

性質 硬さの違う相・層 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 1 つの試料に、硬さと組織の違う溶接金属・熱影響部・母材が並ぶので、場所によって削れ方が違い、段差(レリーフ)が出やすい。
  • 異種金属の溶接は、融点・熱膨張・組成が違う。腐食液も片側ずつ選ぶ必要がある。
  • 切断で熱を入れると、熱影響部の組織が変わる。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120 → P280 → P600 → P1200(120 → 240 → 400 → 600 番)SiC 研磨紙水各 60〜90 秒
研磨ダイヤモンド 9 µm硬めのナップの短い布ダイヤモンド用の潤滑液3〜5 分
研磨ダイヤモンド 3 µm中くらいの硬さの布ダイヤモンド用の潤滑液3〜5 分
研磨ダイヤモンド 1 µm柔らかい布ダイヤモンド用の潤滑液2〜3 分
仕上げコロイダルシリカ 0.05 µm(なくてもよい)柔らかい布—1〜2 分

条件 試料の幅は 25〜32 mm あれば足りることが多い。埋める前に溶接の中心線などに印を付けて向きを残す。気孔を調べるなら真空で埋める。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ピクラール(ピクリン酸のアルコール液) ピクリン酸 · 10% シュウ酸(電解) シュウ酸 電解 · ケラー液 HF 塩酸 · Barker 液(陽極酸化) HF 電解

  • 鋼の溶接: ナイタール 2%(5〜15 秒)、ピクラール 4%。
  • ステンレス鋼の溶接: 電解 10% シュウ酸(6 V、30〜60 秒)。
  • Al の溶接: ケラー液(10〜20 秒)、Barker 液の陽極酸化(20〜30 V、60〜120 秒)。

この材料で起きやすい失敗

  • レリーフ(相の段差) 硬さの違う区域が並ぶので、研磨を短くし、硬めの布で平らに保つ(PACE・Struers)。
  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 脱落やだれは溶接の気孔・割れに見えることがある。短く研磨し直して同じ所を見る(本物の欠陥は残る)(PACE)。

ほかの注意

  • 脱落・だれ・汚れが、溶接の欠陥(気孔・割れ)に見えることがある。

用語 溶接熱影響部 炭素当量 鋭敏化

出典: PACE 溶接部

非鉄金属 6

性質 柔らかい 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 柔らかく、地がだれて傷や介在物を隠す。SiC の粒が埋まりやすい。
  • 酸化物の介在物が調べたいものであることが多いが、研磨が悪いと抜けたり引きずられたりする(抜けた酸化物は戻らない)。
  • 析出硬化した質別(2024-T6・6061-T6・7075-T6・A356-T6 など)は、熱間埋め込みの熱で析出の状態が変わるので、室温で固まるエポキシで埋める。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P1200(600 番)アルミナ研磨紙水平らになるまで
研削P1500 → P2500(800 → 1200 番)SiC 研磨紙水P2500(1200 番)は 1 分
研磨ダイヤモンド 3 µm(熱処理材・鋳物だけ)研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2〜3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 1 試料 22〜45 N(1000 系・5000 系の柔らかい合金は 22〜31 N で 1 µm を長めに)、どの段も 100 rpm。仕上げの質は ×500 で確かめる。

腐食液と見えるもの

ケラー液 HF 塩酸 · 0.5% フッ化水素酸 HF · 水酸化ナトリウムの水溶液(Al・Zn) 強いアルカリ · Barker 液(陽極酸化) HF 電解 · Weck 液(Al の着色) 強いアルカリ 酸化剤

  • ケラー液(8〜20 秒): 粒界と第二相の粒子。2000 系で Cu の汚れが出たら 0.5% HF に。
  • Barker 液の陽極酸化 + 偏光: 粒の大きさと向き。
  • 1% 水酸化ナトリウム: HF を使わない組織の腐食。

この材料で起きやすい失敗

  • ピッティング(腐食の穴) 液が強すぎるか長すぎる。薄めるか短くする(初めは 5〜10 秒)。2000 系にケラー液で汚れが出るなら 0.5% HF に(PACE)。
  • 砥粒が埋まる 研削の SiC が埋まって明るい点に見える。新しい布で 1 µm をやり直し、目づまりした紙を替える(PACE)。
  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 酸化物が抜けた黒い穴は戻らない。力を 22〜45 N に保ち、平面研削にアルミナ紙を使い、必要なら切り直す(PACE)。

ほかの注意

  • Al をアルコールで流さない(ケラー液のあとは水で)。
  • 鉄鋼と同じ布を使うと鉄の粒が移り、EDS に偽の鉄のピークが出る。布を材料ごとに分ける。

用語 析出硬化 再結晶

出典: PACE アルミニウム; PACE 腐食液の解説; PACE 不具合の手引き

性質 柔らかい

難しいところ

  • 柔らかく、変形してだれやすい。
  • 酸化物の介在物が外れて面を引っかき、その傷が腐食で目立つ。
  • 鉛の介在物は、ほとんどの腐食液で溶けてしまう。鉛は研磨のままで見る(腐食後は穴に見える)。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P500(360 番)— 青銅だけアルミナ研磨紙水1 分
研削P1200(600 番)アルミナ研磨紙水平らになるまで
研削P1500 → P2500(800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分(細かい傷が消えないなら 3〜4 分)
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 1 試料 22〜45 N(だれるときは 22〜31 N)、100 rpm。コロイダルシリカで仕上げるなら、最後の 20〜30 秒は布に水だけを流す。

腐食液と見えるもの

塩化鉄(III)の液 塩酸 · 過硫酸アンモニウム 酸化剤 · アンモニア水と過酸化水素 酸化剤 · Klemm I 液 亜硫酸塩 · Klemm II 液 亜硫酸塩

  • 塩化鉄(III)の液: 粒界と相、青銅の Sn の偏析。
  • 過硫酸アンモニウム: 粒界と焼なまし双晶、黄銅の α・β。
  • Klemm 液 + 偏光: 冷間加工した材料の粒界のコントラスト。

この材料で起きやすい失敗

  • 変形層で組織がぼける(だれ) 力を 22〜31 N に下げ、布の硬さを研磨材の大きさに合わせる。腐食のたびに変形が出るなら、粗い研削の損傷が残っている。軽い力で SiC の段からやり直す(PACE)。
  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 鉛の介在物は腐食で溶けて穴に見える。鉛は研磨のままで写す(PACE)。

ほかの注意

  • 白黒の腐食はたいてい 5〜15 秒で終わる。

用語 黄銅 再結晶 加工硬化

出典: PACE 銅合金; ブルサ工科大学 実験資料; Vander Voort 着色エッチング

性質 柔らかい 不動態で腐食しにくい 機械的双晶ができやすい

難しいところ

  • 延性が大きく、粗い研磨材で加工硬化してだれ、傷が付きやすい。研削の番手を飛ばさない。
  • 切り粉・研削くずは発火しやすい。冷却液を流し続け、乾いたまま切ったり研削したりしない。
  • 切断・研削の力で機械的双晶ができることがある。
  • 不動態の酸化皮膜のため、ふつうの腐食液はほとんど効かず、多くの腐食液は HF を含む。表面の酸素の多い硬い層(α ケース、5〜100 µm ほど)を調べることが多い。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P280(240 番)SiC 研磨紙水平らになるまで
研削P500 → P1200 → P1500 → P2500(360 → 600 → 800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 1 分
研磨ダイヤモンド 6 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分
仕上げコロイダルシリカ + 過酸化水素(化学機械研磨。EBSD など)研磨布—2〜5 分(強い力)〜15〜20 分(軽い力)

条件 1 試料 22〜45 N、200 rpm(仕上げ 100 rpm)。鉄鋼と同じ布を使うと鉄が移るので、Ti 専用の布にする。研磨したらすぐ腐食する(すぐ酸化する)。

腐食液と見えるもの

クロール液 HF · Weck 液(Ti の着色、改良液) HF · ケラー液 HF 塩酸

  • クロール液(ふき取り 3〜15 秒): α 相(明るい)と β 相(暗い)、粒界(第一の選択)。
  • Weck 液(改良): 向きで粒に色を付ける。偏光と合わせて α ケースを測る。

この材料で起きやすい失敗

  • 傷が残る 腐食で浮き出る傷は、研磨のだれた層に隠れていたもの。1 µm を軽く長くするか、P2500(1200 番)からやり直す(PACE)。
  • エッチング不足(組織が出ない) HF を含む液が劣化している。作り直すか、ふき取りから浸漬に替える。研磨後すぐ酸化するので、すぐ腐食する(PACE)。
  • 変形層で組織がぼける(だれ) 機械的双晶は切断・研削の力でできる。力を下げ、薄い刃で精密に切る(Metkon)。仕上げはコロイダルシリカ + 過酸化水素で(Witt・Nowell)。
  • 過エッチング クロール液を浸漬すると HF で侵されすぎる。ふき取りで 3〜15 秒(PACE)。

ほかの注意

  • 腐食で傷が浮き出るのは、研磨のだれた層が傷を隠していたため。1 µm を軽く長く、または P2500(1200 番)に戻る。

用語 チタン合金 β型チタン合金

出典: PACE チタン; Witt・Nowell(EBSD の試料); LightForm wiki 試料の作り方; Metkon 研磨の不具合 12

性質 不動態で腐食しにくい 硬さの違う相・層

難しいところ

  • 硬く加工硬化しやすいので、遅く切り、丁寧に研削し、研磨を長めに。
  • γ′ の析出物や炭化物が研磨で抜けることがある。
  • ハステロイなどは耐食性が高く、腐食しにくい。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120 → P280 → P600 → P1200(120 → 240 → 400 → 600 番)。超合金は P1500(800 番)もSiC 研磨紙水各 2〜3 分
研磨ダイヤモンド 9 µm硬めのナップの短い布ダイヤモンド用の潤滑液5〜8 分
研磨ダイヤモンド 6 µm中くらいの硬さの布ダイヤモンド用の潤滑液4〜6 分
研磨ダイヤモンド 3 µm中くらいの硬さの布ダイヤモンド用の潤滑液4〜6 分
研磨ダイヤモンド 1 µm柔らかい布ダイヤモンド用の潤滑液3〜5 分
仕上げコロイダルシリカ 0.05 µm または アルミナ 0.3 µm柔らかい布—2〜4 分

条件 研削は 1 試料 9〜22 N(2〜5 lb)、240〜300 rpm。研磨は 9〜18 N(2〜4 lb)、120〜150 rpm。

腐食液と見えるもの

グリセレジア 塩酸+硝酸 · Kalling 2 液 塩酸 · マーブル液 塩酸 · Adler 液 塩酸 · 王水 塩酸+硝酸 · 10% シュウ酸(電解) シュウ酸 電解

  • グリセレジア(10〜30 秒): 粒界・双晶(一般の Ni 合金)。
  • マーブル液: 超合金の粒界・一次炭化物。
  • Adler 液: ハステロイなど。王水: 腐食しにくいインコネル。
  • 電解 10% シュウ酸(3〜6 V、5〜30 秒): γ′・γ″、炭化物。

この材料で起きやすい失敗

ほかの注意

  • 硬い相の脱落には、力を下げ、仕上げを柔らかい布で、振動研磨も考える。

用語 Ni基超合金

出典: PACE ニッケル合金; PACE 腐食液の解説; Metkon 腐食液の表

性質 柔らかい 水と反応する・水で傷む

難しいところ

  • 水と反応してすぐ酸化する(水素も出る)。切断から研磨まで水を使わない。
  • とても柔らかいので、力を軽く。
  • 切り粉は発火しやすい。乾いたまま切らず、金属火災用の消火剤(乾燥砂など)を近くに置く。水や泡の消火剤は使わない(Mg は水と反応して水素を出す)。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P120 → P280 → P600 → P1200(120 → 240 → 400 → 600 番)。P1500(800 番)はなくてもよいSiC 研磨紙エタノール系(水を使わない)各 2〜3 分
研磨ダイヤモンド 9 µm硬めのナップの短い布エタノール系(水を使わない)4〜6 分
研磨ダイヤモンド 6 µm中くらいの硬さの布エタノール系(水を使わない)3〜5 分
研磨ダイヤモンド 3 µm中くらいの硬さの布エタノール系(水を使わない)3〜5 分
研磨ダイヤモンド 1 µm柔らかい布エタノール系(水を使わない)2〜4 分
仕上げコロイダルシリカ 0.05 µm(エタノールで)研磨布エタノール系(水を使わない)2〜3 分

条件 研削は 1 試料 4〜13 N(1〜3 lb)、240〜300 rpm。研磨は 4〜9 N(1〜2 lb)、120〜150 rpm。切ったらすぐエタノールに入れ、埋め込みはできるだけ低い温度で。

腐食液と見えるもの

酢酸ピクラール ピクリン酸 · ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · Weck 液(Al の着色) 強いアルカリ 酸化剤

  • 酢酸ピクラール(10〜30 秒): Mg 合金の組織。
  • 薄いナイタール 1〜2%(5〜15 秒)。腐食のあとはエタノールで流す(水で流さない)。

この材料で起きやすい失敗

  • 汚れ・しみ 白い粉のような面は水による酸化。エタノール系の潤滑で研磨し直し、器具を乾かし、湿度の低い所で。ひどければ切り直す(PACE)。
  • 過エッチング 時間を 2〜5 秒に縮め、弱い液に替え、すぐエタノールで流す。軽く研磨し直して腐食し直す(PACE)。

ほかの注意

  • 研磨したらすぐ乾かし、デシケーターかエタノールの中に保管する。

出典: PACE マグネシウム; Witt・Nowell(EBSD の試料); LightForm wiki 試料の作り方; PACE 安全の基本; 職場のあんぜんサイト マグネシウム粉

性質 柔らかい 熱で組織が変わる 機械的双晶ができやすい

難しいところ

  • 錫はとても柔らかく(約 5 HB)、融点が低い(232 ℃)。研削・研磨の力を小さく、切断で熱を入れない。
  • 熱間の圧縮埋め込みは使わない。研削砥石の切断ははんだをだれさせるので避ける。
  • 潤滑液が多すぎると削れにくくなり、研磨材が埋まりやすくなる。機械研磨はできるだけ短く。
  • 基板の断面では、柔らかいはんだ・銅と硬い部品が並ぶので段差が出やすい。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P1200(600 番)SiC 研磨紙水平らになるまで
研磨ダイヤモンド 3 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液5 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—2 分
仕上げコロイダルシリカ 0.06 µm(振動研磨)研磨布—30〜60 分

条件 1 試料 22 N(5 lb)、150 rpm(アルミナは 130 rpm)。振動研磨は試料の重さだけで。研磨した試料は酸化を防ぐためデシケーターに。錫ペスト(β 錫から α 錫への変態)は湿気でなく 13.2 ℃より低い温度で起きるので、デシケーターでは防げない。寒い所に長く置かない。

腐食液と見えるもの

希塩酸(Sn・Zn) 塩酸 · ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · 塩化鉄(III)の液 塩酸

  • 振動研磨まですれば、偏光で錫の粒が腐食せずに見える(Buehler)。
  • 希塩酸(数分): 純錫・錫–鉛。塩化鉄(III)の液: 錫–銅。

この材料で起きやすい失敗

  • 砥粒が埋まる 潤滑液を控え、機械研磨を短く、最後は振動研磨で埋まった粒を取る(Buehler)。
  • 熱で組織が変わる・焼け 熱間埋め込みはしない。室温で固まる樹脂で埋め、砥石でなく精密切断で(Buehler)。
  • レリーフ(相の段差) 柔らかいはんだと硬い部品の段差には、研磨を短く、制御した除去で平らに保つ(PACE)。

ほかの注意

  • ナイタールは 10% を超えない。

出典: Buehler 鉛フリーはんだ; PACE 錫合金の腐食; PACE 基板・チップ; 錫ペストの総説

層・皮膜・硬い材料 4

性質 柔らかい 水と反応する・水で傷む 縁・表面の層を見る 機械的双晶ができやすい 熱で組織が変わる

難しいところ

  • 亜鉛は柔らかく(約 30 HB)、純度が高いほど柔らかく水に弱い。水と反応するので洗浄が難しい。
  • 樹脂と板のすき間に水やアルコールが残ってしみになる。収縮の小さい、ゆっくり固まるエポキシで埋める。
  • 溶融亜鉛めっきの層は、外から η(純亜鉛)・ζ(Fe 約 6%)・δ(Fe 約 10%)・Γ(Fe 約 25%)。合金の層は鋼より硬く、η は延性がある。
  • 融点が低い(419.5 ℃)ので、切断で熱を入れない。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P320(Struers の #320)SiC 研磨紙水平らになるまで
研削ダイヤモンド(細かい研削)硬い複合材の円盤水4 分
研磨ダイヤモンド 3 µm研磨布水を含まない潤滑液4〜6 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布水を含まない潤滑液4〜6 分
仕上げ化学機械研磨(エタノールで)研磨布エタノール15〜20 秒

条件 1 試料 15〜30 N、研磨は 150 rpm(Struers の手順)。研磨には水を含まないダイヤモンドの液と潤滑液を使い、絹の布で試料を平らに保つ。

腐食液と見えるもの

ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · 水酸化ナトリウムの水溶液(Al・Zn) 強いアルカリ · 希塩酸(Sn・Zn) 塩酸

  • ナイタール 0.5〜2%(数秒): めっきの層。腐食しすぎやすい。
  • 水酸化ナトリウム 10%(1〜5 秒)・希塩酸: 純亜鉛・亜鉛合金。

この材料で起きやすい失敗

  • 汚れ・しみ 水に弱いので、水の段を短くし、水を含まない潤滑液とエタノールで仕上げる。樹脂のすき間が液を残すので、収縮の小さいエポキシで埋める(Struers)。
  • 過エッチング めっき層はナイタールで数秒で腐食しすぎる。0.5〜1% から(Struers)。
  • エッジがだれる(縁が丸くなる) ゆっくり固まる冷間のエポキシ(収縮が小さく、よく付く)で埋め、すき間をなくす(Struers)。

ほかの注意

  • 腐食のあとはすぐ流して乾かし、水のしみと酸化を防ぐ。
  • 切断・研削の力で機械的双晶ができることがある。

出典: Struers 亜鉛めっき; 米国亜鉛めっき協会; PACE 亜鉛合金の腐食; Metkon 研磨の不具合 12

性質 縁・表面の層を見る 脆い 気孔がある 硬さの違う相・層

難しいところ

  • 皮膜と母材の削れ方が違い、縁で皮膜がはがれたり欠けたりしやすい。
  • SiC の紙は気孔に粒を落とし、気孔率を多めに見せる。研削は金属の網の上のダイヤモンドで。
  • 気孔と、研磨で抜けた穴を見分ける必要がある。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削ダイヤモンド 30 µm金属の網の布ダイヤモンド用の潤滑液平らになるまで
研磨ダイヤモンド 9 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3 分(WC-Co などの硬い皮膜は 4〜5 分)
研磨ダイヤモンド 3 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3 分(硬い皮膜は 4〜5 分)
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げアルミナ 0.05 µm研磨布—1 分

条件 1 試料 22〜45 N、100 rpm。精密切断機でダイヤモンドか CBN の刃を使い、皮膜に垂直に切る(研削砥石の切断は皮膜をはがす)。埋め込みは注型のエポキシ・アクリルだけ。低粘度のエポキシで真空含浸(25〜100 mbar、5〜10 分)し、蛍光色素を混ぜると樹脂の入った気孔が光り、抜けた穴は暗いまま。

腐食液と見えるもの

村上試薬 フェリシアン化物 強いアルカリ · ナイタール(硝酸のアルコール液) 硝酸+アルコール · ビレラ液 ピクリン酸 塩酸 · グリセレジア 塩酸+硝酸

  • セラミックスの皮膜(Al₂O₃・YSZ)はふつう腐食しない。
  • WC-Co の皮膜は村上試薬(10〜30 秒)。合金の皮膜はその合金に合う液で(PACE はナイタール・ビレラ液・グリセレジアを挙げる)。

この材料で起きやすい失敗

  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 気孔に粒が入ったか、含浸が足りない。低粘度のエポキシで真空含浸し直し、SiC の紙を使わずにダイヤモンドで。蛍光色素で本物の気孔と抜けた穴を見分ける(PACE)。
  • エッジがだれる(縁が丸くなる) 縁で皮膜がはがれる・欠けるのは、切断・埋め込みの力と熱のため。精密切断・注型の真空含浸にし、研削の力を下げる(PACE)。

ほかの注意

  • 切った面にはがれがあれば、あとの研磨では元の組織に戻せない。切ったらすぐ確かめる。

規格 ASTM E1920(溶射皮膜の金属組織の試料の作り方の指針)

用語 遮熱コーティング

出典: PACE 溶射皮膜; PACE 不具合の手引き

性質 硬い 脆い 硬さの違う相・層

難しいところ

  • 1500〜2000 HV と硬く、SiC(約 2500 HV)に近いので SiC の紙はほとんど削れず、すぐすり減る。最初からダイヤモンドで。
  • Co・Ni の結合相が炭化物より速く削れ、脱落や段差が出る。織った布を 9・3 µm の段に使うと段差が出る。
  • 研磨は金属の 2〜3 倍の時間がかかる。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削ダイヤモンド 70 µm または 45 µm金属結合のダイヤモンド円盤—2〜5 分
研削ダイヤモンド 30 µm → 15 µm → 9 µmダイヤモンドのラッピングフィルム—各 1〜4 分
研磨ダイヤモンド 9 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3〜5 分
研磨ダイヤモンド 3 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液3〜5 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2〜3 分
仕上げアルミナ 0.05 µm(またはコロイダルシリカ)研磨布—1〜2 分

条件 研磨は 1 試料 22〜45 N、100 rpm。精密切断機でダイヤモンドの刃を 20〜50 rpm でゆっくり(割れ・欠けを防ぐ)。WC-Co・TiC-Ni は範囲の長いほうの時間が要ることがある。

腐食液と見えるもの

村上試薬 フェリシアン化物 強いアルカリ

  • 村上試薬(室温 10〜60 秒): WC の粒と Co の結合相の分布、η 相。

この材料で起きやすい失敗

  • 黒鉛・介在物・硬い粒の脱落 結合相が炭化物より速く削れるため。柔らかめの布と軽い力で。段差が出るなら 9・3 µm を硬い複合材の円盤に(PACE)。
  • 傷が残る SiC では削れないので、ダイヤモンドだけで各段を延ばす(PACE)。

ほかの注意

  • 腐食が足りなければ、時間か濃さを上げる(サーメットは長めの腐食が要ることがある)。

規格 ISO 4499(超硬合金の組織の評価: 粒の大きさ・気孔・η 相など)

用語 焼結

出典: PACE 超硬・サーメット; PACE 腐食液の解説

性質 硬い 脆い 気孔がある

難しいところ

  • 脆く、切断・埋め込み・研削で欠け・割れが出る。切断の欠けは多くの場合あとで直せない。
  • 研磨で粒が抜けやすく(窒化ケイ素のガラス質の粒界相は特に)、抜けた穴が気孔に見える。
  • ジルコニアは局所の熱や応力で正方晶から単斜晶に変わり、割れることがある。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削ダイヤモンド 約 75 µm金属の網の布水1〜3 分(平らになるまで)
研削ダイヤモンド 15 µm → 9 µm硬い複合材の円盤ダイヤモンド用の潤滑液各 3〜5 分
研磨ダイヤモンド 9 µm硬めのナップの短い布ダイヤモンド用の潤滑液5 分
研磨ダイヤモンド 3 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液3 分
研磨ダイヤモンド 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液2 分
仕上げコロイダルシリカ 0.05 µm研磨布—1〜2 分(最後の 20〜30 秒は水だけ)

条件 研削は 1 試料 30〜40 N、研磨は 20〜30 N、仕上げは 10〜15 N(150 rpm)。SiC・B₄C・緻密な WC は各段を 1.5〜2 倍に。切断はダイヤモンドの刃で冷却液を十分に。多孔質のものは真空含浸が要る。コロイダルシリカを面の上で乾かさない。

腐食液と見えるもの

  • まず微分干渉(DIC)・偏光・暗視野で見る。粒界が見えなければ熱腐食: 焼結の温度より 100〜200 ℃低く 30 分〜2 時間(例: アルミナ 1400〜1500 ℃・30〜60 分・大気中、ジルコニア 1200〜1300 ℃・30〜60 分・大気中、窒化ケイ素 1400〜1500 ℃・30〜60 分・N₂ 中)。ゆっくり冷やす。
  • コロイダルシリカの振動研磨(1〜2 時間)でも粒界が出ることがある。

この材料で起きやすい失敗

ほかの注意

  • 化学腐食(沸騰した酸・溶融塩・濃い HF)は危険が大きく、このページでは載せない。

用語 焼結

出典: PACE セラミックス

目的別の仕上げ 1

難しいところ

  • EBSD のパターンは表面から 10〜50 nm の所から出るので、わずかな変形・酸化膜・汚れでもパターンが弱くなる。平らで変形のない面が要る。
  • 化学研磨・電解研磨は凹凸をつくることがあるので、腐食しすぎない。
  • 試料が両面とも平らでないと、EBSD の地図を取るのが難しい。

研削・研磨の段

段研磨材・粒度面潤滑時間の目安
研削P280 → P400 → P600 → P1200 → P1500 → P2500(240 → 320 → 400 → 600 → 800 → 1200 番)SiC 研磨紙水各 30 秒ほど
研磨ダイヤモンドかアルミナ 1 µm研磨布ダイヤモンド用の潤滑液5〜10 分
研磨0.3 µm研磨布—5〜10 分
仕上げコロイダルシリカ 0.05 µm または 0.02 µm研磨布—数分〜数時間(材料による)

条件 柔らかい材料ほど長く、細かい研磨材で。Ti はコロイダルシリカに過酸化水素を混ぜた化学機械研磨、Mg は水を使わず(グリセリンとアルコールなど)。冷間埋め込みの樹脂は柔らかく縁が丸くなることがある。SEM の真空を守るため、よく洗って乾かす。

腐食液と見えるもの

  • ふつうは腐食しない(パターンが弱くなる・凹凸ができる)。
  • 電解研磨が要る材料もあるが、過塩素酸を含む液はこのページでは条件を載せない(安全の節)。

この材料で起きやすい失敗

  • 変形層で組織がぼける(だれ) EBSD では機械研磨の変形が残るとパターンが出ない。コロイダルシリカの仕上げを延ばし(数分〜数時間)、Ti には過酸化水素を混ぜる(Witt・Nowell)。

ほかの注意

  • Ti では、研磨の変形で立方晶として指数づけされる暗い部分が出ることがあり、コロイダルシリカ + 過酸化水素の研磨で消える。

出典: Witt・Nowell(EBSD の試料); LightForm wiki 試料の作り方; PACE セラミックス

安全

エッチング液には、フッ化水素酸・ピクリン酸・シアン化物を出すおそれのある液など、危険の大きいものがあります。液を作る・使う前に、使う薬品の SDS と所属の安全規則を必ず確かめ、ドラフトの中で保護具を着けて扱ってください。

どの液にも

液を作る前と使う前に、使う薬品すべての SDS(安全データシート)を読み、所属の安全規則と担当者の指示に従ってください。このページの組成と時間は手順を選ぶための目安で、所属の安全の手順書の代わりにはなりません。規格(ASTM E407)も、安全の手順を決めるのは使う人の責任だとしています。

腐食液は換気装置(ドラフト)の中で作り、使います。薬品を扱うときは手袋を常に着け、危険の大きい液では保護面も着けます。

作る順序: 溶媒を先に入れ、塩を溶かし、危険な酸は最後に少しずつかき混ぜながら加えます。硫酸は最後に、水へゆっくり加えます。液を一気に注ぎ合わせないでください。

使った液と洗い液は所属の規則に従って集め、流しや一般のごみに捨てないでください。

出典: Vander Voort 実験室の安全; ASTM E407-23; サスカチュワン大学 ピクリン酸の手順

フッ化水素酸(HF)・二フッ化水素アンモニウムを含む液

HF が皮膚に付いても、すぐには痛まず、見た目の傷も出ないことがあります。数時間は強い痛みだけのことがあり、見える傷は 12〜24 時間後に出ることもあります。気づかないうちに深い薬傷になるので、薄い液(0.5% HF など)でも同じように扱います。

HF は体の中で電解質の重い異常を起こすことがあり、治療にはグルコン酸カルシウム(ゲル・液・薬)が使われます。HF を含む液を使う前に、応急用のグルコン酸カルシウムのゲルを手の届く所に用意し、使い方を確かめておきます(HF を使う実験室は解毒用の用具を置くこと、と ASM Handbook の安全の章にもあります)。

付いたら: すぐに安全シャワーなどで大量の水で 15 分洗い、汚れた衣服を脱ぎ、洗ったあとグルコン酸カルシウムのゲルを塗って、すぐに医師にかかります。眼に入ったら洗眼器で 15 分洗い、医師にかかります。

HF はガラスを侵すので、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)の容器で作り、HF の表示を付けて保管します。

二フッ化水素アンモニウム(NH₄HF₂)を含む液(Beraha の着色液・LB1・Ti 用の Weck 液)も HF を出すので、HF と同じ対策で扱います。

フッ化ホウ素酸(HBF₄、Barker 液)も、皮膚と眼に重い薬傷を起こし、分解するとフッ化水素を出し、ガラスを侵します(SDS)。HF と同じ対策で扱い、PE の瓶で保管します。

出典: CDC フッ化水素; NIOSH Pocket Guide フッ化水素; コロンビア大学 HF の応急手当; Vander Voort 実験室の安全; PACE 腐食液の解説; PACE 鋳鉄; フッ化ホウ素酸の SDS

ピクリン酸を含む液

乾いたピクリン酸は爆発物です(GHS の分類で爆発物 等級 1.1)。粉砕・衝撃・摩擦で爆発するおそれがあります。

金属(特に銅・鉛・水銀・亜鉛)と反応して衝撃に敏感な化合物(ピクリン酸塩)をつくり、乾いたピクリン酸塩はさらに爆発しやすくなります。金属のふた・さじ・台を使いません。

液を表面や瓶の口で乾かさないでください。固体は水で湿らせて保管し、月に 1 回ほど乾いていないか見て、減っていれば水を足します。作った液は長く置かず(日の終わりに捨てる、7 日までなど、出典と所属の規則による)、試料の上で乾かさないようすぐ流します。

瓶の口や中に乾いた結晶を見つけたら、触らず、動かさず、所属の安全・廃棄の担当者に連絡します。

出典: 職場のあんぜんサイト ピクリン酸; Vander Voort 実験室の安全; サスカチュワン大学 ピクリン酸の手順; PACE 腐食液の解説

硝酸とアルコールの液(ナイタールなど)

エタノールに硝酸を 3% まで加えたナイタールは、少量なら安全に作って保管できるとされます。3% を超える液は、その日に使う分だけ作ってふたのない皿で使い、密栓して保管しません(瓶の中で圧がたまります)。

メタノールは体にたまる毒(累積毒)で、飲み込み・吸い込みのほか皮膚からも吸収され、中枢神経を傷めます。できるだけエタノールを使います。メタノールで作るなら硝酸は 5% までにします。

密栓した瓶は、ガス(NOx)の圧力がたまって破裂した例があります。ふたに小さな穴を開けて圧を逃がすか、ときどき圧を抜きます。

メタノールに硝酸 5% を超えて加えた液は、温めると激しく分解します。PACE の錫の腐食の表も、ナイタールは 10% を超えないとしています。

アルコールを先に入れ、硝酸をあとから加えます。

出典: Vander Voort 実験室の安全; PACE 安全の基本; PACE 腐食液の解説; PACE 錫合金の腐食

王水・グリセレジア(塩酸と硝酸の液)

混ぜると熱が出て、時間とともに分解し、塩素・二酸化窒素が出ます。使う直前に少量を作り、混ぜてから約 15 分以上は置かず、使ったらすぐ捨てます。

作った液を密閉した容器に入れません(圧がかかります)。膨らんだ容器はすぐ廃液にします。ドラフトの中で扱います。

グリセレジアは硝酸とグリセリンを含みます。硝酸とグリセリン(やグリコール)の濃い混合は爆発することがあり、液はすぐ分解するので、少量だけ作って使ったらすぐ捨てます。硝酸と硫酸を含む水のない液にはグリセリンを使いません(ニトログリセリンができるおそれ)。

出典: Vander Voort 実験室の安全; PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼

フェリシアン化カリウムの液(村上試薬)

フェリシアン化カリウムは毒性がありますが、安定していて比較的安全に使えるとされます。ただし酸に触れるとシアン化水素が出るので、液はアルカリ性に保ち、酸と混ぜず、酸の廃液に入れません。

熱い液は吹きこぼれることがあるのでドラフトで使い、捨てる前に冷まします。

シアン化カリウム・シアン化ナトリウムは、これとは別の、きわめて毒性の強い物質で、酸や酸の蒸気に触れると特に危険です。扱いに慣れた訓練を受けた人だけが使うものなので、これらを含む液はこのページに載せません。

出典: Vander Voort 実験室の安全; PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼; ASTM E2014-17

水酸化ナトリウム・水酸化カリウムの液

強いアルカリで、皮膚と眼を侵します。温めて使う液は PE・PP の容器で温め、ガラスの容器で温めません。

出典: PACE 腐食液の解説

塩酸を含む液(塩化鉄・塩化銅の液も)

濃い塩酸は皮膚を強く侵して重い薬傷を起こし、眼にとても危険で、鼻とのどを刺激します。塩化水素のガスが出るので、ドラフトの中で扱います。

酸を薄めるときは水に酸を加え、逆にしません。濃い酸が金属に触れると水素が出ることがあり、火災・爆発の危険になります。

出典: Vander Voort 実験室の安全; PACE 安全の基本

シュウ酸の液

飲み込むと有害で、眼に重い損傷を起こし、皮膚と呼吸器を刺激します(GHS の分類)。

強い酸化剤と激しく反応するので、硝酸と混ぜません。ある種の銀化合物と反応して、爆発性のシュウ酸銀をつくります。

出典: 職場のあんぜんサイト シュウ酸; Vander Voort 実験室の安全

酸化剤を含む液(過硫酸アンモニウム・過マンガン酸カリウム・過酸化水素)

過硫酸アンモニウムは酸化性の固体で、可燃物と混ざると発火して激しく燃えることがあります。吸い込むとぜんそくなどのアレルギーを、皮膚に付くとアレルギー性の反応を起こすおそれがあります(GHS の呼吸器感作性・皮膚感作性 区分 1)。粉を吸い込まないようにし、可燃物から離して保管します。

過マンガン酸カリウムは、特に有機物に触れると火災・爆発の危険があります。硫酸と混ぜると激しく爆発することがあるので、混ぜません。

過酸化水素は 3% の液なら比較的安全に使えますが、30% の液は非常に強い酸化剤です。どちらも眼をひどく傷めます。

出典: 職場のあんぜんサイト 過硫酸アンモニウム; Vander Voort 実験室の安全

メタ重亜硫酸カリウムを含む着色液(Klemm・Beraha・LB1)

メタ重亜硫酸カリウムは眼に重い損傷を起こします(GHS 区分 1)。酸に触れると有毒なガスが出るので、酸の廃液に入れません。塩酸を含む Beraha I 液には使う直前に加え、ドラフトの中で使います。

出典: メタ重亜硫酸カリウムの SDS; PACE ステンレス鋼

電解エッチング(シュウ酸・水酸化ナトリウム・Barker 液など)

直流の電源と、電気を通す酸やアルカリの液を使います。濡れた手で触ると痛い感電をすることがあるので、電源の設定を変えるときは手を乾かしておきます。

電解では水素を含むガスや蒸気が出ます。ドラフトの中か、換気のよい所で行います。

出典: PACE 安全の基本

過塩素酸を含む電解研磨液(このページでは条件を載せない)

過塩素酸は強い酸化剤です。加熱すると爆発することがあり、濃度が 72% を超えると不安定で、乾くと衝撃や振動で爆発することがあります。可燃物・有機物と激しく反応し、紙などと混ざると室温で自然発火することがあります。

有機物に触れると非常に不安定な過塩素酸塩をつくります。過塩素酸と無水酢酸の電解研磨液は薦められていません。液は冷たく保ち(温度が上がると酸化力が増す)、保存せず、フェノール樹脂などで埋めた試料を過塩素酸の液で電解研磨してはいけません(爆発の例があります)。蒸気には、水で洗う方式の専用のドラフトが要ります。

このページは、過塩素酸系の電解研磨液の組成と条件を載せません。電解研磨が要るときは、専用の設備と手順書のある所で、担当者と一緒に行ってください。

出典: 職場のあんぜんサイト 過塩素酸; Vander Voort 実験室の安全

六価クロム(無水クロム酸)を含む液(このページでは載せない)

無水クロム酸は、GHS で発がん性 区分 1A、吸入・皮膚の接触で生命に危険、呼吸器感作性などに分類される強い酸化剤です。

このページは、六価クロムを含む液(亜鉛の Palmerton 液、Al の Graff–Sargent 液など)の手順を載せません。代わりの液はそれぞれの材料の欄にあります。

出典: 職場のあんぜんサイト 無水クロム酸; PACE 亜鉛合金の腐食; PACE アルミニウム

このページに載せていない液

次の液は危険が特に大きいので、組成も手順も載せていません。専門の設備と手順があり、扱いの訓練を受けた所でだけ使われるものです。

  • シアン化カリウム・シアン化ナトリウムを含む液(金などの貴金属に使われる)— 毒性がきわめて強い(上の「フェリシアン化カリウムの液」)
  • 過塩素酸を含む電解研磨液(Ti・Al・鋼の EBSD 用など)— 爆発の危険(上の「過塩素酸」)
  • 六価クロムを含む液(Palmerton 液・Graff–Sargent 液など)— 発がん性など(上の「六価クロム」)
  • カドミウム塩・鉛塩を使う着色液(Beraha の CdS 液・PbS 液)— 重金属の塩を使うため
  • 溶融塩・沸騰した濃い酸・濃い HF を使うセラミックスの化学腐食 — PACE の手引きも重い危険として扱う。セラミックスはまず熱腐食や偏光・微分干渉で

腐食液 29

組成は mL(体積)と g(質量)で書いています。酸は、ことわりのない限り市販の濃い試薬の量です。どの液も、使う前に安全の注意を読んでください: どの液にも

腐食液使う材料危険
ナイタール(硝酸のアルコール液)炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 浸炭層・窒化層・脱炭層(表面の層) · 工具鋼・高速度鋼 · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材) · マグネシウム合金 · 亜鉛めっき層・亜鉛 · はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー) · 溶射皮膜・硬い皮膜硝酸+アルコール
ピクラール(ピクリン酸のアルコール液)炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 浸炭層・窒化層・脱炭層(表面の層) · 工具鋼・高速度鋼 · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)ピクリン酸
ビレラ液焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 工具鋼・高速度鋼 · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 溶射皮膜・硬い皮膜ピクリン酸 塩酸
Beraha の着色液(チオ硫酸ナトリウム系)炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト)亜硫酸塩
Klemm I 液二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · 銅・黄銅・青銅 · 炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし)亜硫酸塩
Klemm II 液鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 銅・黄銅・青銅亜硫酸塩
Beraha I 液(ステンレス鋼用)二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄)HF 塩酸 亜硫酸塩
LB1 液(Lichtenegger・Bloech)二相ステンレス鋼(2205・2507 など)HF 亜硫酸塩
10% シュウ酸(電解)オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)シュウ酸 電解
10% 水酸化ナトリウム(電解)オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など)強いアルカリ 電解
グリセレジアオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · 溶射皮膜・硬い皮膜塩酸+硝酸
王水ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど)塩酸+硝酸
マーブル液ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など)塩酸
Kalling 2 液二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど)塩酸
Adler 液ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など)塩酸
Fry 液炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし)塩酸
村上試薬超硬合金(WC-Co)・サーメット · 工具鋼・高速度鋼 · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 溶射皮膜・硬い皮膜フェリシアン化物 強いアルカリ
ケラー液アルミニウム合金 · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材) · チタン・チタン合金HF 塩酸
0.5% フッ化水素酸アルミニウム合金HF
Barker 液(陽極酸化)アルミニウム合金 · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)HF 電解
水酸化ナトリウムの水溶液(Al・Zn)アルミニウム合金 · 亜鉛めっき層・亜鉛強いアルカリ
Weck 液(Al の着色)アルミニウム合金 · マグネシウム合金強いアルカリ 酸化剤
クロール液チタン・チタン合金HF
Weck 液(Ti の着色、改良液)チタン・チタン合金HF
過硫酸アンモニウム銅・黄銅・青銅酸化剤
塩化鉄(III)の液銅・黄銅・青銅 · はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー)塩酸
アンモニア水と過酸化水素銅・黄銅・青銅酸化剤
酢酸ピクラールマグネシウム合金ピクリン酸
希塩酸(Sn・Zn)はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー) · 亜鉛めっき層・亜鉛塩酸

危険 硝酸+アルコール

組成
  • 硝酸 1〜10 mL + エタノール 90〜99 mL。ふつうは 2%(硝酸 2 mL + エタノール 98 mL)。メタノールも使われるが、累積毒で皮膚からも吸収されるので、できればエタノールで(メタノールなら硝酸 5% まで)。3% を超える液はその日に作り、密栓しない
使い方・時間
  • 浸漬かふき取り。2% で 5〜30 秒(5〜10 秒から始める)。硬い鋼は 3〜5%(5% を超えない)
  • 亜鉛めっき層は 0.5〜2%、数秒(腐食しすぎやすい)。Mg 合金は 1〜2%、5〜15 秒でエタノールで流す
見えるもの
フェライトの粒界とパーライト(どちらも見える)、マルテンサイト、浸炭・窒化層、鋳鉄の地。鉄鋼でいちばんよく使う。
使う材料
炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 浸炭層・窒化層・脱炭層(表面の層) · 工具鋼・高速度鋼 · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材) · マグネシウム合金 · 亜鉛めっき層・亜鉛 · はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー) · 溶射皮膜・硬い皮膜

出典: PACE 腐食液の解説; PACE 炭素鋼; ブルサ工科大学 実験資料; Metkon 腐食液の表; Struers 亜鉛めっき; PACE マグネシウム

危険 ピクリン酸

組成
  • ピクリン酸 2〜4 g + エタノール 100 mL(4% がふつう)
使い方・時間
  • 浸漬 5〜60 秒(鋳鉄ではふき取り 10〜30 秒)。エタノール、次に水で流し、すぐ乾かす
見えるもの
セメンタイトを腐食し、パーライトの層・球状化した炭化物・焼戻しの炭化物の分布をはっきり出す。フェライトの粒界は出ないので、両方見たいときはナイタールと組み合わせる。
使う材料
炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 浸炭層・窒化層・脱炭層(表面の層) · 工具鋼・高速度鋼 · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)

出典: PACE 腐食液の解説; PACE 炭素鋼; ブルサ工科大学 実験資料; Metkon 腐食液の表

危険 ピクリン酸 塩酸

組成
  • ピクリン酸 1 g + 塩酸 5 mL + エタノール 100 mL
使い方・時間
  • 浸漬かふき取り 5〜60 秒。エタノールで流す
見えるもの
マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼と、焼入れした工具鋼・高速度鋼の標準。旧オーステナイト粒界、焼戻しマルテンサイト、炭化物。
使う材料
焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 工具鋼・高速度鋼 · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 溶射皮膜・硬い皮膜

出典: PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼; PACE 工具鋼; ブルサ工科大学 実験資料

危険 亜硫酸塩

組成
  • チオ硫酸ナトリウム 10 g + メタ重亜硫酸カリウム 3 g + 水 100 mL(Vander Voort の 10/3 液。市販の調合品は質量でチオ硫酸ナトリウム 5〜15%・メタ重亜硫酸カリウム 2〜5%)
使い方・時間
  • 浸漬 30〜120 秒。仕上げは 0.05 µm まで(変形のない面に)
見えるもの
フェライト(青緑・橙)、マルテンサイト(茶)、ベイナイト(中間)に色を付け、残留オーステナイトは色が付かず白く残る(色は結晶の向きと組成で変わる)。
使う材料
炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト)

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE 腐食液の解説

危険 亜硫酸塩

組成
  • チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液 50 mL + メタ重亜硫酸カリウム 1 g
使い方・時間
  • 浸漬 30 秒〜3 分(色が付くまで)。水、次にエタノールで流し、自然に乾かす(圧縮空気を当てない)
見えるもの
黄銅の双晶のある粒、二相ステンレス鋼の相、鋼のフェライト・パーライトなどに着色する(色は向きと組成で変わる)。
使う材料
二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · 銅・黄銅・青銅 · 炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし)

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE ステンレス鋼; PACE 銅合金; PACE 腐食液の解説

危険 亜硫酸塩

組成
  • チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液 50 mL + メタ重亜硫酸カリウム 5 g
使い方・時間
  • 浸漬 60〜120 秒。約 40 ℃に温めると色がよく付く
見えるもの
フェライトを青、マルテンサイトを茶〜黒にし、残留オーステナイトは白く残る(オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の地の見分けなど)。
使う材料
鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄) · 焼入れ鋼・焼入れ焼戻し鋼(マルテンサイト・残留オーステナイト) · 銅・黄銅・青銅

出典: PACE 鋳鉄; PACE 銅合金

危険 HF 塩酸 亜硫酸塩

組成
  • 原液: 水 1000 mL + 塩酸 200 mL + 二フッ化水素アンモニウム 24 g
  • 使う液: 原液 100 mL + メタ重亜硫酸カリウム(マルテンサイト系 0.1〜0.2 g、オーステナイト系・フェライト系 0.3〜0.6 g、PACE は 1 g)。使う直前に加える
使い方・時間
  • 浸漬 30 秒〜2 分(色が付くまで)
見えるもの
ステンレス鋼の粒(双晶のある粒も)に着色する。二相ステンレス鋼の相の見分けに PACE の第一の選択。
使う材料
二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄)

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE ステンレス鋼; PACE 鋳鉄

危険 シュウ酸 電解

組成
  • シュウ酸二水和物 10 g + 水 100 mL
使い方・時間
  • 電解: 試料を陽極、ステンレス鋼を陰極に、直流 6 V(電極の間 25 mm)。組織を見るなら 15〜30 秒(Ni 合金は 3〜6 V で 5〜30 秒)。鋭敏化の判定(ASTM A262 Practice A)の条件は規格の本文で
  • ピットが出たら 3〜4 V に下げるか短くする
見えるもの
オーステナイト系ステンレス鋼の粒界(step・dual・ditch の判定)、シグマ相・炭化物。
使う材料
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)

出典: PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼; PACE ニッケル合金; ブルサ工科大学 実験資料; 職場のあんぜんサイト シュウ酸

危険 塩酸+硝酸

組成
  • 塩酸 15〜30 mL + 硝酸 5〜10 mL + グリセリン 10 mL(出典で割合に幅がある: PACE の液の解説 15:10:10、ステンレス鋼の手引き 硝酸 10・塩酸 20〜30・グリセリン 10、Ni 合金の手引き 15:5:10)
使い方・時間
  • ふき取り 10〜60 秒(浸漬しない: 局所で熱が出る)。水、次にエタノールで流す。作りたてを使い、保存しない
見えるもの
オーステナイト系ステンレス鋼と Ni 基合金の粒界・双晶・炭化物・シグマ相。電解シュウ酸の前に軽くふいて表面を活性化するのにも使う。
使う材料
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · 溶射皮膜・硬い皮膜

注意

  • 硝酸とグリセリンの濃い混合は爆発することがある。少量だけ作り、使ったらすぐ捨てる(安全の節)

出典: PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼; PACE ニッケル合金; Vander Voort 実験室の安全

危険 塩酸

組成
  • 硫酸銅 10 g + 塩酸 50 mL + 水 50 mL(市販の調合品は質量で塩酸 10〜20%・硫酸銅 2〜10%)
使い方・時間
  • 浸漬かふき取り 5〜60 秒。硫酸を数滴加えると強くなる
見えるもの
Ni 基超合金(インコネル 600・625・718)・オーステナイト系ステンレス鋼・Co 基合金の粒界と炭化物。
使う材料
ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など)

出典: Metkon 腐食液の表; PACE 腐食液の解説

危険 塩酸

組成
  • 塩化銅(II) 5 g + 塩酸 100 mL + エタノール 100 mL
使い方・時間
  • ふき取りか浸漬 5〜60 秒(二相ステンレス鋼は 30 秒〜2 分)
見えるもの
ステンレス鋼の粒界、二相ステンレス鋼のフェライト、シグマ相、Ni 合金(モネルなど)の組織。
使う材料
二相ステンレス鋼(2205・2507 など) · オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・316 など) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど)

出典: Metkon 腐食液の表; PACE 腐食液の解説; PACE ステンレス鋼; PACE ニッケル合金

危険 塩酸

組成
  • 塩化鉄(III) 45 g + 塩化銅アンモニウム 9 g + 塩酸 150 mL + 水 75 mL
使い方・時間
  • ふき取り 5〜60 秒
見えるもの
ハステロイなど耐食性の高い Ni 合金、フェライト系・マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼の粒界。
使う材料
ニッケル基合金・超合金(インコネル・ハステロイなど) · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など)

出典: PACE ニッケル合金; PACE 腐食液の解説

危険 塩酸

組成
  • 塩化銅(II) 5 g + 塩酸 40 mL + 水 30 mL + エタノール 25 mL
使い方・時間
  • ふき取り 30〜120 秒
見えるもの
低炭素鋼・マルエージング鋼の、冷間加工のひずみの模様(すべり線・変形帯)。
使う材料
炭素鋼・低合金鋼(焼なまし・焼ならし)

出典: ブルサ工科大学 実験資料; PACE 腐食液の解説

危険 フェリシアン化物 強いアルカリ

組成
  • フェリシアン化カリウム 10 g + 水酸化カリウム 10 g(または水酸化ナトリウム 7〜10 g)+ 水 100 mL。アルカリを先に水に溶かしてから加える
使い方・時間
  • 超硬合金: 室温で 10〜60 秒。鋼の炭化物: 冷たい液で、または 50〜80 ℃で 3〜10 分。作りたてを使う。酸と混ぜない
見えるもの
WC-Co の WC と Co の結合相の分布(冷)、鋼の炭化物(D2・A2 の Cr 炭化物、高速度鋼の炭化物)、ステンレス鋼のシグマ相。
使う材料
超硬合金(WC-Co)・サーメット · 工具鋼・高速度鋼 · マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼(410・420・440C・17-4PH など) · 溶射皮膜・硬い皮膜

出典: PACE 腐食液の解説; PACE 超硬・サーメット; PACE 工具鋼; Metkon 腐食液の表; ブルサ工科大学 実験資料

危険 HF 塩酸

組成
  • フッ化水素酸 2 mL + 塩酸 3 mL + 硝酸 5 mL + 水 190 mL(PACE の Al の手引きの 1.0 : 1.5 : 2.5 : 95 mL も同じ割合)。PE・PP の容器で
使い方・時間
  • 浸漬 8〜20 秒。冷たい水(または温水)で十分に流す。Al をアルコールで流さない。作りたてを使う
  • Ti 合金: 浸漬 3〜10 秒(PACE の Ti の手引き)、10〜20 秒(Metkon)
見えるもの
展伸用 Al 合金(1000〜7000 系)の粒界と第二相の粒子(Al₂Cu・Mg₂Si・MgZn₂)、加工したままの粒と再結晶した粒。Cu を含む 2000 系では Cu の汚れが残ることがあり、そのときは 0.5% HF に替える。Ti 合金にも使う。
使う材料
アルミニウム合金 · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材) · チタン・チタン合金

出典: PACE 腐食液の解説; PACE アルミニウム; PACE チタン; Metkon 腐食液の表

危険 HF

組成
  • フッ化水素酸 0.5 mL + 水 99.5 mL(PE・PP の容器で)
使い方・時間
  • 浸漬 5〜60 秒
見えるもの
Al 合金の粒界と第二相の粒子。Cu を含む 2000 系でケラー液の代わりに。
使う材料
アルミニウム合金

出典: PACE 腐食液の解説

危険 HF 電解

組成
  • フッ化ホウ素酸(HBF₄、48%)4〜5 mL + 水 200 mL
使い方・時間
  • 試料を陽極、Al かステンレス鋼を陰極に、直流 20〜30 V で 30 秒〜3 分。水で流し、偏光(鋭敏色板)で見る
見えるもの
陽極酸化の膜の厚さが結晶の向きで違うので、偏光で粒ごとに色が違って見える(粒の大きさ・向きの見分け)。
使う材料
アルミニウム合金 · 溶接部(溶接金属・熱影響部・母材)

注意

  • フッ化ホウ素酸は腐食性。ドラフトで、保護具を着けて使う(PACE)
  • フッ化ホウ素酸は分解するとフッ化水素を出し、ガラスを侵す。HF と同じ対策で、PE の瓶で扱う(SDS)

出典: PACE 腐食液の解説; PACE アルミニウム; Vander Voort 着色エッチング; フッ化ホウ素酸の SDS

危険 強いアルカリ

組成
  • 水酸化ナトリウム 1〜10 g + 水 100 mL(Al の組織は 1%、巨視組織は 10〜20%)
使い方・時間
  • Al: 1% をふき取りか浸漬 30〜60 秒(できた汚れは硝酸で落とす)。巨視組織: 10〜20% を 50〜70 ℃で 30〜60 秒。Zn: 10% を 1〜5 秒
見えるもの
Al の組織(HF を使わない液)、Al の鍛流線・偏析・溶接部の巨視組織、純亜鉛・低合金の亜鉛。
使う材料
アルミニウム合金 · 亜鉛めっき層・亜鉛

出典: PACE アルミニウム; PACE 腐食液の解説; PACE 亜鉛合金の腐食; ブルサ工科大学 実験資料

危険 強いアルカリ 酸化剤

組成
  • 過マンガン酸カリウム 4 g + 水酸化ナトリウム 1 g + 水 100 mL(PACE の液の解説は水酸化ナトリウム 4 g で温めて使う)
使い方・時間
  • 浸漬 20〜60 秒(色が付くまで)
見えるもの
Al 合金の粒に色を付ける。鋳造合金のほうが展伸材より色が付きやすい。
使う材料
アルミニウム合金 · マグネシウム合金

注意

  • 過マンガン酸カリウムは皮膚や台を染めるので、トレーの中で扱う(PACE)

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE アルミニウム; PACE 腐食液の解説

危険 HF

組成
  • フッ化水素酸 1〜3 mL + 硝酸 2〜6 mL + 水 100 mL ほど(Metkon: HF 2・HNO₃ 6・水 92 mL、PACE: 約 HF 2 mL + HNO₃ 6 mL + 水 100 mL)。PE・PP の容器で
使い方・時間
  • ふき取り 3〜15 秒(浸漬すると HF で侵されすぎる)。冷たい水で十分に流す。PACE の Ti の手引きは浸漬 10〜30 秒も挙げているが、液の解説はふき取りとしている
見えるもの
Ti 合金(純 Ti・Ti-6Al-4V など)の α 相(明るい)と β 相(暗い)、変態した β のコロニー、粒界。Zr 合金にも。
使う材料
チタン・チタン合金

出典: PACE 腐食液の解説; PACE チタン; Metkon 腐食液の表

危険 HF

組成
  • 水 100 mL + エタノール 25 mL + 二フッ化水素アンモニウム 2 g(もとの 50 mL のエタノールでは腐食のむらが出る)
使い方・時間
  • 20 ℃で数秒浸漬
見えるもの
Ti の粒に向きで色を付ける(機械的双晶も見える)。偏光と組み合わせて α ケースの深さを測るのにも。
使う材料
チタン・チタン合金

出典: Vander Voort 着色エッチング; PACE チタン

危険 酸化剤

組成
  • 過硫酸アンモニウム 10 g + 水 90 mL
使い方・時間
  • ふき取りか浸漬 5〜60 秒。作りたてを使う(1〜2 日で分解する)
見えるもの
無酸素銅・黄銅・洋白・青銅の粒界と焼なまし双晶、黄銅の α・β 相。
使う材料
銅・黄銅・青銅

出典: PACE 銅合金; PACE 腐食液の解説; 職場のあんぜんサイト 過硫酸アンモニウム

危険 塩酸

組成
  • 塩化鉄(III) 5〜10 g + 塩酸 5〜50 mL + 水・エタノールまたはメタノール 100〜120 mL(合金に合わせて濃さを変える)
使い方・時間
  • 浸漬かふき取り 5〜30 秒
見えるもの
銅合金の粒界・相、青銅の Sn の偏析(デンドライト)、錫–銅合金。
使う材料
銅・黄銅・青銅 · はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー)

注意

  • メタノールで作るときは、メタノールの毒性(皮膚からも吸収される)に注意する。できればエタノールで(安全の節の「硝酸とアルコールの液」も参照)

出典: PACE 銅合金; ブルサ工科大学 実験資料; PACE 錫合金の腐食

危険 酸化剤

組成
  • アンモニア水(濃): 3% 過酸化水素: 水 = 1 : 1 : 1(水は省いてもよい)
使い方・時間
  • ふき取り 5〜30 秒。混ぜて数分で弱るので、使う直前に作る
見えるもの
銅・黄銅の粒界。
使う材料
銅・黄銅・青銅

注意

  • 濃いアンモニア水は刺激の強い蒸気を出す。ドラフトの中で扱う(SDS)

出典: ブルサ工科大学 実験資料; PACE 銅合金

危険 ピクリン酸

組成
  • ピクリン酸 4.2〜6 g + 酢酸 5〜30 mL + 水 0〜15 mL + エタノール 100 mL(出典で割合に幅がある)
使い方・時間
  • 10〜30 秒。エタノールで流す(水で流さない)
見えるもの
Mg 合金(Mg–Al・Mg–Al–Zn など)の組織。
使う材料
マグネシウム合金

注意

  • 氷酢酸は腐食性で引火性がある。火気を避け、ドラフトで扱う(SDS)

出典: PACE マグネシウム; サスカチュワン大学 ピクリン酸の手順; Steel Data(腐食液 No.126)

危険 塩酸

組成
  • 塩酸 1〜5 mL + エタノール・メタノールまたは水 100 mL
使い方・時間
  • 数分浸漬
見えるもの
純錫・錫–鉛合金・錫–アンチモン–銅合金、亜鉛の粒界と第二相。
使う材料
はんだ・錫(Sn–Pb・鉛フリー) · 亜鉛めっき層・亜鉛

注意

  • メタノールで作るときは、メタノールの毒性(皮膚からも吸収される)に注意する。できればエタノールで(安全の節の「硝酸とアルコールの液」も参照)

出典: PACE 錫合金の腐食; PACE 亜鉛合金の腐食

なぜ前の段の傷を完全に消すのか(変形の層)

研削の傷は溝だけではありません。溝の下には、目に見えない塑性変形の層が残ります。次の段は溝を消すだけでなく、この層も取り除かなければなりません。Struers の手引きは「どの段も前の段の損傷を取り除き、自分の損傷はできるだけ少なくする」ことを原則にしています。

この層が残ると、研磨のままでは平らに見えても、腐食すると傷や乱れが浮き出ます。これは腐食液が傷を付けたのではなく、研磨で隠れていた変形が出てきたものです。柔らかい金属(Al・Cu・Sn・オーステナイト系ステンレス鋼・Ti)ほど起きやすく、出典は最後の研磨を延ばすこと、化学機械研磨(コロイダルシリカ)、研磨と軽い腐食のくり返しを勧めています。

変形の深さは見た目の溝からは分かりません。鉄・銅・チタンを研削紙で研削して変形の深さを EBSD と FIB で測った研究では、同じ研削紙でも EBSD で測った深さは FIB で見た深さよりずっと大きく出ました。測り方によっても値が変わるほど、見えない所まで及ぶということです。

変形の層を嫌う測り方ほど影響が大きくなります。EBSD は表面から 10〜50 nm の所の回折を使うので、わずかな変形でもパターンが弱くなります。焼入れ鋼の残留オーステナイトは研削・研磨の変形で変わることがあり、X 線回折で量を測るときは電解研磨した面で測ります。

確かめ方: 段ごとに試料を 90° 回して、前の段の向きの傷が残っていないか見ます。PACE は、新しい傷の向きにそろうまでにかかった時間のおよそ 3 倍を続けることを目安にしています。

出典: Struers Metalog Guide; Metkon 研磨の不具合 12; PACE 不具合の手引き; Pinard ら(変形の深さ); Witt・Nowell(EBSD の試料); Lambda Technologies 残留オーステナイト

エッチングで何が起きているか

粒界は原子の並びが乱れてエネルギーが高いので、粒の中より速く溶けて溝になります。溝では光がまっすぐ戻らないので、顕微鏡では黒い線に見えます。

化学的に違う相は溶ける速さが違います。電位の違う相が接すると局部電池になり、一方の相が選ばれて溶けます。同じ相でも結晶の向きで溶け方が違い、向きのそろった粒は同じ明るさに見えます。

着色エッチング(Klemm・Beraha・Weck など)は溶かすのではなく、表面に薄い膜(多くは硫化物)を析出させます。膜は結晶の向きや組成によって違う厚さに育ち、光の干渉で明視野でも色が付きます。色の幅がせまいと向きがそろっている(集合組織)ことを示します。膜は研磨の損傷に敏感なので、白黒の腐食より丁寧な準備が要ります。

電解エッチングは、試料を陽極にして直流を流し、電圧と時間で加減します(電解シュウ酸など)。Al の Barker 液の陽極酸化は、膜の厚さが結晶の向きで違うので、偏光で粒ごとに色が違って見えます。セラミックスの熱腐食は、焼結の温度より少し低く加熱して粒界に溝をつくります。

出典: ブルサ工科大学 実験資料; Vander Voort 着色エッチング; PACE 腐食液の解説; PACE セラミックス

観察の倍率と、写真に入れるもの

写真に書いた倍率は、写真を拡大・縮小すると合わなくなります。写真の上にスケールバー(長さの目盛り)を入れれば、大きさを変えても目盛りが一緒に変わるので正しいままです。目盛りには長さ(ふつうは µm)を書きます。

同じ組織でも、腐食液・腐食の時間・照明で明暗や色が大きく変わります。写真には、材料と熱処理、切断の位置と向き、最後の研磨の段、腐食液の名前と組成・時間(電解なら電圧)、照明(明視野・偏光・微分干渉)を添えます。そうすれば他の人が同じ条件で比べられます。

倍率は目的で選びます。出典の例では、各段の研磨の確かめは ×200(セラミックス)、仕上げの質と鋳鉄の黒鉛は ×500 で見ています。まず低い倍率で全体を見て、代表の場所を選んでから倍率を上げると、特別な場所だけを写すことを避けられます。

出典: 倍率の目盛りについて; PACE セラミックス; PACE アルミニウム; PACE 鋳鉄

主な出典

よくある質問

ナイタールとピクラールはどう使い分けますか?

ナイタールはフェライトの粒界とパーライトの両方を出すので、鋼の一般の組織と粒の大きさに使います。ピクラールはセメンタイトを腐食し、フェライトの粒界は出さないので、パーライトの層や球状化・焼戻しの炭化物を見るのに向きます。両方を見たいときは組み合わせます。ピクラールはピクリン酸を含むので、液を乾かさないでください。

腐食したら傷が出てきました。腐食液が悪いのですか?

たいていは違います。最後の研磨で平らに見えていた変形の層や浅い溝を、腐食が見えるようにしたものです。前の段に戻って研磨し直し、洗ってから腐食し直してください。研磨と軽い腐食をくり返すと確かめられます。

仕上げはアルミナとコロイダルシリカのどちらがよいですか?

材料と目的によります。PACE は、コロイダルシリカが地を化学的に侵して細かい介在物を浮かせることがあるので、鋼の仕上げに 0.05 µm アルミナを標準にしています。EBSD、Ti(過酸化水素を混ぜる)、セラミックス、だれやすい柔らかい金属では、コロイダルシリカの化学機械研磨が役に立ちます。どちらでも、面の上で乾かさず、最後は水で流します。

フッ化水素酸を使わずに Al や Ti を腐食できますか?

Al は、1% 水酸化ナトリウム、Weck 液(過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムの着色液)、Barker 液の陽極酸化(フッ化ホウ素酸。腐食性)で組織を出せます。Ti はほとんどの腐食液が HF を含みます。PACE は HF を含まない液(希塩酸と硫酸を沸騰させて使う Ogden–Holden 液)も挙げていますが、沸騰した酸を使います。HF を使うなら、グルコン酸カルシウムのゲルを用意し、所属の手順に従ってください。

ピクリン酸の瓶の口に乾いた結晶が付いていました。どうすればよいですか?

触らず、動かさず、ふたも開けないでください。乾いたピクリン酸やピクリン酸塩は衝撃・摩擦で爆発することがあります。所属の安全・廃棄の担当者にすぐ連絡してください。ふだんから固体は水で湿らせて保管し、定期的に乾いていないか見ます。

マグネシウムを水で研磨してはいけないのはなぜですか?

Mg は水と反応してすぐ酸化し(白い粉のような面になる)、水素も出ます。切断から研磨・腐食後の洗浄まで、エタノール系の潤滑液と洗浄を使い、研磨したらすぐ乾かしてデシケーターかエタノールの中に保管します。切り粉は発火しやすいので、乾いたまま切らないでください。

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